「7(ナ)6(ン)」の語呂合わせが10年目もバズる理由——「ナンの日」に見る記念日UGCの設計図
7月6日午前0時過ぎ。
Xのタイムラインに、もちもちのナンとカレーの写真が次々と流れ始めました。
「ナンの日」。
2016年に制定されてから、もう10年目を迎える記念日です。
目新しいキャンペーンがあるわけでも、豪華な景品が用意されているわけでもありません。
それでも毎年この時期になると、同じように投稿が積み上がります。
この「ナンの日」を制定したのは、ピザ生地づくりで培った技術を活かして小麦粉主食を手がける「デルソーレ」ブランドの株式会社ジェーシー・コムサです。
7月6日という日付は、夏本番でカレー需要が高まる時期であることに加え、「7」を「ナ」、「6」を「ン」と読む語呂合わせから選ばれました。
一般社団法人・日本記念日協会に認定・登録された、れっきとした「公式の記念日」です。
制定は2016年なので、今年でちょうど10年目にあたります。
語呂合わせ一つでXが動く朝
7月6日の朝、Xでは「そうか、今日はナンの日か」という気づきの投稿から、手作りナンの写真、イラスト、あみぐるみまで、さまざまな形の「ナン愛」が溢れました。

そうか。
— アカツキ☀味のプロレス (@buchosen) 2026年7月6日
今日はナンの日か。#味のプロレス #今日は何の日 pic.twitter.com/InG5XrsTHN
シンプルな気づきの投稿がいいねを集める一方で、記念日そのものを遊びに変える投稿も目立ちました。
「たっぷりチーズがいいね」と君が言ったから7月6日はチーズナン記念日#ナンの日 pic.twitter.com/SU3Q5Unvqt
— らいらっく@2日目西ね18b (@pfeasy) 2026年7月6日
「たっぷりチーズがいいね」という言葉遊びから「チーズナン記念日」を自称する投稿など、公式の由来を知らなくても誰でも便乗できる軽さが、この手の記念日投稿の特徴です。
VTuberの手毬はなんさんによる「ほんのり甘くて好き」という投稿にも反応が集まり、ライス派かナン派かという定番の議論も、毎年恒例の光景として繰り返されています。

ナンの日 pic.twitter.com/MbrSoJ7c7V
— 村崎 (@cyan_eggplant) 2026年7月6日
投稿されている画像を見ると、専門店の巨大なナンだけでなく、家庭で焼いたと思われる小ぶりなナンの写真も多く混在しています。
「専門店の一皿」と「家庭の食卓」が同じハッシュタグの中で並ぶのが、この記念日のもう一つの特徴と言えるでしょう。
なぜ「なんの変哲もない記念日」が毎年バズるのか
調べてみると、「ナンの日」のような語呂合わせ記念日には共通した設計があることがわかります。
まず、7月6日というタイミング。
夏本番でカレーへの関心が自然と高まる時期に合わせているため、投稿する側にとって「今の気分にぴったり」な話題になりやすいのです。
さらに重要なのが、参加のハードルの低さです。
キャンペーンへの応募や専用アプリのダウンロードといった手間は一切必要なく、「今日食べたナンの写真を投稿するだけ」で成立します。
公式アカウントが仕掛けなくても、ユーザー自身が語呂合わせという“お題”に乗っかって自発的に投稿する、その構造こそがこの手の記念日を毎年再燃させている本質だと考えられます。
家庭でナンを作る人が増えている背景も見逃せません。
無印良品では「フライパンでつくる ナン」というナンミックス商品を販売しています。
材料は水とサラダ油だけ、生地をこねて伸ばしてフライパンで焼くだけで手軽にナンが完成する手軽さです。
SNS上でも「無印のナンが簡単すぎる」といった声はたびたび話題になっています。
専門店に行かずとも家庭で「映える」ナンを作れる環境が、こうした記念日投稿の裾野を広げているのでしょう。
さらに深掘りしたい方へ
SocialReport編集部の考察
「〇〇の日」型の記念日マーケティングは、当媒体でもたびたび取り上げてきたテーマです。
以前紹介した「七味の日」は2010年に大阪の乾物屋が制定し、16年目もバズった事例でした。
この「七味の日」と「ナンの日」を並べてみると、長く支持される記念日には「専門商品を扱う特定企業が制定し、日本記念日協会の認定を受けている」という共通点があることに気づきます。
認定という第三者のお墨付きが、企業の一方的な宣伝ではなく「みんなの記念日」という体裁を作り、ユーザーが乗っかりやすい空気を醸成しているのです。
SNS担当者にとっての示唆は、記念日は作って終わりではなく、家庭で気軽に再現できる商品やレシピとセットで設計することで、UGCが継続的に生まれる土壌になるという点でしょう。
単発の話題づくりではなく、10年単位で育てる前提の施策として捉える価値があります。
まとめ
派手な仕掛けがなくても、語呂合わせと「参加のしやすさ」さえあれば、記念日は毎年ひとりでにバズります。
「ナンの日」が10年目を迎えてなお色褪せないのは、ユーザー自身がお題を面白がって遊べる余白を残しているからかもしれません。