演技未経験のオーディション王者が主演に――『マッチモンド』が”ケンカ相手探し”をマッチングアプリにした理由
恋人ではなく、ケンカ相手を探すためのマッチングアプリ。
そんな設定を聞いて、ふざけた話だと思う人もいるかもしれません。
ですが原作は『ヤングキング』(少年画報社)で連載中の人気漫画です。
9月11日に全国公開された映画版は、一般公募オーディションで選ばれた演技未経験の新人が主演の一角を担うという、もうひとつの”賭け”も背負っていました。
SNS運用やコンテンツ企画に関わる人にとっても、「既存のマッチングアプリの仕組みを別の目的に転用する」という発想そのものが参考になる題材です。
先に結論をまとめると:
– 映画『マッチモンド』は9月11日全国公開。
原作は堀内祥吾氏の漫画で、マッチングアプリ「マッチトゥマッチ」でケンカ相手を探す青春アクション
– 主演は醍醐虎汰朗と、一般オーディションのグランプリで選ばれた演技未経験の勝木将慶のW主演
– 脚本は『ベイビーわるきゅーれ』『ゴーストキラー』の阪元裕吾、監督は倉橋龍介が手がけている
何が起きたのか
原作は「喧嘩の相手」とマッチングできるアプリ「マッチトゥマッチ」を軸にした青春”喧活”ストーリーです。
一文無しで職もない18歳の青年・籠目まひろが、そのアプリが原因で追われる身になった都蔵ミキオを助けます。
そこから謎のアプリを巡る争いに巻き込まれていく、というのが基本の筋書きです。
肉弾戦と友情のドラマを軸にした青春アクション漫画として支持を集め、今回満を持して実写映画化されました。
映画版でこの2人を演じるのが、都蔵ミキオ役の醍醐虎汰朗と、籠目まひろ役の勝木将慶です。
醍醐さんはすでに映像作品での出演歴を重ねてきた俳優ですが、勝木さんはこれが映画初出演。
しかも一般オーディションのグランプリという、いわば”素人からの抜擢”でこの役をつかんでいます。
ただ、この座組みの意味を理解するには、原作の設定そのものを見ておく必要がありそうです。
調べて分かったこと
まず気になったのは、脚本を手がけた阪元裕吾氏の存在です。
阪元氏は『ベイビーわるきゅーれ』や『ゴーストキラー』といった、低予算ながら独自の間合いのアクションで評価されてきた脚本家・監督です。
過剰な演出に頼らず、キャラクター同士の距離感で見せるアクションを得意とすると評されることが多い作家が本作の脚本を担当しているという事実は、単なる漫画の実写化以上の期待を持たせます。
監督の倉橋龍介氏とのタッグがどんな画作りになるのか、これは原作を知らない観客にとっても注目材料になるはずです。
もうひとつ調べて分かったのは、勝木将慶さんの起用の経緯です。
演技未経験者を主演級に抜擢するのは決して珍しい話ではありませんが、今回は一般公募のオーディションでグランプリを獲得したという、いわば「観客の代表」に近い形でのキャスティングでした。
原作の主人公・籠目まひろは「一文無しで職もない」という、決して恵まれた境遇の人物ではありません。
そこに演技経験のない新人を重ねる座組みは、キャラクターの持つ”何者でもなさ”と実際のキャスティングの構図が呼応しているようにも見えます。
なぜ「マッチングアプリ」でケンカ相手を探すのか
原作のもっとも大きな仕掛けは、本来恋愛や出会いのために使われるはずのマッチングアプリを、ケンカ相手探しに転用している点です。
SNSやアプリのマッチング機能は本来「気の合う相手を見つける」ために設計されています。
それを”対立する相手を見つける”目的にひっくり返すことで、青春アクションという枠組みに新しい入り口を作っています。
似たアプリの仕組みを別の文脈で使い直すという発想は、フィクションの中だけの話ではなく、既存のサービス設計を考えるうえでもヒントになりそうです。
Shiritomo MOVIE編集部の考察
映画の実写化企画が増えるなかで、キャスティングの一部を一般オーディションに委ねる手法が増えています。
話題作りの側面だけでなく、原作の説得力を補強する仕掛けとしても機能するからです。
「一文無しで職もない」主人公を演じるのが、まさに一般公募から勝ち上がった新人だという事実は、宣伝文句としてだけでなく、観客が物語に入り込む導線にもなり得ます。
また、阪元裕吾氏のような独自の作家性を持つ脚本家を招く座組みは、原作ファン以外の観客層を取り込むための重要な布石です。
漫画原作の実写化はとかく「原作再現度」だけで語られがちですが、本作のように脚本・演出面に強い個性を持つ書き手を据えることで、原作を知らない層にも別の角度から興味を持たせられます。
マッチングアプリという現代的なモチーフと、アクション映画としての作家性、この二つがどう噛み合っているかは、公開後の観客の反応を追ってみる価値がありそうです。
まとめ
『マッチモンド』は、ケンカ相手を探すマッチングアプリという奇抜な設定の映画です。
その裏には、演技未経験の新人を主演に据える”賭け”と、独自のアクション演出で知られる脚本家の起用という、二重の挑戦が隠れていました。
原作を知らなくても入り込める設計になっているか、公開後の反響が気になるところです。
さらに深掘りしたい方へ
原作漫画『マッチモンド』は堀内祥吾氏により『ヤングキング』(少年画報社)で連載中です。
映画の詳しい上映情報は映画『マッチモンド』公式サイトで確認できます。