「スプラトゥーン目当てで始めたのに14年」——#MyXAnniversaryが暴いた、Xユーザーが離れられない本当の理由
先日、タイムラインに奇妙な光景が広がっていました。
「14年目!?」「まじか…あの頃は若かったのに」という声とともに、カラフルな数字のカード画像が次々と流れてきたのです。
そのカードの上には、「#MyXAnniversary」の文字。
Xが毎年送る「登録記念日通知」のシーズンが、今年もやってきたわけです。
気になって読み進めていくと、ちょっとおもしろいことに気づきました。
多くのユーザーが「なぜXを始めたか」を書き添えているのですが、その登録動機がバラバラすぎるのです。
「スプラトゥーンの情報収集のために」「推しバンドのライブが終わって寂しくて」「友だちに勧められた気がする」——。
登録のきっかけは本当に些細なことなのに、それがいつの間にか「14年」になっていた。
そのギャップに、思わずうなってしまいました。
今年の波は「ベテラン勢」が中心
今回のトレンドでは、8〜15年という長期ユーザーが特に多く投稿していました。
2011〜2013年ごろ——東日本大震災の年や、スマートフォンが急速に普及した時期——にアカウントを作ったユーザーが、そのまま14年・15年を迎えているわけです。
「ここまで続くとは思っていなかった」というつぶやきが、多くの共感を集めていました。

投稿の内容を見ていると、単なる「〇年目です」という報告に留まらず、自分のTwitter(当時)との関わり方の変化を語るものが目立ちます。
「最初はゲーム情報専用だったのに、今では仕事の人脈まで広がった」。
「推しを追いかけるためのアカウントが、今は日常の議論の場になっている」。
使い方は大きく変わったのに、プラットフォームへの愛着はむしろ積み重なっていく——そういう投稿が目立ちます。
一方で、5〜6年目のユーザーも「5年か!?」と驚きながら参加しており、ベテランだけでなく中堅ユーザー層にも広がりを見せています。
「記念日UGC」という仕掛けの巧みさ
MyXAnniversaryは、Xが毎年実施している「登録記念日通知」機能です。
登録した月日を迎えると、「Xに登録した日を覚えていますか?」という通知とともに、年数をあしらった専用の記念カードが表示されます。
現在は15周年まで用意されており、ユーザーはそのカードをワンタップでそのまま投稿できる設計になっています。
この仕組みがよくできているのは、「投稿のハードルを限りなく下げている」点です。
記念カードは最初から画像として完成しているので、テキストを考える必要がありません。
ユーザーは「〇年目!」と短く書き添えるだけで投稿が成立します。
その手軽さが、普段あまり投稿しない「低浮上ユーザー」まで引き込む効果を生み出しています。
2013年ごろまでさかのぼると「#MyTwitterAnniversary」という旧名称で運用されており、2023年のX改名後に現在のハッシュタグへと変更されました。
改名によるブランドイメージの変化があった中でも、この施策だけは着実に引き継がれ、今年も多くのユーザーを動かしています。
プラットフォームが変わっても「人」はここにいる
正直なところ、ここ数年のXをめぐる状況は穏やかではありませんでした。
買収、リブランド、広告主の離脱、機能変更——ネガティブなニュースが続く中で、「使い続ける理由がない」という声も聞かれてきました。
それでも、#MyXAnniversaryのタイムラインを見ると、人々はここに居続けています。
「プラットフォームの仕様より、ここでつながってきた人たちのほうが大事」という感覚がにじみ出る投稿が多く、純粋に「Xにいること自体」への愛着が伝わってきます。
スプラトゥーン目当てで始めたとしても、14年後にはそのゲームより古い友人関係がここに生まれていた——そういうことが、SNSでは起きるのです。

さらに深掘りしたい方へ
SocialReport編集部の考察
MyXAnniversaryのタイムラインを眺めていて改めて感じるのは、「長期ユーザーの感情的ロイヤルティ」と「プラットフォームの仕様変更への耐性」は必ずしも一致しないということです。
Xはここ数年で大きく変化しましたが、長期ユーザーの多くはプラットフォームではなく「そこにいる人間関係」にロイヤルティを持っています。
このことは、ブランドアカウントの運用にも示唆を与えます。
フォロワーが増えたから良い、リーチが伸びたから良い——そういった数値目標の裏には、「何年もそのアカウントを見続けている人」が存在するということです。
記念日をきっかけに振り返るユーザーたちのように、ブランドとの長期的な接点を持つユーザーは、短期的な波及よりもはるかに深い関係性を持っています。
SocialReportの分析観点から言えば、エンゲージメント率や拡散数だけでなく、「継続的にリアクションしているアカウントの属性」を追うことが、こうした長期ロイヤルティを可視化する手がかりになります。
8年以上使い続けているユーザーが自社アカウントにどう関わっているかを把握することが、次の施策設計に活きてくるはずです。
「登録動機はスプラトゥーンだったけれど、残った理由は人だった」——このUGCが伝えているのは、結局そういうことではないでしょうか。
まとめ
今年の#MyXAnniversaryは、8〜15年の長期ユーザーが中心となって盛り上がりを見せています。
スプラトゥーンや推し活など、些細なきっかけで始めたアカウントが14年後も続いているという事実は、Xというプラットフォームの持つ「人間関係のインフラ」としての強さを改めて示しています。
記念日UGCの設計を学びつつ、自社の長期ファンとの関係性を見直すきっかけにしてみてください。


