定員60人、参加129人。AI時代のエンジニアが集まった夜の本音
60人。
それが会場のキャパシティでした。
ところが蓋を開けてみると、そこに詰めかけたのは129人。
立ち見が出るほどの熱気で、テーマは「AI時代に、エンジニアはどう発信していくべきか」でした。
7月6日、フリー株式会社の会場で開催された「DevRel Guild Meetup #6」は、そんな盛況ぶりでスタートしました。
DevRel(Developer Relations:企業とエンジニアの関係構築を担う役割)や技術広報を主な仕事にする人はもちろん、エンジニアマネージャーや人事と兼務する人まで、幅広い顔ぶれが集まったといいます。
回を重ねるごとに注目度が高まっているこの勉強会ですが、今回とりわけ関心を集めたのが「AIの波にどう向き合うか」というテーマでした。
生成AIがコードを書く時代になっても、人と人とのつながりを軸にする「DevRel」という仕事は、むしろその重要性を増しているのかもしれません。

Xで話題になっていること
登壇したのは、クラスメソッドの小山氏やFindyのばばしお氏、てぃーびー氏、かわまた氏ら、DevRelの現場を知る面々です。
LT(ライトニングトーク)やセッションのテーマの中心にあったのは、AI活用とエンジニアの「FOMO」でした。
FOMO(Fear of Missing Out:取り残される恐怖)とは、新しい情報や流行に乗り遅れることへの不安を指す言葉です。
生成AIの進化スピードがあまりに速く、数ヶ月前の知識がすぐに古びてしまう今の状況は、エンジニアにとって新しい種類のプレッシャーになっているようです。
登壇資料はイラスト満載で作り込まれており、参加者から「わかりみしかない」というコメントが相次いだといいます。
懇親会でも乾杯のシーンで盛り上がるなど、単なる勉強会にとどまらない交流の場として機能していた様子がうかがえます。
DevRel Guildは2023年にスタートしたコミュニティで、普段はSlackを拠点に活動しており、Xでもハッシュタグ「#devrelguildmeetup」で当日の感想が飛び交いました。
調べたらこうでした
「AI FOMO」という現象は、DevRel Guild Meetup #6に限った話ではありません。
エンジニア向けの技術情報共有サービスQiitaでも、「キャッチアップしないと不安。
AI時代のエンジニアが罹る病『FOMO』と付き合う」と題した記事が公開されるなど、この感覚は多くのエンジニアに共有されているようです。
新しい言語やフレームワークへのキャッチアップ競争自体は以前からあったものですが、生成AIの登場によってそのサイクルが数週間から数ヶ月単位にまで加速し、疲弊を感じる人が増えているといわれています。
一方で、こうした焦りとどう付き合うかについては、「すべてを完璧に理解しようとせず、変化の少ない土台となる知識を優先し、必要になったときに学べばよい」という考え方も広がりつつあります。
実際、DevRel/Tokyo など他のコミュニティでも「DevRel×AI」をテーマにした勉強会が開かれており、AIが開発の現場だけでなく、エンジニアの発信や学び方そのものを変えつつあることがうかがえます。
技術力そのものだけでなく、変化の速さとどう向き合うかという「メンタル面の技術広報」も、これからのDevRelにとって重要なテーマになっていきそうです。

こうした流れの中で、DevRelという職種自体の役割も広がりつつあります。
これまでは新機能や技術ブログの発信が中心でしたが、AIによってエンジニアの学び方や情報収集のスタイルが変わる今、社内外のエンジニアが感じている不安に寄り添い、コミュニティとして支え合う場を作ることも、DevRel担当者の重要な仕事になってきているようです。
今回のミートアップでのFOMOをテーマにしたセッションも、そうした変化を象徴する一幕だったのかもしれません。
さらに深掘りしたい方へ
「AI FOMO」についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になります。
SocialReport編集部の考察
定員60人の会場に129人が集まったという事実は、それ自体が強いシグナルです。
オフラインの勉強会が満員御礼になり、Xで感想がハッシュタグとともに拡散される、というのは、コミュニティ運営における理想的な循環と言えるでしょう。
「わかりみしかない」というような共感ベースの短いコメントは拡散されやすく、内容の正確さよりも「その場にいた実感」を伝える投稿がタイムラインで伸びやすい傾向があります。
企業のSNS担当者がイベントレポートを発信する際も、登壇内容の要約だけでなく、会場の熱量や参加者の生の反応を切り取ることが、エンゲージメントを高める鍵になりそうです。
また、こうした勉強会レポートは、当日参加できなかった層への「次回は行ってみたい」という動機付けにもなります。
ハッシュタグを固定して継続的に運用し、毎回の感想投稿をゆるやかに蓄積していくことは、単発のバズを狙うよりも、コミュニティの信頼を長期的に育てるうえで効果的なアプローチだと言えるでしょう。
定員に対して2倍以上の参加希望が集まったという実績自体も、次回開催のアナウンス時に「参加者の声」として引用できる、貴重なソーシャルプルーフになります。
まとめ
生成AIの進化スピードに焦りを感じているのは、あなただけではありません。
DevRel Guild Meetup #6の盛況ぶりは、そうした不安を一人で抱え込まず、コミュニティで共有し合うことの価値を改めて示してくれました。