「ぱちんこ器具用プログラム」でFF・ドラクエが商標出願、隣に並んだ”ホイッスル”の正体
2026年8月26日に公開された商標公報に、「FINAL FANTASY」「DRAGON QUEST」の文字が「ぱちんこ器具用プログラム」という指定商品とともに載りました。
出願したのは株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス。
同じ公報の隣の欄には、パチンコ機メーカーの「もっと!呼び込み君」と、LINEヤフーの「どうぶつ界隈」が並んでおり、このうちLINEヤフーはFF・ドラクエと寸分違わぬ「ぱちんこ器具用プログラム、運動用保護ヘルメット、ホイッスル」という文言でした。
一方「もっと!呼び込み君」の指定商品は「ぱちんこ器具用プログラム、メトロノーム、電子楽器用自動演奏プログラム」など異なる文言でした。
FFやドラクエを普段遊んでいる人にとって、愛着のあるタイトルがパチンコ・スロット化するかもしれないという話は聞き流せません。
実際に出願されたのはどこまでの内容で、同じような騒動は過去になかったのか。
Xでの反応と一次資料を確認しました。
先に結論をまとめると:
– FF・ドラクエの商標が「ぱちんこ器具用プログラム」を含む区分で出願されたこと自体は事実
– ただし同じ文言・同じ区分の出願は、スクエニと無関係な他社1社(LINEヤフー)にも同時に見られ、テンプレート的な防御出願の可能性が高い
– 2016年にも「スクエニがパチンコ業界に参入」という報道が誤りだったと判明した前例があり、出願=参入決定ではない
商標公報にざわついたX
公開商標公報は、特許庁に出願された商標を一般に公開する制度です。
出願された時点ではまだ審査中で、登録されるかどうかも決まっていません。
それでも「ぱちんこ器具用プログラム」という具体的な文言がFF・ドラクエと並んだことで、パチンコ関連のまとめサイトが速報し、Xでは出願を伝える投稿が急速に広がりました。
スクエニが「FINAL EANTASY」「DRAGON QUEST」を商標出願 https://t.co/Sjy9if8kTY pic.twitter.com/h1GH6VuSiV
— パチンコ・パチスロ.com (@pachicom777) 2026年8月26日
投稿に添付された画像には、商標速報を追う表形式のスクリーンショットが載っています。
左から「群馬電機株式会社」の「もっと!呼び込み君」、「株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス」の「FINAL FANTASY」、同じくスクエニの「DRAGON QUEST」、そして「LINEヤフー株式会社」の「どうぶつ界隈」の4件が横並びになっています。
このうちFF・ドラクエ・どうぶつ界隈の3件は指定商品の欄に「ぱちんこ器具用プログラム,運動用保護ヘルメット,ホイッスル,…」とほぼ同一の文言が並ぶ一方、「もっと!呼び込み君」だけは「ぱちんこ器具用プログラム,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラム,…」と異なる文言でした。
この投稿は8月26日の時点で2,700件を超えるいいねを集めました。
ただ、この並びをよく見ると、単純に「スクエニがパチンコ業界に本気で参入する」と決めつけるには早計だと分かってきます。
そこで、なぜこの区分がここまで幅広いのかを調べました。
調べて分かったこと
なぜ「ホイッスル」まで一緒に出願されているのか
商標を出願するときは、その商標を使う予定の商品・サービスを「区分」という単位で指定します。
ここで重要なのは、「ぱちんこ器具用プログラム、運動用保護ヘルメット、ホイッスル」という組み合わせが、スクエニだけでなく無関係の1社(LINEヤフー)にも同時に登場している点です。
LINEヤフーが自社サービス「どうぶつ界隈」でホイッスルやパチンコ器具用プログラムを商標出願する理由は、実際にホイッスルを商品化するからではなく、商標を扱う代理人が同じ区分テンプレートを使い回している可能性が高いと考えられます。
なお、同じ公報にあった「もっと!呼び込み君」(群馬電機)の指定商品はメトロノームや電子楽器用自動演奏プログラムなど異なる内容で、単純に同一区分とは言えません。
商標出願の実務では、将来のあらゆる展開を潰さないために、実際には使う予定のない商品・サービスまで幅広く指定商品に含めておくのが一般的です。
ゲームタイトルの商標戦略を扱う専門メディアの解説でも、大手IPホルダーは権利を守る目的で区分を広く取ることが珍しくないと紹介されています。
つまり「ぱちんこ器具用プログラム」という文言だけを切り取ると衝撃的に見えますが、実務上はよくある防御的な出願の形である可能性が高いということです。
過去にも同じような騒動はあったのか
実は2016年にも、ほぼ同じ構図の騒動がありました。
パチンコ機販売会社フィールズの営業拠点が、店舗向けの資料に「ドラゴンクエスト、ファイナルファンタジーを世に送り出したスクエアエニックスがパチンコ・パチスロ業界に遂に参入」と記載し、この資料がSNSで拡散されたのです。
しかしフィールズは同年7月7日に訂正リリースを発表し、「スクウェア・エニックスがパチンコ・パチスロ事業に参入する」という表現は「事実ではありません」と明記しました。
資料内でドラクエ・FFのロゴをスクウェア・エニックスの許可なく無断使用していたことも認めています。
営業拠点が未確認の情報をもとに販促資料を作ってしまったことが、誤解が広がった主な原因でした。
今回の商標出願も、この2016年の一件と同じく「出願=即参入決定」ではありません。
スクウェア・エニックスから、パチンコ・スロット事業に関する公式な発表は今のところ出ていないのが実情です。
今回は実際にパチンコ化するのか
商標速報を集めたブログのコメント欄では、「ブランドが落ち目になってからの参入では」といった懐疑的な見方や、シリーズの生みの親である堀井雄二氏の名を挙げてタイトルへの思い入れを示す声、逆に「実機で遊べる日が来るのか」と期待する声まで、反応は割れていました。
指定商品の量が非常に多いことから、パチンコ化そのものを見据えた出願というより、権利保護を目的とした包括的な出願だろうという見立てがブログ側の分析でも示されています。
現時点で確実に言えるのは、商標出願が公開されたという事実そのものだけです。
審査が進んで実際に登録されるかどうか、その先に商品化があるかどうかは、スクウェア・エニックスの今後の発表を待つ必要があります。
Shiritomo GAME編集部の考察
商標出願のニュースは、タイトルだけを見ると「新展開決定」のように受け取られがちですが、今回のように指定商品を細かく確認すると、単なる防御的な区分テンプレートだったというケースは珍しくありません。
大手パブリッシャーほど、ゲーム以外の商品化まで見据えて広範囲に商標を押さえておく傾向があり、それ自体は新しいビジネスの合図ではなく、他社に商標を先取りされないための保険と捉えるのが実務的には妥当です。
今回のように具体的な文言だけが独り歩きしやすいニュースこそ、公開商標公報という一次情報に当たり、同じ区分が他社にも使われていないかを見比べる習慣が読み解きの近道になります。
今後もこの手の速報を目にしたときは、まず「出願」と「登録」「事業化」の間には距離があることを思い出すと、過度な期待も不安も避けられるはずです。
まとめ
FF・ドラクエの商標に「ぱちんこ器具用プログラム」という文言が含まれていたのは事実ですが、同じ文言は無関係の他社にも見られ、2016年には似た報道が誤りだったと判明した前例もあります。
現時点でパチンコ・スロット化が決まったわけではなく、続報を待つのが妥当と言えそうです。