「よくやるなぁ……」——電車にスマホをテープ固定、”宣伝”のはずが晒されたのはブランドの正体だった
走行中の電車の側面に、粘着テープでスマートフォンを貼り付ける。
ドアが閉まり発車すると、男性がホームを全力疾走してその横に並走する——。
そんな動画が8月27日から28日にかけてXで拡散し、批判が殺到しました。
撮影場所は東京メトロ日比谷線の小伝馬町駅、投稿主はストリート系アパレルブランド「JANPARI」の公式アカウントです。
TikTokとInstagramで公開されたこの動画には着用アイテムの名前と価格まで表示されており、宣伝目的であることは明らかでした。
攻めた演出でインプレッションを稼ぐ手法自体は珍しくありませんが、この一件はSNS運用担当者が見過ごせない教訓を残す結果になりました。
先に結論をまとめると:
– 走行中の電車にスマホをテープで固定し、ホームを全力疾走して撮影する動画が「危険すぎる」と批判を浴びた
– 専門家やユーザーからは、テープが外れて乗客に当たる・線路に落ちて運行が止まるといった具体的なリスクが指摘された
– 批判が広がる過程でブランドの拠点情報まで掘り起こされ、”攻めた演出”のつもりが運営実態への注目を招いてしまった
Xでの盛り上がり:「元祖はこの人」という指摘まで飛び出した
投稿を見た人たちの反応は早く、かつ手厳しいものでした。
「日本で真似するバカが出てきた。
外れて誰かに当たったり、窓ガラス割れたらどうすんの?早く逮捕して!」というポストには649件の「いいね」が集まり、拡散が拡散を呼ぶ展開になりました。
日本で真似するバカが出てきた。
— KIRIN 🦒🗼 (@Kirinsan4567) 2026年8月28日
外れて誰かに当たったり、窓ガラス割れたらどうすんの?早く逮捕して!
元祖はこの人。
⬇️https://t.co/YBAHnUQFUI https://t.co/05XntlnY2A pic.twitter.com/QL2XhVkoLe
このポストには、海外ですでに似た撮影スタイルが出回っていたことをうかがわせる動画も添えられていました。
同じジャンルの”危険な鉄道撮影”が海外で先行していたことは投稿から見て取れますが、JANPARIが直接それを参考にしたのかは本人たちのコメントがなく分かりません。
単なる悪ふざけでは済まされない反応の広がり方に、なぜここまで火がついたのか気になったので調べてみました。
調べて分かったこと
なぜここまで危険だと言われたのか?
ITmedia Mobileの報道によれば、走行中の電車は強い風圧と振動を受けるため、簡易的なテープ留めでは走行中に端末が脱落する危険性が高いとされています。
仮に外れた端末が沿線に落下すれば、他の乗客がけがをする恐れがあるだけでなく、線路内の異物として全線の運転見合わせやダイヤの大幅な乱れにつながりかねません。
撮影者がホームを全力疾走したこと自体も、他の乗客との接触や転倒事故を招く直接的な危険行為だとされています。
動画は本当に「撮って出し」なのか?
一部の報道では、スマホを貼り付ける場面とホームを走る場面でカットが分かれていることから、実際にスマホ自体で撮影された映像ではない可能性も指摘されています(真偽は未確認です)。
そんな中、こんな目撃情報も出てきました。
これかー!この現場、偶然見たよ。
— たま@🇲🇳モンゴル走ってきた (@MatakchSideRoad) 2026年8月28日
8/26の夕方、人形町(六本木方面)で車両からスマホをベリベリっと剥がしている兄ちゃんがおって、何やってる!???となったよ。 https://t.co/DT5ZvzhsiR
この投稿主は、8月26日夕方に日比谷線の人形町駅付近で、電車の車体からスマホを剥がしている人物を偶然見かけたと明かしています。
小伝馬町駅での撮影とは別の駅・別のタイミングでの目撃であり、複数回にわたって同様の撮影が試みられていた可能性がうかがえます。
批判の過程で何が「バレて」しまったのか?
拡散の中で、多くの人が注目したのはブランド側の実態でした。
埼玉のアパートから都内まで来て、動画撮ったのかな
— Eisuke (@EsK_S) 2026年8月28日
よくやるなぁ…… https://t.co/yYJbnxVH98 pic.twitter.com/v9z00tUEsM
この投稿は、JANPARIの通販ページに記載された特定商取引法に基づく表記(通販サイトに義務付けられている事業者情報の開示)のスクリーンショットを添え、拠点が埼玉県内の住宅であることを指摘する内容でした。
「埼玉のアパートから都内まで来て、動画撮ったのかな」という一文には53件の「いいね」が集まっています。
派手な宣伝の裏側が、個人経営に近い小規模な体制だったとうかがわせるもので、”攻めた演出”のつもりが、逆に運営実態への注目を集める結果になった格好です。
Shiritomo編集部の考察:注目を集めるほど「粗」も見られる
このケースで興味深いのは、批判が安全面の指摘だけにとどまらなかった点です。
SNSで話題化を狙った施策は、拡散すればするほど不特定多数の目に触れ、投稿の意図とは関係のない情報まで掘り起こされるリスクを伴います。
いわゆる「バズれば勝ち」の発想で過激な演出に頼ると、想定していなかった角度からブランドイメージを損なう可能性があるということです。
運用担当者としては、施策を打つ前に「これが拡散した場合、何を調べられても困らないか」を一段階多く検討しておく価値がありそうです。
短期的なインプレッション(投稿が表示された延べ回数)と引き換えに失うものが大きすぎては、本末転倒になりかねません。
まとめ
粘着テープで電車にスマホを固定するという”攻めた”宣伝動画は、安全面での批判にとどまらず、ブランドの運営実態にまで注目を集める結果を招きました。
話題化と引き換えに何を差し出すことになるのか、企業アカウントの運用担当者にとって考えさせられる一件です。