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OpenAIがGPT-5.6「Sol・Terra・Luna」と新エージェント『ChatGPT Work』を発表

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年7月10日 更新
OpenAIがGPT-5.6「Sol・Terra・Luna」と新エージェント『ChatGPT Work』を発表

スプレッドシートも、プレゼン資料も、簡単な社内Webアプリも。
「これを作って」と一言頼むだけで、数時間かけて仕上げてくれるAIエージェントが、7月9日に姿を現しました。

OpenAIが公開した新機能の名は「ChatGPT Work」。
人気のチャットボットと、コーディングエージェント「Codex」を1つにまとめた新しい働き方の提案です。
Slack、Microsoft Teams、Google Drive、SharePoint、メール、カレンダー、CRM(顧客管理システム)まで横断してつなぎ、目標を伝えるだけで完成品に近い資料を作ってくれます。

そして同じ日に披露されたのが、頭脳にあたる新モデル群「GPT-5.6」です。
最上位の「Sol」、バランス型の「Terra」、軽量・低コストの「Luna」という3つの名前を持つモデルが揃い踏みしました。
ロールアウト(段階的な機能公開)はこの日のうちに世界中で始まり、24時間以内にほぼ全ユーザーへ届く予定だったといいます。

Xを駆け巡った「半額でFable超え」の声

発表直後から、OpenAI公式アカウントの投稿がXで拡散されました。

「ChatGPT Workを発表します。
CodexとGPT-5.6を搭載した新しいエージェントで、アプリやファイルを横断して行動し、必要なら何時間もプロジェクトに取り組み続け、目標を完成品に変えます。
仕事のやり方そのものを刷新するものです」という趣旨の投稿です。

日本のユーザーからも、機能の要点を整理する投稿が相次ぎました。
生成AI活用エンジニアを名乗るアカウントは「GPT-5.6ファミリー『Sol・Terra・Luna』が正式リリース」として、ChatGPT Workが単なる質問応答にとどまらず、複雑な業務を分解して継続的に実行し、Slack・Teams・Drive・メールなどの情報を横断できる点を紹介しています。

一方で、海外のAI系インフルエンサーからは価格面への注目も集まりました。
「OpenAIはベンチマーク競争ではなく、コスト競争に舵を切った。
GPT-5.6はトークン当たりの仕事量を増やすという、どのフロンティア研究所も追い求めてきたことをやってのけた。
コーディングエージェント向けベンチマークでは競合の『Fable 5』を上回りながら、消費量は半分以下だ」という投稿が5万回以上表示され、大きな反響を呼びました。

日本国内では、神経科学者として知られるアカウントがGPT-5.6を早期に試し、生命科学(生物学・医学など生き物を扱う科学分野)の質問でセーフガード(AIが危険な内容と誤判定してブロックする安全装置)が過剰に作動しなかった点を評価したと伝えられています。
また、北海道で100ヘクタール規模のブロッコリー農園を営む農家のアカウントも、Codexを使ったビニールハウスの遠隔操作や衛星データ解析を日頃から発信している人物です。
専門職・現場の人たちの言及が、単なる技術デモにとどまらない広がりを生んだ様子がうかがえます。

Sol・Terra・Lunaは何が違うのか、実際の数字を確認した

3モデルの立ち位置を整理すると、Solは複雑な推論と長時間の自律作業に強い最上位モデル、Terraは日常業務向けのバランス型、Lunaは大量処理向けの最速・最安モデルという設計です。
API料金は100万トークンあたり、Solが入力5ドル・出力30ドル、Terraが2.5ドル・15ドル、Lunaが1ドル・6ドルとなっており、競合のAnthropic製「Claude Fable 5」(入力10ドル・出力50ドル)と比べると、Solの価格はおよそ半分に抑えられています。

ベンチマーク(性能評価基準)を見ると、コーディングエージェント向けの「AA Coding Agent Index」でSolは80.0を記録し、Fable 5の77.2を上回りました。
ターミナル操作を評価する「Terminal-Bench 2.1」でも標準設定で88.8%、上位設定「ultra」では91.9%に達し、Fable 5の84.3%を上回っています。
消費トークン量や処理時間もFable 5の半分以下という報告があります。

一方で弱点もあります。
総合的な知能を測る「AA Intelligence Index」ではSolが58.9、Fable 5が59.9とわずかにFable 5が上回り、ソフトウェア開発の実務力を測る「SWE-Bench Pro」ではSolが64.6%、Fable 5が80%とおよそ15ポイントの差をつけられています。
コーディングの「手数の多さ」では強いものの、複雑な実務タスクの完遂力ではまだ課題が残っている格好です。

提供対象も段階的です。
ChatGPT本体ではPlus・Pro・Business・Enterpriseユーザーが中〜高負荷設定でSolを利用でき、Pro・Enterpriseユーザーはさらに強力な「Sol Pro」を選べます。
ChatGPT Workでは無料・Goプランのユーザーがまず Terraを利用でき、Plus以上はSol・Terra・Lunaを自由に選択可能です。
展開はPro・Enterprise・Eduプランから始まり、数日以内にPlus・Businessへ広がる計画で、デスクトップアプリではChat・Work・Codexの3タブが1つに統合されました。

なお、今回の一般公開に先立ち、米商務省の監督下で約20の信頼できるパートナーに限定したプレビューが2週間続いていたとも報じられています。
フロンティアモデル(最先端の大規模AIモデル)の公開が、もはや一企業の判断だけで完結しない段階に入りつつあることを示すエピソードといえそうです。

さらに深掘りしたい方へ

OpenAIの新モデル「GPT-5.6」が一般公開へ、その裏でAnthropicが見せたOpenAIの新モデル「GPT-5.6」が一般公開へ、その裏でAnthropicが見せた”延命”の一手「$5、$30。 これがOpenAIの新モデル「Sol」のプレビュー価格です。 6月26日に3モデル同時発表という異例のスタイルでお披露目された「GPT-5.6」シリーズの裏側にあった、Anthropicの一手とは。」

一次情報は、OpenAI公式のモデル紹介ページ「Previewing GPT-5.6 Sol: a next-generation model」やヘルプセンターの「A preview of GPT-5.6 Sol, Terra, and Luna」にまとまっています。
ベンチマーク比較をさらに掘り下げたい方は「OpenAI Releases GPT-5.6 Sol: How It Stacks Up Against Other AI Models」も参考になります。

Shiritomo編集部の考察

今回興味深いのは、OpenAIが「性能で勝つ」より「価格とタスク遂行力で勝つ」戦い方を前面に出した点です。
総合知能で競合にわずかに劣るという弱みを隠さず公開しつつ、コーディング特化ベンチマークと価格差を強調する構成は、SNS上で「半額でここまでできる」という分かりやすい比較軸を作り出すことに成功しています。
マーケティング視点では、完璧な数字を並べるより「どこで勝っているか」を1点に絞って発信する方が拡散しやすいという典型例といえるでしょう。
あわせて、公式アカウント自らが神経科学者や農家といった専門職の実利用エピソードを紹介する手法も見逃せません。
汎用的な性能アピールより、具体的な職業・現場に紐づいた事例の方が「自分ごと化」されやすく、SNS運用担当者が事例発信を設計する際の参考になりそうです。

まとめ

GPT-5.6シリーズとChatGPT Workは、性能そのものよりも「コストあたりの実務遂行力」で存在感を示した発表でした。
ベンチマークの得意・不得意がはっきり分かれている以上、今後は用途に応じたモデルの使い分けが定着していくのではないでしょうか。