自動車最大手スズキの公式Instagram、記念すべき初投稿は「美味しいビリヤニの作り方」だった理由
「企業インスタアカウント開設しました!社員のリアルな姿やものづくりの裏側、スズキの魅力を発信していきますよー!」。
そう宣言した直後の初回投稿が、なぜかインドの本格ビリヤニレシピ――。
このギャップに、Xでは驚きと笑いの声が広がりました。
自動車メーカーの公式アカウントといえば新車情報やモータースポーツの話題が定番です。
ところがスズキが新設した企業Instagram「suzuki_jp_pr」は、開設早々に思わぬ方向へ舵を切りました。
何が起きていたのか、実際の投稿内容から確認していきます。
先に結論をまとめると:
– スズキは企業公式Instagramを新設し、開設直後の投稿でインドの郷土料理「ビリヤニ」の本格レシピを詳しく紹介した
– レシピはインド出身の社員が教えたもので、スズキがインド市場で長年トップシェアを持つことと無関係ではない
– 同社は本社食堂のインドカレーを再現したレトルト商品も別途販売している
何が起きたのか
きっかけとなったのは、この投稿です。
スズキ「企業インスタアカウント開設しました!社員のリアルな姿やものづくりの裏側、スズキの魅力を発信していきますよー!」
— ランドナー (@irukaotoko) 2026年9月10日
僕「おもしろそうやん」
スズキ「さて、記念すべき初めてのポストでは、美味しいビリヤニの作り方を教えます。」
僕「!!!???」 pic.twitter.com/8zBfaKnk8l
投稿者が示した画面を見ると、スズキの公式Instagramは「社員のリアルな姿やものづくりの裏側を発信していきます」という開設のあいさつのすぐ後に、インド・アーンドラ・プラデーシュ州の郷土料理「チキン65ビリヤニ」を紹介する投稿を公開していました。
キャプションには「スズキの社員が作る故郷の味」とあり、レシピを教えたのはIT本部で働く「バーヌさん」という社員だと明記されています。
自動車の話を期待していたフォロワーの意表を突く内容に、この投稿は2万6000件超のいいねを集めました。
ただ、なぜ自動車メーカーがインド料理をわざわざ発信するのか、その背景まではこの投稿だけでは分かりません。
調べて分かったこと
なぜスズキがインド料理を発信するのか
スズキは現地法人マルチ・スズキを通じて、インドの乗用車市場で長年シェア4割前後を維持してきた、同市場における最大手メーカーです。
2025年3月期の決算でも、インド事業の売上収益はグローバル全体の4割超を占めており、スズキにとってインドは単なる一市場ではなく事業の中核と言える存在です。
インド出身の社員が在籍していることを踏まえると、今回の投稿は「社員のリアルな姿を発信する」という開設時の宣言をそのまま体現した内容だったとも読み取れます。
「スズキ食堂」のレトルトカレーとの関係は
スズキは本社の社員食堂で2024年1月から、インド出身社員が「母親の味」と呼ぶ本格的なインドベジタリアン料理を提供しています。
この味をもとに、レトルトメーカーの鳥善と共同で開発したのが「スズキ食堂」ブランドのレトルトカレーです。
大根とにんじん・トゥール豆を使った「大根サンバル」など4種類が2025年6月25日に公式ECサイト「S-MALL」で発売され、発売2日間で5,000個を売り切る反響を呼びました。
今回話題になったビリヤニレシピそのものはこのレトルト商品とは別物ですが、社員食堂発のインド料理を社外に広く発信する取り組みという意味では地続きの企画だと言えそうです。
スズキ食堂のレトルトカレーはどこで買えるのか
「スズキ食堂」は、自動車メーカーのグッズとして今も検索され続けている言葉です。
購入したい場合は、スズキの公式ECサイト「S-MALL」で取り扱われています。
ラインアップは大根サンバル・トマトレンズダール・茶ひよこ豆マサラ・青菜ムングダールの4種類で、いずれも本社食堂の味を再現したインドベジタリアン料理です。
なお、今回話題のビリヤニは同シリーズの商品ではなく、Instagram投稿内で紹介されたレシピという位置づけです。
この投稿は本当に「初投稿」だったのか
投稿者は「記念すべき初めてのポスト」とビリヤニ紹介を紹介していますが、実際にInstagram上で確認できる最初の投稿は、ロゴとともに開設を告知する短いあいさつ文でした。
ビリヤニのレシピはその直後に公開された、実質的にコンテンツとしては最初の本格的な投稿だったと見るのが正確です。
いきなり自動車と無関係な話題から始めたこと自体が、このアカウントの「等身大の発信」という方向性を強く印象づけた格好です。
Shiritomo編集部の考察
企業公式アカウントの多くは、開設初期ほど「らしさ」を出すことに慎重になりがちです。
無難な自己紹介や事業紹介から入るケースが大半のなか、スズキは初手で製品と無関係な社員個人のエピソードを持ってきました。
これは結果として「意外性」そのものが拡散力を持った好例です。
過去にも食品メーカーが公式Xで新商品と絡めた発信を行いバズを生んだ例がありましたが、今回は逆に商品訴求を一切せず、社員の背景にある文化をそのまま見せたことが刺さった点で構造が異なります。
SNS運用担当者にとっては、「自社らしい発信」を安全な自己紹介から始めるのではなく、フォロワーが最初に驚く一投稿目に賭けるという選択肢も検討に値するはずです。
まとめ
スズキの新設Instagramは、開設直後にインドの郷土料理ビリヤニのレシピを紹介し、自動車との意外なギャップが話題になりました。
背景には同社とインド市場の深いつながりがあり、本社食堂発のレトルトカレー「スズキ食堂」ともゆるやかに地続きの企画だったようです。
