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Uberが2026年のAI予算を4カ月で使い果たした——COOが「投資対効果が見えない」と公言した日

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年5月27日 更新
Uberが2026年のAI予算を4カ月で使い果たした——COOが「投資対効果が見えない」と公言した日

「AIツールを入れれば生産性が上がる」という前提が、いよいよ問い直されはじめています。

その象徴ともいえる出来事が、大手配車サービスのUberで起きました。
2026年のAI予算が、たった4カ月で底をついたのです。

Anthropicの「Claude Code(クロードコード:AIがコードを自律的に書き換えるエージェント)」を5,000人のエンジニアに展開したところ、利用率が急上昇しました。
2月の32%から3月に84%、4月には95%まで跳ね上がったのです。
コードコミットの70%がAI由来となり、さらにバックエンド更新の11%はAIエージェントが人間の監督なしに自律実行するまでになりました。

それは目覚ましい数字です。
でも、COOのアンドリュー・マクドナルド氏はこう言いました。
「その繋がりが、まだ見えない」と。

5,000人規模での展開と「予算爆発」の全貌

Uberが「Claude Code」の全社展開を始めたのは2025年12月のことです。
一人あたりのトークンコストは月500〜2,000ドル。
これが5,000人に乗算されると、1カ月で25億〜100億円規模のコストになります。

CTOのプラビーン・ネッパリ・ナガ氏は4月の時点で「2026年のClaude Code/Cursorの予算はすでに使い果たした」と社内で開示しました。
まだ2026年が始まって4カ月しか経っていない時点でのことです。

AI活用の指標だけ見れば、Uberはほぼ「完璧」です。
利用率95%、AIコミット70%、自律エージェント実行11%——どれも圧倒的な数字です。

しかし、CEO(最高経営責任者)のダラ・コスロシャヒ氏は、膨らみ続けるコストを吸収するために「新規採用を抑制する」という判断を下しました。
AIツールへの投資を維持するために、人を雇うのをやめるという状況です。

「利用が増えても、機能が増えたか分からない」——COOの本音

もっとも注目を集めたのは、COOマクドナルド氏の発言です。
氏はこう率直に語りました。

「利用増加と、消費者向けの有用な機能改善の間に、まだ直接の繋がりが描けていない。
その繋がりが描けない限り、この投資を正当化するのは難しくなる」

AIツールを大規模展開している企業のCOOが、公の場で「ROI(投資対効果)が見えない」と認めた——これは異例の発言です。

Xでは、この話題が広く拡散しました。

日本語AIニュース解説で知られるチャエン氏は「MicrosoftがClaude Codeの社内ライセンスを廃止、UberもAI予算を4カ月で使い切ったのは、Claude Codeが悪い話じゃない。
良すぎてエンジニアが使い倒し、予算が青天井で爆発したパターン。
トークン従量課金の怖さを大企業2社が身をもって証明してしまった」と分析しています。

UberのCOO発言の核心をまとめたこの投稿も、「エンジニア95%がAI利用、コミット70%がAI由来も消費者機能の比例増に直結せず」という問題の本質を的確に捉えています。

Microsoftも同じ問題を抱えた——「tokenmaxxing」という現象

実はUberだけの話ではありません。
Microsoftでも似たような事態が起きていました。

WindowsやOfficeを担当するExperiences & Devices部門のエンジニアたちがClaude Codeを使い始めたところ、コストが想定を大幅に超過。
6月末をもって社内ライセンスをキャンセルし、自社製品であるGitHub Copilot CLIへの移行を命じる事態になりました。
自社ツールよりAnthropicのツールを使いたがるエンジニアたちに「財務的な理由」での方針転換を迫るという、皮肉な展開です。

こうした現象の背景には、IT業界で「tokenmaxxing(トークンマクシング)」と呼ばれる問題が潜んでいます。
AI活用ランキングを社内で作り、月間最低利用量を義務付けた結果、誰も読まないドキュメント生成や長大なコンテキストの大量生成が増えたというのです。
本来の目的ではなく「トークンを消費すること」が目標になってしまいました。

「トークン消費量という測定可能な指標を最大化しようとするあまり、本来の目的である生産性向上から外れていく」——これはあらゆる組織管理に共通する「指標のすり替え」リスクです。

Hacker Newsの議論では「月に5,000〜1万ドル使っている人に、それが5万〜10万ドルの価値を生み出しているか証明してほしい」という問いが注目を集めました。

量から「成果の可視化」へ——Duolingoの転換

こうした流れを早く察知した企業も出てきています。
Duolingoは、AI活用の指標を「利用量」から「成果指標との連動」へとシフトする方向で動いています。

Uberのコスロシャヒ氏は「AIはエンジニアのスーパーパワーだ」という立場を崩していませんが、ROIの可視化は急務です。

「AIを何人に入れたか」ではなく「AIが何の成果を生み出したか」——この問いに答えられる組織とそうでない組織の差が、次のフェーズで広がっていきそうです。

さらに深掘りしたい方へ

ファインディが打ち出した「開発資本」——AI導入だけでは成果が出ない、その理由を新指標で測るファインディが打ち出した「開発資本」——AI導入だけでは成果が出ない、その理由を新指標で測る「うちもAIツールを入れたのに、なぜか生産性が上がらない」——そういった声を、最近エンジニアリングの現場でよく耳にするようになりました。

まとめ

UberのAI予算爆発は、「ツールを入れれば使われる」「使われれば成果が出る」という二つの仮定が同時には成立しないことを示してくれました。
今、多くの企業が「AI活用の量」から「成果の可視化」へとフォーカスをシフトさせようとしています。
次の競争軸は、AIをどれだけ使うかではなく、どれだけ正しく使えているかになりそうです。