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「魚醤を運ぶふり」から始まった116秒が、タイの購買意欲まで動かした

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年7月7日 更新
「魚醤を運ぶふり」から始まった116秒が、タイの購買意欲まで動かした

116秒の動画で、俳優が魚醤の瓶がぎっしり詰まったリュックを背負って現れます。
相方がその重さに驚くふりをする。
ただそれだけのやり取りに、タイのXでトレンド1位が付きました。

7月6日朝に公開されたこの動画は、タイで人気の俳優ペア、Harit Keng(ハリット・ケン)さんとNapat Namping(ナパット・ナムピン)さんが、伝統的な魚醤ブランド「คนแบกกุ้ง(コン・ベーク・グン)」のプロモーションとして共演したものです。

ファン同士が「エンゲージメント」を数え始める

このコラボが単なる一過性の話題で終わらなかったのは、ファンの反応の質にあります。
動画公開後、Xでは撮影の裏側を想像する投稿や、キャラクターになりきった掛け合いを再現する投稿が相次ぎました。

ファンが撮影の裏側を想像して盛り上がる投稿では、こんな掛け合いが再現されていました(訳:「すごい盛り上がり。
魚醤の撮影日はプールサイド事件の翌日だったなんて。
🦆:もう10時なのにまだいいねが全然ついてない 🐇:だって恥ずかしいもん」)。

ブランド公式アカウントも、2人を「Friend of Brand(ブランドの顔)」として迎えたことをキャンペーンハッシュタグ付きで発信しています(訳:「兄貴もその場にいたよ」)。

注目すべきは、ファンの一部が「エンゲージ数が複数プラットフォームで軒並み数万に達している」と、まるでマーケティング担当者のように数字を追いかけていたことです。
作品の感想だけでなく、数値としての反響そのものが話題の一部になっていました。
海外のファンからも好意的な反応が寄せられ、こんなコメントも見られました(訳:「これは今まで見た中で一番のKengNampingの広告かもしれない。
2人のケミストリーが完璧に表現されてる」)。

なぜ「魚醤」という地味な商材が刺さったのか

「คนแบกกุ้ง」は65年以上の歴史を持つ、MSG(グルタミン酸ナトリウム)不使用をうたう老舗の魚醤ブランドです。
過去には、コロナ禍で打撃を受けた屋台の店主たちを起用した広告で、街のフードカルチャーに寄り添う姿勢を打ち出してきました。
実在の人々を主役にする手法を得意としてきたブランドが、今回はタイで絶大な人気を誇る俳優ペアを起用した点が転換点と言えます。

ポイントは、2人の自然な掛け合いのケミストリー(相性の良さ)をそのまま活かした演出です。
魚醤という日常に根ざした商材を、重い荷物を巡るユーモラスなやり取りに落とし込むことで、広告らしさを薄めながら「見たくなるコンテンツ」に仕立てています
ファンから「日常みたい」という声が上がったのも、演技ではなく素の関係性がにじみ出ていたからでしょう。
結果として、Xでは購買意欲の高まりを示す反応も見られました。

タイでは屋台文化や家庭料理が根強く残っており、魚醤はどの家庭にも必ず一本はある定番調味料です。
だからこそ「地味に見える定番商品」を人気タレントの起用でどう新鮮に見せるかが、ブランドにとって長年の課題だったと考えられます。
今回の動画は商品説明を一切せず、キャラクター同士のやり取りだけで見せきる構成にすることで、視聴者に「広告を見せられている」という感覚を持たせにくくしている点も特徴的です。

さらに深掘りしたい方へ

SocialReport編集部の考察

今回の事例で示唆的なのは、ファン自身がエンゲージメント数を追いかけて「広める側」に回っていた点です。
通常、企業がインフルエンサーやタレントを起用する際は再生数やいいね数といった指標を運営側が計測しますが、今回はファンコミュニティが自発的にその役割を担っていました。
ブランドが提供すべきは「数字で語れるほど熱狂できる関係性の演出」であり、起用するタレント同士の相性そのものがコンテンツの核になり得るという点は、インフルエンサーマーケティングを検討するSNS担当者への示唆になるでしょう。
またこのブランドは過去にも地域密着型のCSR広告で支持を集めており、今回のタレント起用型施策と合わせて見ると、「日常に寄り添う」という一貫したブランドメッセージが土台にあることがわかります。
単発のバズを狙うのではなく、ブランドの世界観に沿った起用を続けることが、長期的なファンとの関係構築につながる好例と言えそうです。

まとめ

魚醤の瓶を背負うだけのユーモラスな116秒が、タイのXでトレンド1位を獲得し、ファンが自らエンゲージメント数を追いかけるほどの熱狂を生みました。
地味に見える商材でも、起用するタレント同士の関係性を丁寧に活かせば、購買意欲を動かす力を持つことを示した事例です。