トランプ氏がAIを「SI」と呼ぶことで習近平氏と合意、ただし中国発表は「人工知能」のままだった
トランプ大統領と習近平国家主席が並んで会談した9月25日、ホワイトハウスが公表した「ファクトシート」には、両国が人工知能(AI)を「スーパーインテリジェンス(SI)」と呼ぶことで合意した、と記されていました。
ところが同じ会談を報じた中国国営メディアの発表文には、「人工知能」という従来の言葉がそのまま残っています。
Xでは呼称変更そのものを揶揄するジョークも飛び交い、AIの呼び方ひとつがこれほど話題になるとは、と感じた人も多いはずです。
SNSでAI関連の情報を追っている人にとっては、この「呼称変更」が実際どこまでの合意なのかが気になるところです。
この記事では、ホワイトハウスの発表と中国側の報道、Xの反応を突き合わせて確認しました。
先に結論をまとめると:
– ホワイトハウスは9月25日夜、トランプ・習会談の成果をまとめた「ファクトシート」を公表し、両国がAIを「スーパーインテリジェンス(SI)」と呼ぶことに合意したと発表しました
– 新設される「米中スーパーインテリジェンス対話」でリスクと利益を協議し、11月までに次回会合を開くことも盛り込まれています
– 一方、中国の新華社通信が報じた合意内容では、呼称は従来の「人工知能」のままで、「SI」という言葉は使われていません
SI呼称にツッコミが相次いだ——Xで広がった呼称変更への反応
トランプ氏が「人工知能」を「スーパーインテリジェンス」と呼ぶよう提唱したのは、今回の首脳会談より前、9月22日の国連総会演説でのことでした。
演説の中でトランプ氏は「artificial(人工的)という言葉は、知能を偽物っぽく聞こえさせる」と述べ、米政府の文書ではAIを「SI」と表記するよう指示すると明らかにしています。
呼称を決める前には自身のTruth Socialで支持者に「スーペリアインテリジェンス」「エクストリームインテリジェンス」「シュプリームインテリジェンス」の3択で投票を呼びかけ、決選投票では「スーペリアインテリジェンス」が52%対48%の僅差で「エクストリームインテリジェンス」を上回ったものの、演説で実際に使われた「スーパーインテリジェンス」という呼称は、この投票の選択肢には入っていなかった、という経緯もありました。
この提案について、Xでは次のような投稿も見られました。
US President Trump:
— Polymarket Intel (@PolymarketIntel) 2026年9月25日
Very productive meeting with President Xi for both the U.S.A. and China. Tremendous things will be happening. Like almost everyone else, he seemed to like calling the poorly and inaccurately named Artificial Intelligence to a far more accurate and important…
日本語に訳すと「トランプ大統領:習主席との会談は米中両国にとって非常に生産的だった。
素晴らしいことが起きるだろう。
ほぼ全ての人と同様、彼も『人工知能』という誤って名付けられた不正確な呼び方を、より正確で重要な名前『スーパーインテリジェンス』に変えることを気に入ったようだ」という内容です。
会談の場でもこの呼称が話題になったことがうかがえますが、この投稿だけでは「呼称変更が両国の正式な合意になったのか」までは分かりません。
そこで、会談後の公式発表を確認しました。
ホワイトハウスの発表と中国側の発表、何が違うのか
9月25日夜、ホワイトハウスは首脳会談の成果をまとめた「ファクトシート」を公表しました。
それによると、両国は人工知能ではなく「スーパー・インテリジェンス(SI)」という用語を用いることで合意し、新たに「米中スーパーインテリジェンス対話」を設立、AIのリスクと利益について意見を交わす次回の協議を11月までに行うとしています。
加えて、AIをめぐる問題が発生した際に両国が連絡を取り合うための専用の連絡経路も設けるとされました。
中国側は本当に「SI」を使ったのか?
一方、中国国営の新華社通信が中国時間26日に報じた会談の内容では、対話の枠組みや連絡経路の設置については米側の発表とほぼ同じでしたが、呼称は「人工知能」のままで、「SI」という言葉は使われていません。
毎日新聞の報道でも、この呼称の食い違いが指摘されています。
つまり、対話の仕組みそのものは両国が合意した一方で、「呼び方を変える」という部分は、少なくとも中国側の公式発表上では反映されていない状態です。
首脳会談で出される「合意」が、両国の発表文で必ずしも一言一句同じ扱いになるとは限らないことがうかがえる一例と言えます。
こうした食い違いも含めて、Xの反応は呼称そのものへのツッコミに集まりました。
AIはSIになりました
— 平川 凌 (@g7z5e) 2026年9月23日
トランプ大統領、「人工知能(AI)」を「スーパー・インテリジェンス(SI)」へ 呼称変更を表明https://t.co/qizx4i2sMs
「AIはSIになりました トランプ大統領、『人工知能(AI)』の呼称を『スーパーインテリジェンス(SI)』に変更すると国連演説で表明。」という投稿のように、呼称変更そのものを面白がる反応が目立ち、SIという略称が本来とは違う意味に受け取られたことを皮肉る反応も広がっています。
真面目な政策論として受け止めるより、ネタとして拡散した側面が大きそうです。
貿易面ではどんな合意があったのか
今回の会談では、AI関連の合意以外に貿易面での取り決めも発表されています。
The U.S. and China agreed to lower tariffs on $30 billion worth of goods each country imports from the other and launch new talks on AI following President Trump’s summit with Chinese President Xi Jinping. pic.twitter.com/MPZ78KyVyM
— WMBD News (@WMBDNews) 2026年9月26日
日本語に訳すと「米国と中国は、互いから輸入する300億ドル相当の商品について関税を引き下げ、トランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談を受けてAIに関する新たな協議を開始することで合意した」という内容です。
ホワイトハウスの発表でも、安全保障上の問題のない農産品・家電製品などについて双方が関税優遇を行うことや、中国が来年から2年間米国産石炭を輸入することが盛り込まれており、AIの呼称変更は今回の一連の合意の中の一項目という位置づけのようです。
Shiritomo編集部の考察:「呼び方」が交渉のカードになる時代
今回の一件が示しているのは、AIという言葉そのものが、もはや技術用語ではなく交渉・広報の材料になっているということです。
トランプ氏が「artificial」という語のイメージを問題視し、自国内での呼称を変えるだけでなく首脳会談の成果としてこれを盛り込んだのは、AI政策を安全保障・外交と同じ土俵で扱っていることの表れとも読めます。
一方で中国側が呼称部分だけ自国の発表に反映しなかった点は、対話の枠組みという実務的な合意には応じつつ、象徴的な言葉遣いの変更には距離を置いた、という判断に見えます。
SNS運用やAI活用に関わる立場からすると、今後「AI」を指す言葉が政治的な文脈でぶれる可能性がある、という点は留意しておく価値がありそうです。
まとめ
トランプ・習会談後にホワイトハウスが公表したファクトシートは、両国がAIを「スーパーインテリジェンス(SI)」と呼ぶことに合意したとしています。
しかし中国側の発表では、従来の「人工知能」という呼称が使われていました。
対話の枠組みという実務面では合意が一致していた一方、呼称という象徴的な部分には食い違いが残る結果になっています。
さらに深掘りしたい方へ
会談の詳細は読売新聞オンラインの記事でも確認できます。


