赤字は1.9兆円、黒字は初——Anthropicが売上でOpenAIを追い抜いた地殻変動
OpenAIの営業赤字は、この四半期でおよそ1兆9000億円(123億ドル)まで膨らみました。
同じ四半期に、後発のAnthropicは初めて黒字に転じています。
2026年4〜6月期、生成AI業界の主役の座は、数字の上ではっきり入れ替わりました。
ChatGPTとClaudeを両方使い分けている方にとっても、この逆転は無関係な話ではありません。
どちらの会社が今後どんな機能や価格で攻めてくるかは、この収益構造の差から透けて見えてくるからです。
先に結論をまとめると:
– Anthropicの2026年第2四半期の売上は116億ドル(約1兆8300億円)で、前四半期から2倍超に拡大し、初めてOpenAIを上回りました
– OpenAIの同四半期の売上は67億ドルで伸び率18%にとどまり、営業赤字は123億ドルへ拡大しています
– OpenAIに巨額出資するソフトバンクグループの株価が、この逆転報道を受けて一時9%近く下落しました
何が起きたのか
事の発端は、8月中旬に相次いで表に出た両社の決算関連の数字です。
Anthropicは第2四半期(4〜6月)の売上が116億ドルに達したと明らかにしました。
前四半期の47億ドルから倍以上に伸びた計算で、しかも調整後の営業利益がプラスに転じています。
Claude Codeを中心とした企業・開発者向けサービスが伸びを牽引し、月100万ドル以上を支払う大口顧客も1000社を超えたとされています。
一方のOpenAIは、売上こそ67億ドル(前四半期比18%増)でしたが、ChatGPTの無料ユーザーを維持するコストがかさみ、営業損失は123億ドルまで拡大しました。
X上でもこの対比はすぐに話題になり、次のように速報したアカウントもあります。
OpenAI’s quarterly revenue is now reportedly growing far more slowly than Anthropic’s——OpenAIの四半期売上の伸びは、ライバルのAnthropicより明らかに鈍いと報じられている、という内容です。
OpenAI’s quarterly revenue is now reportedly growing far more slowly than Anthropic’s.
— Chubby♨️ (@kimmonismus) 2026年8月19日
OpenAI told investors that Q2 revenue rose 18% to $6.7 billion. Its operating loss widened from $9.3 billion to $12.3 billion, almost twice its revenue.
Anthropic more than doubled its… https://t.co/BQ4CeORZCV pic.twitter.com/1AHL2V3a7X
ただ、この数字の対比だけでは「なぜここまで差がついたのか」は見えてきません。
そこで一次情報を確かめてみました。
なぜAnthropicはここまで伸びたのか?
CNBCやFortuneの報道を確認すると、Anthropicの急成長を支えているのは個人向けよりも企業向けの需要だとわかります。
Claude Codeのような開発者向けツールが法人契約を押し上げ、売上の伸び方も一段違います。
実際、Anthropicの月間の売上換算ペース(ラン・レート)は、2025年末の90億ドルから2026年7月には650億ドル超まで、7倍に跳ね上がったと報じられています。
ANTHROPIC REVENUE RUN RATE JUMPS 7X AHEAD OF IPO
— Wall St Engine (@wallstengine) 2026年8月17日
July 2026: $65B+
May 2026: $47B
End of 2025: $9B
Anthropic also reported more than $11.5B in preliminary revenue for its latest completed quarter, up from $787M a year earlier, while posting positive adjusted operating income.… pic.twitter.com/FapzRRS3w7
ソフトウェア開発ではAPI(他社サービスを自社アプリに組み込むための接続口)経由の利用が多いのもAnthropicの特徴で、企業システムに組み込まれるほど契約が長期化しやすい構造になっています。
個人ユーザーの無料利用を大量に抱えるOpenAIとは、収益の作り方そのものが違うわけです。
この逆転は市場にどう波及したのか?
数字の逆転は、株式市場にもすぐに影響しました。
OpenAIに600億ドル超を投じているソフトバンクグループの株価は、東京市場で一時9%近く下落しています。
直近では珍しい下げ幅で、Anthropicの評価額が急速に切り上がる一方でOpenAIのシェアが侵食されるのではないか、という懸念が広がったためです。
非公開株式は流動性が低く担保としての質も見えにくいため、銀行側も慎重にならざるを得ない状況だといいます。
両社とも新規株式公開(IPO)の準備を進めているとされ、どちらが先に上場するかにも注目が集まっています。
Anthropicが投資家の前に先に姿を現せば、OpenAIのIPO計画そのものが影響を受けかねないという見方も出ています。
Shiritomo編集部の考察:ツール選びで見るべきは「価格」より「収益構造」
SNS運用やAI活用の現場では、つい「どちらが安いか」「どちらが賢いか」で比較しがちです。
しかし今回の数字が示すのは、Anthropicが企業向け契約で稼ぎ、OpenAIが個人向け無料ユーザーを大量に抱えて赤字を出しているという、収益構造そのものの違いです。
無料ユーザーを多く抱えるサービスは、いずれ値上げや機能制限で収益化を急ぐ可能性があります。
逆に法人契約中心のサービスは、価格が急に動きにくい代わりに、大口顧客向けの機能拡充が優先されやすくなります。
ツールを選ぶときは、目先の使い勝手だけでなく、そのサービスが「誰から」「どうやって」稼いでいるかにも目を向けておくと、今後の値上げや仕様変更にも慌てずに済むはずです。
まとめ
Anthropicが売上でOpenAIを初めて上回り、しかも黒字化まで果たしたことは、生成AI業界の勢力図がまだ固まっていないことを改めて示しました。
両社のIPOに向けた動きも含め、この逆転劇の続きから目が離せません。