Xで本音を言えなくなった——「リアル友達限定」に共感が殺到している理由を深掘りしました
青いペンギンが「Twitterで言えないからリア友にだけ話す」と、どこか恥ずかしそうに小さくなっている——。
漫画家255さん(@nikokosan)がXに投稿したその4コマが、6月21日の公開からあっという間に1万8,000を超えるいいねを集めました。
「わかりすぎる」「まさに私のことだ」「Xには書けないことほど大事な話だったりする」。
リプライに並ぶ共感の声は、今のXに漂う独特の空気を映しているように感じます。
実は、この「本音はリアル友達限定」という感覚は、SNS運用の現場にとっても無縁ではありません。
ユーザーが「本音を言いにくい場所」と感じ始めているとしたら、ブランドのX戦略にも何かが変わってくるはずです。
気になって深掘りしてみました。
18,000いいねを集めた漫画が映す「SNS上の本音」の変化
6月21日、漫画家255さんがXに投稿した4コマ漫画がバズしています。
気づいたらそうなっていた気がします pic.twitter.com/CNND8y1O4E
— 255 (@nikokosan) 2026年6月21日
青いペンギンのキャラクターが「Twitterで言えないことをリアル友達にだけ話す」という場面を描いたこの漫画。
いいね1万8,800超、リポスト3,000超、インプレッション(投稿が表示された延べ回数)93万回という数字は、今のXユーザーの”気持ち”が漫画に重なった証拠でしょう。

summaryによると、同じ流れで配信者・餅さんの漫画も1万2,000いいね超えの反響を集めており、「Xではなくリアルで話す」という意識は複数のクリエイターが同時多発的にとらえているテーマになっています。
リプライには「大事な話はリア友限定にしてる」「ネットって新しい村社会だよね」「Twitterの監視社会感がすごい」といった声が相次ぎました。
単なる共感バズではなく、Xというプラットフォームに対してユーザーが抱き始めた「距離感」のようなものが、この漫画をきっかけに言語化されたという印象です。
なぜXは「本音を言いにくい場所」になったのか
ダイヤモンド・オンラインの記事(2026年)によると、Xが炎上しやすい根本的な理由は「人の悪意」ではなく、Xの設計そのものが「フィルターバブルを軽々と破る伝播ネットワーク」だからとされています。
Xは友達同士のクローズドなつながりを主軸としたSNSとは異なり、見知らぬ人の意見が容易に流れ込んでくる公的空間として設計されています。
言葉が広がりやすいからこそ、不用意な発言が思わぬところで炎上する。
短文(基本140字)のコミュニケーションで真意が伝わりにくい構造も重なり、「慎重に言葉を選ばなければならない場所」という空気が定着してきました。
さらに2026年3月ごろからは、GrokのAIが日本語投稿を外国人ユーザー向けにおすすめとして自動拡散するようになっています。
日本語でつぶやいているつもりが、海外ユーザーの目に入る可能性が生まれたわけです。
炎上のリスクが物理的に広がり、「Xは外に向けた場所」という意識がさらに強くなっているように思います。
また、Xの利用実態を見ると、「友人・知人とのコミュニケーション」目的で使う人は全体の14.42%に留まっており、多くのユーザーが「情報収集・自分の興味を深める場所」としてXを位置づけています。
リアルな友人とのやり取りは、LINEやDiscordなどクローズドなツールに移っているのが実情です。
SNS担当者にとって何が変わるのか
「本音をXに書かなくなっている」というユーザー心理は、マーケティングの文脈でも見逃せません。

一つ目は、ユーザーの「生の声」がXから取りにくくなっているという点です。
クローズドなコミュニティに流れた本音はパブリックな分析ツールでは観測できません。
コメント・リプライ・引用リポストに出てくる言葉がユーザーの「建前」になってきているとしたら、分析結果の精度も変わってきます。
二つ目は、企業アカウントの「距離感」設計が重要になるという点です。
「Xは監視される場所」と感じているユーザーに、率直なコメントやレビューを求めるキャンペーンを打っても、本音の反応は出てきにくいかもしれません。
ユーザーが「ここは安心して話せる」と感じられる仕掛け——コミュニティノートの活用、アンケート、スペースでの対話など——を意識的に取り入れる必要があります。
三つ目は、クローズドコミュニティとのブリッジです。
ブランドのDiscordやLINEオープンチャットなど、よりプライベートな場にユーザーを誘導し、本音が出やすい環境を作ることで、Xでは収集しにくいインサイトを得るアプローチが有効になってきています。
さらに深掘りしたい方へ
- なぜXは常に炎上しているのか?「人の悪意」ではない根本的要因とは(ダイヤモンド・オンライン)
- X(旧Twitter)利用実態調査2026、約6割が毎日アクセス・男女で異なる利用スタイルが明らかに
- 【2026年最新】Xアルゴリズム徹底解説!GitHub公開で判明したAI評価基準とこれからの運用戦略
SocialReport編集部の考察
「本音はリアル友達限定」というユーザー心理が広がっていることは、企業のX運用に対して一つの問いを投げかけていると感じます。
「Xでのエンゲージメント=ユーザーの真の声」という前提が、少しずつ揺らいでいるのではないでしょうか。
SocialReportを使ってX上のコメント分析を行うとき、私たちはリプライや引用リポストの言葉を「ユーザーのリアルな反応」として扱っています。
しかし今回のバズが示しているのは、公的な場所であるXに出てくる声はすでにフィルタリングされたものであり、ユーザーの心の奥にある「本音」はより私的なチャンネルに移動してしまっているかもしれない、ということです。
これはSNSマーケティングのインサイト収集における構造的な課題です。
エンゲージメント率が高い投稿であっても、反応しているユーザーが「言いやすいことだけを言っている」可能性があります。
分析の精度を上げるためには、Xのパブリックデータだけでなく、アンケートや1on1ヒアリング、クローズドコミュニティのフィードバックを組み合わせたマルチチャンネルのリスニング設計が求められます。
「リアル友達にしか言えないことがある」——ユーザーのその感覚を否定するのではなく、「ここなら本音を話せる」と感じてもらえる場所をブランドがどう用意するか。
それがこれからのX運用の核心になってくるのかもしれません。
まとめ
漫画家255さんの4コマが集めた1万8,000超のいいねは、「Xで本音を言いにくくなっている」というユーザー心理が広く共有されていることを示しています。
SNS担当者にとっては、Xから収集できる「声」の性質が変わってきていることを意識しながら、クローズドな場も含めたインサイト収集を設計し直すタイミングかもしれません。