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「朝から吐きそう」——ZIP!のAI生成アニメが引き起こした、静かな分断

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年5月30日 更新
「朝から吐きそう」——ZIP!のAI生成アニメが引き起こした、静かな分断

「やっとアニメになるんだ!」と楽しみにして見たら、画面から何とも言えない不気味な動きが流れてきた——そんな朝が、5月28日にありました。

日本テレビの朝の人気番組『ZIP!』で放送された、お笑いコンビ・きつねのキャラクター「にぎりん坊や かつお」のアニメ映像が、X(旧Twitter)を中心に大きな議論を呼んでいます。
「朝から吐きそう」「気持ち悪すぎる」という声が続出する一方で、「これがこれからの当たり前になる」「TV局の制作環境を考えれば仕方ない」という声も。
賛否が真っ二つに割れた一件として、生成AI(コンテンツを自動生成するAI技術)とメディアのあり方を問い直すきっかけになっています。

「有吉の壁」で優勝し、翌朝アニメになったはずが…

事の発端は、5月27日放送の『有吉の壁』です。
「アニメ化争奪!おもしろキャラクター選手権」という企画で、芸人たちがアニメ化されそうなキャラクターを披露し、有吉弘行さんが気に入ったキャラクターを実際にアニメ化するという内容でした。

優勝したのが、きつねが演じた「にぎりん坊や かつお」。
有吉さんが「ここからビッグマネーが生まれる可能性がある」と期待をあおったこともあり、翌朝の『ZIP!』でどんな映像になるのか——多くの視聴者が楽しみにしていたようです。

ところが翌28日、ZIP!に出演したきつねの2人とともに公開されたのは、手描きアニメでも3DCGでもなく、生成AIによって制作された映像でした。

AI独特の「不気味の谷」に、視聴者が拒否反応

放送後、Xでは否定的な反応が相次ぎました。
「AIアニメ普通に気持ち悪すぎて朝から吐きそう」「ZIPで絵がAIすぎるアニメやってて朝から体調悪くなった」「やめてくれ気持ち悪い」——こうした投稿が次々と流れてきたそうです。

ロボット工学の研究者・森政弘氏が1970年代に提唱した「不気味の谷」という概念があります。
人間に似たものが「似ているけれど何かが違う」というポイントに達すると、親しみではなく強い不快感を引き起こすという現象です。
生成AIのアニメーションは、まさにこの谷に落ちやすいと指摘されています。
動きが滑らかすぎたり、逆に不自然にぎこちなかったりと、人間の感覚が「何かおかしい」と察知しやすいのです。

視聴者の期待がより大きかったのも、不快感を強めた一因かもしれません。
「アニメ化争奪」という言葉には「本格的なアニメ作品になる」というイメージが自然とついてきます。
そこへ、見慣れない質感の映像が現れた落差——これが「裏切られた」という感情に直結したのではないでしょうか。

擁護派の声:短納期では現実的な選択肢

一方で、生成AI使用を支持・理解する声も少なくありませんでした。

「テレビの制作現場を知っていれば仕方ない」「短納期でキャラクターを動かせるのはAIしかない」——こうした意見は、テレビ制作の実態を踏まえたものです。
朝の情報番組では、前日の放送から翌朝の本番まで数時間しかないケースもあります。
その中でアニメーターに依頼し、コンテ・作画・動画・仕上げのプロセスを経て完成品を届けることは、物理的に難しい場面もあります。

また、日本テレビは最近、生成AIを積極的に活用する方針を打ち出しています。
同時期に放送が始まった他の番組でも生成AI企画が展開されており、今回のZIP!での使用はその流れの延長とも言えます。

問われているのは「ラベリング」かもしれない

この一件で改めて考えさせられるのは、「生成AI使用の開示」についてです。

視聴者の多くが不快感を覚えた最大の理由は、「手描きアニメ」や「CG」を期待していたのに、説明なく生成AIの映像が流れてきた、という点にあります。
もし事前に「今回は生成AIで制作します」というアナウンスがあれば、受け取り方はかなり変わっていたかもしれません。

生成AIで作られた画像や動画が日常的になりつつある今、「どのように作られたか」を明示するかどうかが、視聴者との信頼関係に影響し始めています。
特に「アニメ化」「映像化」という言葉には強いイメージがあるだけに、事前の説明と期待値の調整が不可欠な時代に入っていると感じます。

まとめ

ZIP!のAI生成アニメ論争は、「技術の問題」と「コミュニケーションの問題」が絡み合った出来事です。
生成AIの品質が上がり続ける一方で、視聴者との向き合い方——何を、いつ、どう伝えるか——が問われ始めています。
AI技術を活用することへの賛否より先に、「どう使うかを開示する文化」が育つかどうかが、次の焦点になりそうです。

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