『HOPE』のスタンディングオベーションが6分近く続いた理由を、カンヌの反応から追う
上映後、場内の拍手が6分近く鳴りやみませんでした。
称賛と困惑が同時に起きるような、珍しいタイプの拍手だったといいます。
ナ・ホンジン監督の新作『HOPE』が、9月9日から全米約1500館規模で公開されました。
韓国では7月に先行公開済みで、今回はそのアメリカでの本格展開にあたります。
カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された経緯もあり、日本の映画ファンの間でも公開前から注目度が高かった一本です。
先に結論をまとめると:
- 舞台はDMZ(非武装地帯)近くの架空の港町「虎浦(ホポ)」。
警察署長と新人女性警官が謎の生物と戦うSFアクションで、カンヌコンペ出品作 - 米国公開を見た映画評論家の町山智浩氏が「こんなに異常な映画は初めて」と評し、あらすじを話せば正気を疑われるほど先の読めない展開を挙げている
- 日本公開は2027年を予定。
米国先行組の熱量の高さが、公開までの期間の「話題の持続力」を占う材料になっている
『コクソン』のナ・ホンジン監督『HOPE』が全米封切り。虎浦(ホポ)という港町の警察署長(ファン・ジョンミン)が町を襲った何物かと戦う。こんなに異常な映画は初めて観た。まったく予想のつかない展開で、あらすじを話したら話してる方が狂ったのかと思われるだろう。 pic.twitter.com/H0LfQeDK4t
— 町山智浩 (@TomoMachi) 2026年9月10日
何が起きたか
『HOPE』は、韓国の名匠ナ・ホンジン監督(『チェイサー』『哭声/コクソン』)による新作です。
7月に韓国で先行公開された後、9月9日から北米で本格的な劇場公開が始まりました。
配給規模は約1500館とされ、独立系映画としては大きな展開です。
物語の舞台は、DMZ近くに位置する架空の港町「虎浦(ホポ)」です。
町山智浩氏のレビュー投稿をはじめ、複数の日本語映画情報サイトがこの表記を使っています。
一部の海外メディアでは「ホープ・ハーバー」という訳が使われることもありますが、本記事では投稿者本人が使っている「虎浦(ホポ)」の表記に統一します。
主演はファン・ジョンミンとチョン・ホヨンで、警察署長と新人女性警官のコンビが、町に現れた謎の生物と戦うことになります。
マイケル・ファスベンダーとアリシア・ヴィキャンデルも出演しており、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された経歴を持ちます。
調べて分かったこと
米国公開を実際に見た映画評論家の町山智浩氏は、上映後の投稿で「こんなに異常な映画は初めて」と評し、あらすじを話せば話す方が狂ったのかと思われるほど予想のつかない展開だと述べています。
添付の写真では、劇場ロビーに置かれた『HOPE』のスタンディパネルの前で、来場者がポーズを取っている様子が写っていました。
パネルには「A FILM BY NA HONG-JIN」の文字と、ファン・ジョンミンら出演者のビジュアルが確認できます。
カンヌでの上映時には、拍手が6分近く続くスタンディングオベーションになったと伝えられています。
ただしこの手の長時間拍手は、必ずしも手放しの絶賛だけを意味しません。
カンヌの上映後拍手は儀礼的な側面もあり、実際に『HOPE』についても批評家の評価は割れているとの声が複数上がっています。
ノンストップアクションとブラックギャグを「異常」なまでに詰め込んだ作りが、観客によって好悪を分ける要因になっているとみられます。
配給会社クロックワークスの公式アカウントも、カンヌ出品が決まった段階で発表投稿を出しており、当時から国内ファンの反応を集めていました。
【速報】ナ・ホンジン監督最新作『HOPE(英題)』が、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に公式選出!!!🎉
— 映画配給会社クロックワークス (@KlockworxInfo) 2026年4月9日
韓国映画としては実に4年ぶりとなる大快挙!… https://t.co/zQmTqf5PVG
米国配給はNEON、日本ではGAGAが配給を担当し、日本公開は2027年を予定しています。
Shiritomo MOVIE編集部の考察
「面白い」と「変」が同居する評判は、往々にして公開規模が広がるほど賛否がはっきり分かれていくものです。
『HOPE』の場合、カンヌでの6分間拍手という現象自体が、そのまま作品の受け取られ方の縮図になっているように見えます。
称賛だけなら短く終わるはずの拍手が長引くのは、観客が「今見たものをどう処理していいか分からない」まま拍手を続けているケースが少なくないからではないでしょうか。
町山氏のような映画評論家が「初めて」という言葉を使うとき、それは単なる褒め言葉というより、既存の分類に当てはまらない作品に出会ったという驚きの表明でもあります。
ジャンルとしてはSFアクションですが、あらすじを説明しただけでは正気を疑われかねないという展開の異様さが、通常のアクション映画のテンポ感を意図的に崩している可能性があります。
日本公開まで1年以上の間があるのは、配給側にとってはリスクでもあります。
米国での賛否両論が、そのまま「見てみたい」という好奇心に転化するか、それとも敬遠材料になるかは、これから積み重なる現地の反応次第でしょう。
ナ・ホンジン監督の過去作を振り返ると、この「賛否が割れる」という反応自体は目新しいものではありません。
『チェイサー』はサスペンスとしての完成度を評価されつつ、暴力描写の生々しさが議論を呼びました。
『哭声/コクソン』はホラーとミステリーとブラックコメディを一本に詰め込む構成が、「難解」「傑作」の両方の評価を受けた作品でした。
今回の『HOPE』でSFアクションにブラックギャグを大量に混ぜ込む作りも、監督が一貫して選んできた「ジャンルをそのまま提供しない」姿勢の延長線上にあると見ることができます。
日本の観客がその作風にどう反応するかも、2027年公開に向けた見どころの一つになりそうです。
まとめ
『HOPE』は、カンヌコンペ出品からアメリカでの大規模公開へと進んだナ・ホンジン監督の新作で、DMZ近くの架空の港町を舞台にしたSFアクションです。
6分近く続いたスタンディングオベーションと、評論家による「初めて」という評価は、賛否が分かれるタイプの傑作候補であることを示しています。
2027年の日本公開に向けて、現地の評判の推移が引き続き注目点になりそうです。