「絶対に勝ってほしい」――津田健次郎さんのAI声模倣訴訟、9月30日に東京地裁が判決へ
AIが模倣したナレーション付き動画、188本。
平均再生回数は147万回で、投稿者は月50万〜75万円の広告収益を得ていたとされます。
声優・俳優の津田健次郎さんが、この動画の削除を求めてTikTok運営会社を訴えた裁判の中身です。
9月30日、東京地裁がこの裁判の判決を言い渡します。
SNSで自分の声や話し方を使って発信している人なら、誰にとっても他人事ではない判断になりそうです。
先に結論をまとめると:
– 9月30日、東京地裁は津田健次郎さんがTikTok運営会社を訴えた裁判の判決を言い渡します
– 争点は「AIが模倣した声にパブリシティー権(本人の声や姿が持つ経済的価値を守る権利)が及ぶか」で、生成AI時代の声の権利をめぐる国内初の司法判断とされています
– 法務省の有識者検討会は今年8月、声もパブリシティー権の保護対象に含めるべきだとする指針をすでに示しています
188本の動画と月50万円の収益――訴訟の発端
訴状によると、2024年7月から2025年9月にかけて、氏名不詳のアカウントが都市伝説やオカルト系の話題に津田さんの声質を模したナレーションを付けた動画を188本投稿していました。
動画には「ツダケンの声」「声が似ている」といったコメントが相次ぎ、平均再生回数は1本あたり147万回。
投稿者はこの間、月50万〜75万円の広告収益を得ていたとみられています。
津田さん側は2025年11月に提訴し、「ありふれた内容を津田さんの声で価値を生み出した」としてパブリシティー権の侵害と不正競争防止法違反を主張しています。
この訴訟の行方には、ファンだけでなく声優業界からも注目が集まっています。
津田健次郎さん、絶対に勝ってほしい。
— アニメーターVTuber🐺🌸🍓葛ノ葉みゆ@『ミニキャラの作画教室』発売中 (@miyu_haishin) 2026年9月27日
これ負けたら日本のアニメ文化やら何やらもうおしまいだと思う。
きちんと時代に合わせて法整備をして、
もっとたくさんの人にきちんと権利について考える機会になってほしい。 https://t.co/1QlB64Vck4
ただ、この裁判は「AIが似せた声を使って収益を得ることの是非」を問うだけでは終わりません。
そもそもパブリシティー権が、生身の声ではなくAIが生成した声にまで及ぶのかという、より根本的な問いが横たわっています。
調べて分かったこと
TikTok側はどう反論しているのか?
TikTok運営会社側は、問題のナレーションは「普遍的な男性の声にすぎず、話し方も特徴的ではない」として類似性そのものを否定しています。
投稿者は「友人の声を学習させた」と説明しているとも報じられており、AIが学習した元データが津田さん本人の声ではないという主張も展開しているようです。
また、提訴後にはすでに問題の動画データが削除されているとして「訴えの利益がない」とも主張しています。
なぜ「パブリシティー権」が争点になるのか?
パブリシティー権は、もともと著名人の名前や写真が持つ「顧客を引き寄せる力」を、本人だけが独占的に利用できるとする権利です。
従来は写真や動画、名前の無断使用が主な対象でしたが、今回のようにAIで生成した声が争点になるのは前例がありません。
法務省の有識者検討会は今年8月、声もパブリシティー権の保護対象に含めるべきだとする指針を公表しており、今回の判決はその考え方を裁判所が実際に採用するかどうかを占う試金石になりそうです。
人気声優の津田健次郎さんがTikTokを相手に起こした「生成AIによる声の無断模倣」削除請求訴訟の東京地裁判決が9月30日に予定されています
— DAWスタイル@音楽制作 (@dawstyle) 2026年9月27日
この訴訟の判決は、AI時代における声の利用と権利保護を考える上で大きな意味を持つことになりそうですので注目ですhttps://t.co/KA1mnqi1SC
この訴訟が「AI時代における声の利用と権利保護を考える上で大きな意味を持つ」という受け止めは、SNS上でも広く共有されています。
パブリシティー権とは、そもそも何を守る権利なのか?
「パブリシティー権」という言葉自体、月6,600件ほど検索され続けている息の長い関心事です。
有名人でなくても、AIで自分の声や顔を無断で使われたときにどんな権利を主張できるのかは、声で発信する配信者やクリエイターにとっても無関係ではありません。
現状ではっきりしているのは、著名人の声や姿から生じる経済的価値を勝手に利用されない権利がある、という点だけで、AIが「似せた声」を作った場合にどこまで適用されるかは、今回の判決が最初の物差しになります。
Shiritomo編集部の考察:明日から意識したいのは「声の再現性」
編集部として気になるのは、147万回という再生数の大きさです。
これは「AIで似せた声のクオリティが高かった」というより、聞き手が本物と信じ込むほど自然に聞こえたことの裏返しでしょう。
SNSでボイスやナレーションを使って発信している人は、今後は「自分の声が学習データとして使われていないか」を定期的に検索で確認する習慣が必要になるかもしれません。
海外では俳優の声を無断でAI広告に使われた事例が相次いで訴訟化しており、日本でも今回の判決を境に、声の無断利用に対する監視の目が一気に強まる可能性があります。
まとめ
9月30日の判決は、AIが模倣した声にも人の権利が及ぶのかを占う最初の司法判断です。
結果次第で、声を使って発信するすべての人の「安心して声を出せる範囲」が変わってきます。
