役所の仕事が変わる——政府AI「源内」が39機関・18万人への大規模実証を開始
「政府のAI活用」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
「なんとなく進まなそう」「書類が増えるだけでは?」——そんな冷ややかな見方をしていた方に、一度立ち止まって聞いてほしいニュースがあります。
2026年5月、デジタル庁が開発した政府AI「源内(げんない)」の大規模実証が正式に始まりました。
対象は外局等を含む全39機関の国家公務員、約18万人です。
源内とは何か——政府版「業務AIアシスタント」
源内は、デジタル庁が開発した政府共通の生成AI利用環境です。
名前は江戸時代の発明家・平賀源内にちなんでいます。
機能は国会答弁の作成補助から文書生成、要約・翻訳まで30種類以上。
政府内の機密情報を扱うため、外部クラウドではなく政府専用の環境で動いています。
試験運用の実績は印象的です。
デジタル庁内での運用では、約8割の職員が「業務に寄与している」と評価しました。
1人あたり月平均70回以上の利用があり、主な用途は会議のテキスト要約・文書草案作成・外国語翻訳です。

この実証規模——39機関、約18万人——は、国内でも最大クラスのAI導入事例になります。
デジタル庁のXからも発表が
デジタル庁の公式アカウントがこの実証開始を告知しています。
本年5月より、ガバメントAI「源内」の大規模実証事業を開始します。
— デジタル庁 (@digital_jpn) 2026年3月6日
全府省庁・約18万人の政府職員を対象に、生成AIの利用環境を試験的に導入します。政府が率先してAIを活用し、業務の質の向上と「信頼できるAI」の実現を目指します。
詳細はこちら↓https://t.co/1mP2T2ZzTA
「本年5月より、ガバメントAI「源内」の大規模実証事業を開始します。
全府省庁・約18万人の政府職員を対象に、生成AIの利用環境を試験的に導入します」という公式コメントです。
政府みずからAIを積極活用することで、「信頼できるAI」の実証の場にするという意図も示されています。
注目は「国産AIモデル7種の試用」
今回の大規模実証で特に注目すべきは、国内開発AIモデルを政府が評価・育てる仕組みが同時に動く点です。
選定された7モデルはこちらです。

| 企業 | モデル名 |
|---|---|
| NTTデータ | tsuzumi 2 |
| KDDI + ELYZA | Llama-3.1-ELYZA-JP-70B |
| ソフトバンク | Sarashina2 mini |
| 日本電気(NEC) | cotomi v3 |
| 富士通 | Takane 32B |
| Preferred Networks | PLaMo 2.0 Prime |
| カスタマークラウド | CC Gov-LLM |
2026年8月から各モデルの試用が始まり、2027年1月に評価を公表。
4月以降に優れたモデルを政府調達するという流れです。
政府の18万人が「AI採点官」として国産LLMを選別する——そんな構図になっています。
松本デジタル相も「自ら使う」と表明
実証に先立ち、松本デジタル大臣みずから「答弁作成に源内を活用する」と表明しました。
高市首相も「源内を使い、創造的に業務を」と職員に呼びかけています。
トップが率先して使う姿勢を示すことで、現場の「使わない理由」を減らすねらいもあるのでしょう。
一方、課題も明確です。
正確性の確保——AIが生成した文書が誤った内容を含む場合に、誰がどう確認するか——という問題は、民間企業でも答えが出ていないテーマです。
特に国会答弁のような高い正確性が求められる場面では、AIと人間の役割分担の設計が重要になります。
「源内」はオープンソースでも公開済み
デジタル庁は今年4月24日、源内のコア部分をオープンソース(Apache 2.0ライセンス)として公開しました。
民間企業や自治体でも源内の構造を参考にしたり、自分たちの環境で再現したりできます。
つづき
— 中川美紀|組織開発・人事制度・人的資本経営・採用・定着・育成・行動分析学|人事の羅針盤 (@jintekishihon) 2026年4月27日
ガバメントAI「源内」を
OSS(オープンソースソフトウェア)として公開
2026年4月24日… pic.twitter.com/cM4pMbSWmf
人事・組織開発の領域からも注目されており、「ガバメントAI「源内」をOSS公開」というニュースとして広く共有されています。
政府製のAIツールがOSS公開される例はまだ珍しく、この判断自体も注目を集めているのです。
さらに深掘りしたい方へ
- 政府が18万人で生成AI活用を実証、国産モデルも使い業務変革目指す – 日経XTECH
- デジタル庁、全府省庁の約18万人の政府職員を対象としたガバメントAI「源内」の大規模実証を開始 – aismiley
- ガバメントAI「源内」をオープンソースとして公開します – デジタル庁 note
まとめ
政府AI「源内」の18万人実証は、行政のAI活用として国内最大規模の取り組みです。
国産LLMの選定・育成というユニークな側面も持ち、日本のAI産業にとっても意義ある実験といえます。
「役所のAI活用は遅い」という常識が、静かに変わろうとしています。