「投稿1件に1,737件の返信」——競輪の公式アカウントがTikTokの”踊ってみた”を仕掛ける理由
「別府競輪オリジナル クオカード を10名様にプレゼント」。
地方公営競技である別府競輪の公式Xアカウントがこう投稿したところ、1件の投稿に1,737件の返信、2,427件のリポストが集まりました。
いいね数は1,000を超え、表示回数は2万8,000超。
応募条件は「アカウントをフォローし、ハッシュタグを付けてリプライ&リポストする」というシンプルなものですが、それだけでこれだけの反応を集められる背景には、単発のプレゼント企画にとどまらない仕掛けがありました。
投稿をよく見ると、クオカードのプレゼント告知と並んで「SNS連動企画 踊ってみた動画募集中 #LikeLiveチャレンジ」という一文が添えられています。
競輪という、SNSでの拡散施策があまり目立たない業界のアカウントが、なぜTikTokの「踊ってみた」文化を取り入れているのか。
調べてみると、これは思いつきの一投稿ではなく、数か月がかりのプロジェクトの一部でした。
先に結論をまとめると:
– クオカードのプレゼント企画は単独の施策ではなく、7月24日から始まっている「Like Live 別府けいりん」というオリジナル楽曲+ダンスチャレンジ企画の告知を兼ねている
– 「フォロー&リプライ&リポスト」という応募のハードルの低さが、1,737件という返信数につながっている
– 「#LikeLiveチャレンジ」への投稿はTikTok・Instagramの両方で受け付けており、グランプリには黒毛和牛カタログギフトが用意されている
クオカード企画に集まった1,737件の返信
投稿されたのは、オリジナルダンスナンバー「Like Live 別府けいりん」のジャケット画像でした。
現役の競輪選手とタレントがカラフルな衣装でジャンプするビジュアルに、「推して、ハマって、心沸かせる 別府けいりん」というコピーが添えられています。
✨新プロモ✨クオカ完成記念🎉
— 別府けいりん【公式】 (@beppukeirin) 2026年8月18日
別府競輪オリジナル #クオカード を🔟名様に🎁
応募方法👇
①@beppukeirin をフォロー
②#別府競輪 リプライ&リポスト
⚠️〆切 8/26 23:59 当選はDMで💌
🔊SNS連動企画🕺踊ってみた🕺動画募集中🎶#LikeLiveチャレンジ https://t.co/lxjwqMcxFl#別府けいりん pic.twitter.com/dpaLuS793G
投稿文では「クオカ完成記念🎉」として、別府競輪オリジナルのQUOカードを10名にプレゼントする企画と、TikTok・Instagramでの「踊ってみた」動画募集がセットで告知されていました。
応募〆切は8月26日23時59分、当選者にはDMで連絡が来る仕組みです。
フォロー・ハッシュタグ付きリプライ・リポストという3ステップだけで応募が完結する設計が、1,737件という返信数に直結しているとみられます。
ただ、この投稿単体を見ているだけでは「よくあるプレゼント企画」に見えてしまいます。
そこで、この施策がいつから始まっているものなのかを確認しました。
なぜ競輪の公式アカウントが”踊ってみた”を仕掛けたのか?
調べたところ、「Like Live 別府けいりん」は2026年度に始まった新プロモーションで、ポップなダンスナンバー「Like Live 別府けいりん」の音楽配信と、SNSでの「踊ってみた」キャンペーンを同時に展開する企画でした(西日本新聞)。
楽曲はApple Musicなどの主要配信サービスに加え、カラオケでも配信されており、単なるSNS施策ではなく音楽コンテンツとしても展開されています。
「#LikeLiveチャレンジ」自体の開催期間は2026年7月24日から8月31日まで。
公式に登録されたオリジナル音源を使い、指定のハッシュタグを付けてTikTokまたはInstagramに動画を投稿する形式です。
グランプリには特選黒毛和牛のカタログギフトが用意されているほか、ベストダンス賞・スマイル賞・職場賞・学校賞といった部門賞も設けられており、プロダンサーでなくても参加できる裾野の広さを意識した設計になっています。
今回話題になったクオカードのプレゼント企画は、このダンスチャレンジの認知を広げるための”入り口”として位置づけられていたわけです。
「競輪×TikTok」という組み合わせは何が新しいのか?
競輪をはじめとする公営競技は、SNS運用において「ファン以外にリーチしづらい」という課題を抱えがちなジャンルです。
今回のように、ダンスという誰でも参加できるフォーマットを間に挟むことで、競輪に興味がない層にも接点を作れる可能性があります。
しかも参加賞ではなく、フォロー・リプライ・リポストだけで応募できるクオカード企画を並走させることで、「ダンス投稿までは踏み出せないけれど、この機会に公式アカウントをフォローしておこう」という層まで拾える構造になっている点が興味深いところです。
Shiritomo編集部の考察:ハードルの違う2つの導線を並べる設計
今回の事例で参考になるのは、参加コストの高い施策(ダンス動画の撮影・投稿)と、参加コストの低い施策(フォロー&リプライ&リポスト)を同じ投稿の中で並走させている点です。
ダンスチャレンジだけを告知しても、実際に動画を作って投稿するユーザーはごく一部にとどまります。
しかし同じ投稿内に「これだけで応募できる」プレゼント企画を添えることで、本命施策(ダンスチャレンジの認知拡大)への間口を大きく広げることができます。
SNS担当者が明日から取り入れられるとすれば、メインの施策が参加ハードルの高いものであるほど、その周辺に低コストで参加できる導線をセットで用意しておくことです。
今回のケースでは、その低コスト導線自体が1,700件超の返信という大きな反応を生み、結果的に本命企画の露出も押し上げる形になりました。
まとめ
別府競輪のクオカードプレゼント企画は、単体で見れば小さなキャンペーンですが、実際には7月から続く「Like Live 別府けいりん」というダンスチャレンジ企画の入り口として設計されていました。
参加ハードルの異なる2つの導線を組み合わせたことが、公営競技のアカウントとしては異例の反応につながったといえそうです。