ガラケー「復活してほしい!」とKDDIがXで調査、INFOBARやG’zOneを生んだ名機の系譜
「もし、もう一度だけあの頃のケータイが使えるなら……」。
KDDI公式のXアカウントが2026年11月4日、こんな問いかけを投稿しました。
「復活してほしい!」と思う、auの推しケータイは何か。
再販の予定はないと明記したうえで、ユーザーの”推し”を募るだけの投稿です。
SNSの運用を見ている読者や、通信業界のニュースを追っている読者にとって気になるのは、この投稿が単なる思い出話で終わらない点です。
KDDIは「いい推しの日」(11月4日)という記念日に合わせてこの問いを出していて、同社が全国で続けている「おもいでケータイ再起動」イベントとも地続きの文脈にあります。
この記事では、公式投稿の中身を確認したうえで、過去にKDDIが紹介してきた実在の名機と、いまも販売が続くフィーチャーフォンの現在地を調べました。
先に結論をまとめると:
– KDDI公式は11月4日「いい推しの日」に合わせ、Xで「復活してほしい推しケータイ」をユーザーに聞く投稿をした(再販予定はないと明記)
– INFOBAR(2003年・深澤直人デザイン)やW41CA(2006年・CASIO製)、G’zOne(CASIO製のタフネス機)など、auには実際にデザイン史に残る名機がある
– ガラケーそのものの新機種は出ていないが、ボタン式の「フィーチャーフォン」は今も現役で、2026年10月23日には京セラ製の新型が発売されている
KDDI公式がXで「推しケータイ」を募った
KDDI公式アカウント(@official_kddi)が投稿したのは、こんな文面でした。
「もし、もう一度だけあの頃のケータイが使えるなら……」から始まり、「『復活してほしい!』と思う、auの推しケータイはなんですか?現在再販予定はありませんが、皆さまの想いをぜひお聞かせください📮」と続きます。
末尾には「#いい推しの日」のハッシュタグが添えられていました。
もし、もう一度だけあの頃のケータイが使えるなら……
— KDDI公式 (@official_kddi) 2026年11月4日
「復活してほしい!」と思う、
auの推しケータイはなんですか?
現在再販予定はありませんが、皆さまの想いをぜひお聞かせください📮#いい推しの日 pic.twitter.com/aLmdTVCwXh
「いい推しの日」は、11月4日の語呂合わせ(いい=11、推し=04)から生まれた記念日で、2019年に日本記念日協会に登録されています。
KDDIがこの日に合わせてガラケー(従来型携帯電話の通称)の”推し”を聞く投稿をしたのは、単発の思いつきというより、同社が2016年から全国で660回以上開催してきた「おもいでケータイ再起動」――電源が入らなくなった古いケータイを専用機器で再起動し、中に残る写真を取り出すイベント――の文脈とも重なります。
ただし今回の投稿自体は「再販予定はない」と明記したアンケートであり、具体的な復刻の計画が決まったわけではありません。
ここで気になるのは、KDDIが”推しケータイ”として語られそうな機種に、実際どんな背景があるのかということです。
調べて分かったこと
なぜ「名機」と言われるのか?INFOBARとG’zOneの正体
代表格はINFOBARです。
2003年10月31日に発売されたこの端末は、プロダクトデザイナー・深澤直人氏が手がけた「au design project」の第1弾でした。
深澤氏自身は、皮をむいたジャガイモを洗うときの手のひらの心地よさからデザインを発想したと語っています。
2003年度のグッドデザイン賞を受賞し、2005年にはドイツのiFデザイン賞も受賞、現在はニューヨーク近代美術館(MoMA)に永久収蔵されています。
ボタンを格子状に並べたデザインは、折りたたみ全盛だった当時の携帯市場では異色の存在でした。
タフネス系の代表がG’zOneです。
CASIO(カシオ)が開発した防水・耐衝撃性能を備えたシリーズで、2000年代を通じて複数のモデルが展開されました。
カシオは2013年に携帯電話事業から撤退しましたが、G’zOneのブランドは京セラとのコラボレーションで2021年12月、「G’zOne TYPE-XX」として復活しています。
米国防総省の試験規格「MIL-STD-810H」の複数項目に準拠するなど、無骨な耐久性へのこだわりは現行モデルにも引き継がれているようです。
もう一つ、W41CA(CASIO製・2006年2月9日発売)は、発売週から19週連続でau端末の販売1位を記録し、2006年の年間売り上げ1位になったヒット機種です。
薄さ22mmのスリムボディと約207万画素カメラ、おサイフケータイ対応を両立させていました。
同じ2006年にはソニー・エリクソン製のW44S(2006年12月8日発売)も登場し、縦にも横にも開く「デュアルオープンスタイル」や、携帯電話としては国内初の地上デジタルラジオ対応といった独自機能で注目されています。
これらの機種が今なお語られるのは、スペックの高さだけでなく、それぞれのメーカーが「らしさ」を前面に出したデザインを競っていたからだと分かります。
スマートフォンが広がる前の数年間は、同じ「au」ブランドの中でもメーカーごとの個性がはっきり分かれていた時代でした。
今も「ガラケー」は買えるのか?
ガラケーという呼び名の機種そのものは、2026年現在、新機種としては発売されていません。
ただし、ボタン操作ができる「フィーチャーフォン」(見た目はガラケーに近いボタン式の携帯電話で、ガラホとも呼ばれます)は現役です。
auでは2026年10月23日、京セラ製の「かんたんケータイ ライト KYF45」を発売しました。
4G LTE・VoLTE対応の折りたたみ型で、価格は49,800円(最大22,000円の割引あり)。
3.4型ディスプレイに大きな文字を表示する「でか文字」機能を備え、連続待受時間は約360時間、連続通話時間は約880分とされています。
つまり、2000年代の”デザインが際立つガラケー”そのものの復刻は今のところ予定されていませんが、シンプルな操作性を求める層向けの「ボタン式ケータイ」という需要自体は途切れていません。
KDDIの今回の問いかけは、その需要の芯にある「あの頃の使いやすさ」を言葉にする試みとも読めるのではないでしょうか。
Shiritomo GADGET編集部の考察
KDDIのような大手通信会社が、新製品も新サービスもない日に「思い出アンケート」を投稿するのは、コストの低いエンゲージメント施策として理にかなっています。
記念日(いい推しの日)に紐づけることで、本来の文脈(通信契約やスマホ販売)から離れた”推し活”の輪の中に自然に入り込めます。
再販予定がないと明記しているあたりにも、過度な期待や炎上を避ける配慮がうかがえます。
ただ注意したいのは、こうした投稿が出た瞬間に、ファンの反応が集まったかのように書かれがちな点です。
今回確認できたのは公式の呼びかけ投稿1件のみで、返信や引用の内容までは確認できていません。
SNS分析の基本に立てば、投稿の反響を語るには、実際に反響を示すデータ(返信数・引用数・いいね数の推移)が要るのであって、呼びかけそのものを反応と混同してはいけないはずです。
まとめ
KDDIが11月4日にXで投げかけたのは、「もう一度使えるなら、どのケータイが欲しいか」という一つの問いでした。
その答えの手がかりは、INFOBARやG’zOne、W41CA、W44Sといった実在の名機の歴史の中にあり、現行のフィーチャーフォンが今も発売されていることが、その問いが今も意味を持つことを示しています。