遥かな町へ、10月9日に全国公開――大谷亮平ら舞台挨拶、倉吉では宿泊3000円引きも
48歳の建築デザイナーが、34年前の14歳の自分に戻る——。
谷口ジローが1998年に描いた漫画『遥かな町へ』を原作にした実写映画が、10月9日から全国の劇場で順次公開されています。
舞台は鳥取県倉吉市。
白壁土蔵群(土蔵造りの建物が並ぶ倉吉市の伝統的な町並み)と蒸気機関車の煙が、1963年の昭和の風景をスクリーンに再現しました。
劇場に足を運ぶ予定の人も、倉吉という地名を今回初めて聞いた人も、公開初日に何が起きたのか、原作漫画がどれほどの評価を受けてきた作品なのかを知っておくと、鑑賞後の楽しみ方が広がります。
先に結論をまとめると:
– 原作はアングレーム国際漫画祭など海外の漫画賞を複数受賞した谷口ジローの代表作で、2010年にはフランス・ルクセンブルク・ドイツ合作で映画化もされている
– 公開初日の10月9日、シネスイッチ銀座で舞台挨拶が行われ、大谷亮平・滝藤賢一・戸田菜穂らに加えて鳥取県の平井伸治知事も登壇した
– 舞台となった倉吉市では、映画の半券で使えるクーポンや宿泊割引といった地域連動企画が2027年1月31日まで続く
何が起きたのか
映画『遥かな町へ』は、錦織良成が脚本・監督を務め、大谷亮平が主演する実写作品です。
上映時間は126分、レーティングはPG12(12歳未満の観賞には保護者の助言・指導が必要)に指定されています。
公開初日の10月9日には、東京・銀座のシネスイッチ銀座で舞台挨拶が行われ、大谷亮平、滝藤賢一、戸田菜穂、及川桃利、磯谷萌々子の主要キャストが登壇しました。
同日のイベントには鳥取県の平井伸治知事も顔を出し、「鳥取にはこの映画の舞台と同じような本物の『昭和』が、昔のまま残されています」と述べ、作品の舞台である倉吉市への来訪を呼びかけています。
上映は銀座だけでなく、物語の舞台となった倉吉シネマエポックをはじめ全国の劇場に広がっており、原作の故郷である鳥取県を起点に、公開に合わせた地域連動の取り組みが複数動き出しました。
調べて分かったこと
原作漫画は国際的にどんな評価を受けてきたのか
原作の漫画『遥かな町へ』は、谷口ジローが1998年4月から12月にかけて『ビッグコミック』(小学館)に連載した全16話・全2巻の作品です。
1999年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞したのを皮切りに、2003年にはフランスのアングレーム国際漫画祭でアルファアート最優秀脚本賞を、イタリアのルッカコミックス&ゲームズではグラン・グイニージ賞最優秀長編作品賞を受賞しました。
2004年にはスペインのバルセロナ国際コミック・サロンでも最優秀外国作品賞に選ばれています。
つまり今回の実写映画化は初の映像化ではありません。
2010年、サム・ガルバルスキ監督のもとフランス・ルクセンブルク・ドイツ合作で実写映画として一度映像化されており、今回の日本版実写映画は、国境を越えて評価されてきた物語の“里帰り”にあたります。
大谷亮平は14歳のシーンにも登場しているのか
主人公・中原博史は、48歳と14歳の2つの年代で描かれます。
演じ分けについて、大谷亮平本人が取材で、自分がスクリーンに実際の姿で登場するのは物語の最初と最後の48歳パートのみで、34年前にタイムスリップした14歳の場面は及川桃利が演じていると明かしています。
その場面でも博史の心の声として大谷の声がナレーションのように重なる構成になっているとのことです。
14歳役の及川に対しては、撮影前に会って話す機会があり、「この作品に対して、ものすごく情熱を持っていて、悩んでもいた」と評しています。
戸田菜穂は博史の母・中原和江を36歳と48歳の二役で、滝藤賢一は父・中原与志雄(44歳)を演じ、磯谷萌々子は博史の幼なじみ・長瀬智子(14歳)役です。
倉吉の聖地巡礼キャンペーンはどんな内容か
聖地巡礼(作品の舞台となった実在の場所を訪れること)に向けた企画が、倉吉市と観光関係者によって用意されています。
映画のチケット半券を持参すると、舞台のモデルになった白壁土蔵群で使える500円分のクーポンが、先着1,000名に配布されます。
期間は10月9日から2027年1月31日までです。
宿泊面では「ちょっくら、くらよし」と名付けられたキャンペーンが9月1日から2027年1月31日まで実施されており、倉吉市内の宿泊者のうち先着4,000名を対象に3,000円の割引が受けられます。
東京・新橋の「とっとり・おかやま新橋館」でも10月9日から31日まで、昭和レトロをテーマにしたグルメフェアが開催され、鳥取和牛の牛すじを使った「青春のカレーライス」や「昔ながらのナポリタン」といったメニューが提供されています。
加えて、JR「スーパーはくと」を使った観賞後の現地訪問を想定した旅行商品も造成されており、JR大阪駅での広告展開も予定されているとのことです。
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今回の企画で目を引くのは、クーポンや宿泊割引の実施期間が2027年1月31日までと、公開から3カ月以上先に設定されている点です。
映画の広告展開は公開週に話題を集中させる発想になりがちですが、倉吉市側は原作の文化的評価(アングレーム国際漫画祭などの受賞歴)を前面に出すことで、公開直後の話題性に頼らず、観賞後にじわじわ現地を訪れる層を長い期間で拾う設計にしていると見られます。
舞台が大都市ではなく人口規模の小さい地方都市であることも、逆に「本物の昭和が残る」という打ち出しを成立させている要因です。
原作ファンの間で評価が定着している作品だからこそ、短期の話題作りより、原作の知名度を観光導線に変換する長期戦略が選ばれたのではないでしょうか。
まとめ
『遥かな町へ』は、国際的評価の高い谷口ジローの原作を、大谷亮平主演・錦織良成監督で実写化した作品です。
公開初日の舞台挨拶には鳥取県知事も登壇し、舞台となった倉吉市では年明けまで続く聖地巡礼キャンペーンが動いています。