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「なにこれ読めない」——日本のXトレンド1位を乗っ取ったアラビア語ハッシュタグの正体

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年5月5日 更新
「なにこれ読めない」——日本のXトレンド1位を乗っ取ったアラビア語ハッシュタグの正体

先日、日本のXのトレンド画面を見て首をかしげた人は多かったのではないでしょうか。

1位に表示されていたのが「#اصنع_في_الامارات」——アラビア語です。
「何これ?読めない」「スパムじゃないの?」という困惑の声がXのタイムラインに溢れました。

調べてみたら、これは実は巨大な政府主導キャンペーンの仕掛けで、Xのトレンドアルゴリズムの特性を突いた国家規模のSNSマーケティングでした。

SNS担当者として知っておくべきことが、この事件には詰まっています。

アラビア語ハッシュタグの正体

「#اصنع_في_الامارات」は、英語に訳すと「Make it in the Emirates(UAEで作ろう)」という意味です。
アラブ首長国連邦(UAE)政府が進める製造業振興キャンペーンのスローガンで、2026年5月4日から7日にかけてアブダビで開催された大規模イベント「Make it in the Emirates 2026」のハッシュタグです。

このイベント、規模が半端ではありません。
1245社が参加し、2000億ディルハム(約7.7兆円)超のプロジェクトが発表される国家的な産業振興イベントです。
UAEが「石油依存から製造業立国へ」という国家戦略の一環として力を入れているキャンペーンで、政府機関や参加企業がハッシュタグを大量に使って投稿しました。

なぜ日本のトレンドに入ったのか

ここが面白い部分です。
UAEのイベントと日本のXユーザーは、本来まったく接点がありません。
それでも日本のトレンド1位に入ったのは、Xのトレンドアルゴリズムの仕組みがあります。

Xのトレンドは「特定の短時間にその地域で急増した話題」を基準にしています。
ただし、「その地域のユーザーが投稿したもの」に限定されているわけではなく、グローバルな大量投稿がある場合、その地域のトレンドにも影響を与えることがあります。

UEAの政府機関や参加企業1200社超が一斉にハッシュタグを使って投稿すれば、短時間での投稿数は爆発的に増えます。
Xのトレンドアルゴリズムがその急増を「話題」として検知し、日本のトレンドにも表示されたと考えられます。

これは意図的なもの(日本ユーザーをターゲットにしたわけではない)ですが、結果として日本のXユーザーが混乱するという副作用を生みました。

SNS担当者が知っておくべき「トレンド入りの真実」

今回の件を通じて、Xのトレンドの「ハック可能性」が改めて可視化されました。

トレンドは「本当に日本で話題になっていること」とは限りません。
このことは、SNS運用において2つの視点から重要です。

「トレンドを狙う側」の視点:
ハッシュタグキャンペーンを実施するとき、大量の組織票的な投稿がトレンドを作れることは事実です。
ただし、今回のUAEのケースのように「誰これ?」という反応を呼ぶリスクもあります。
トレンド入りが「インプレッションの獲得」ではなく「ブランドの認知と信頼」につながるかを、先に考える必要があります。

「トレンドを読む側」の視点:
Xのトレンドを参考にコンテンツ戦略を組む担当者は多いですが、「このトレンドは本当に自社のターゲット層が盛り上がっているものか」を精査する必要があります。
外国語のハッシュタグや、出所不明のバズは、乗っかると逆効果になることもあります。

「からあげクン」に学ぶ、正しいハッシュタグ活用

ハッシュタグを使ったSNSマーケティングで成功した国内の事例として、ローソンのからあげクン40周年キャンペーンが参考になります。


からあげクン40周年のSNSマーケティングが秀逸——純金プレゼントとハッシュタグUGCで拡散の連鎖

からあげクン40周年のSNSマーケティングが秀逸——純金プレゼントとハッシュタグUGCで拡散の連鎖
ユーザー生成コンテンツ(UGC)とハッシュタグを組み合わせたキャンペーンで、自然な拡散を生み出した事例

からあげクンのケースでは、「コアなファン層が自然に投稿したくなる仕掛け」を作ることで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)として広がりました。
これは「大量投稿でトレンドに押し込む」手法とは真逆の、ボトムアップ型の拡散です。

どちらが「良い」というわけではありませんが、企業ブランドのSNSマーケティングとしては、後者の方が中長期的な信頼構築に向いていることが多いでしょう。

さらに深掘りしたい方へ

まとめ

日本のXトレンド1位に入ったアラビア語ハッシュタグは、UAEの国家的な製造業振興キャンペーンでした。
Xのトレンドアルゴリズムは「大量投稿」によって地域のトレンドに影響を与えられるという特性を改めて示した事例です。
トレンドを「読む」にしても「作る」にしても、その仕組みを理解した上で活用することが重要です。