「面白いです」の声も、初日は都内予約10席――『5秒で完全犯罪を生成する方法』に起きたこと
公開3日間の興行収入6087万円。
前作は同じ3日間で2億1900万円を記録していました。
約4分の1という数字は、単なる不振では片づけられない落差です。
近藤亮太監督の新作『5秒で完全犯罪を生成する方法』に何が起きているのか、公開直後のXの反応から追いかけてみます。
先に結論をまとめると:
– 公開3日間の興収6087万円は、前作『ある閉ざされた雪の山荘で』(2024年、同期間2億1900万円)の約4分の1にとどまった
– 舞台挨拶があった都内の劇場でも通常回の予約は10席程度、地方では上映直前でも予約ゼロの回があった
– ミステリー作家からの高評価や副音声上映など、作品自体への評価と客足の伸び悩みが分かれている
公開直後に何が起きたのか
『5秒で完全犯罪を生成する方法』は9月11日、全国277館で公開されました。
妹を守るために生成AI(文章や画像を自動で作り出すAI技術)を使って完全犯罪を計画する兄という筋書きで、原作のないオリジナル脚本(岡田道尚)による犯罪サスペンスです。
公開直後、興行の厳しさを数字とともに伝える投稿が広がりました。
【自業自得】
— 話題のニュース図鑑 (@abel_syatiku) 2026年9月14日
前作は、公開3日間で2億1900万円。
今回は、
都内で予約10席。
秋田では、ゼロだった。
重岡大毅の主演映画が、
かつてない苦戦を強いられている。
■華々しかった前作
2024年公開の主演映画
『ある閉ざされた雪の山荘で』は、
公開3日間で興収2億1900万円を記録。… pic.twitter.com/BpHNrFGzZZ
前作『ある閉ざされた雪の山荘で』(2024年)は公開3日間で興収2億1900万円を記録した作品でした。
そこからの落差の大きさが、この投稿が2000件超のいいねを集めた理由のようです。
ただ、この数字だけでは何が起きているのか分かりません。
実際の劇場の様子を確かめてみました。
実際の劇場はどうだったのか?
一次報道によると、舞台挨拶が行われた都内の劇場でも通常上映回の予約は10席程度にとどまり、地方の劇場では上映開始の3時間前でも予約が0件の回があったと伝えられています。
SNS上でも岡山や大阪の劇場で予約数が極端に少ないという投稿が見られました。
全国277館という規模で公開されたことを踏まえると、客足の伸び悩みは局所的なものではなく、公開初日から全国的に起きていたとみられます。
作品への評価はどうだったのか?
一方で、作品そのものへの評価は決して低くありません。
ミステリー作家の綾辻行人さんは公開前の試写を受けて、こう投稿しています。
近藤亮太監督の『5秒で完全犯罪を生成する方法』、ひと足先に拝見していますが、面白いです。ホラー方向にはあまり振れないクライムサスペンス、大きく括ればミステリー。
— 綾辻行人 (@ayatsujiyukito) 2026年9月13日
近藤監督にはこれから、さまざまなタイプの作品に挑んでほしいな、と期待しています。 https://t.co/5r1dsIOFOf
「面白いです」というコメントに加え、ホラーに寄りすぎないクライムサスペンスとしての完成度を評価する内容でした。
制作側も9月18日から副音声コメンタリー上映(俳優陣の裏話を聞きながら本編を鑑賞できる上映形式)を決定するなど、公開後も話題づくりを続けています。
ラジオ番組「FM802 OSAKAN HOT100」への主演者のインタビュー出演など、プロモーション自体は活発に行われていました。
なぜ評価と客足がかみ合わなかったのか
作品の完成度が評価される一方で客足が伸びない、という組み合わせは、映画の興行では珍しくありません。
同じ週末には『オデュッセイア』『映画ちいかわ』という大作2本が公開・上映中で、限られた映画館の座席とスクリーンを奪い合う状況でした。
全国277館という規模自体も、前作より上映機会が絞られていた可能性があります。
話題づくりと座席の確保は別の課題だという、興行の基本的な構造がこの落差に表れているといえそうです。
Shiritomo MOVIE編集部の考察
作品評価と興行成績が一致しないケースは、SNS時代の映画興行が抱える典型的なねじれです。
試写を見た専門家やメディアの高評価がXで拡散されても、それが実際のチケット購入につながるとは限りません。
むしろ「面白い」という評判が広がるタイミングと、公開直後の初動が合わなければ、口コミが波及する前に上映機会そのものが縮小してしまうリスクがあります。
副音声上映のような追加施策は、公開後の口コミを取りこぼさないための工夫として理にかなっていますが、初動の落ち込みをどこまで巻き返せるかは、今後の週末動員データで見えてくるはずです。
まとめ
『5秒で完全犯罪を生成する方法』は、専門家からの高評価と裏腹に、公開直後の客足には厳しい数字が並びました。
副音声上映などの追加施策が、この落差をどこまで埋められるか注目されます。
