「電気の無駄」と言われたPS5の120Hz、Switch2だと「任天堂は世界一」に変わった理由
2020年、PS5が「120Hz出力に対応します」と発表したとき、SNSには「いらない」「電気の無駄」という冷めた反応が並びました。
それから5年後の2025年、Nintendo Switch 2が同じ「120Hz対応」を打ち出すと、今度は「うわすげぇ」「やっぱ任天堂は世界一だぁ」と絶賛の声で埋まりました。
数字としては同じ「120Hz」なのに、受け取られ方はほぼ正反対です。
ゲームハードのスペック表示を見るとき、この温度差はそのまま「何を基準に良し悪しを判断しているか」を映す鏡になります。
実際に両ハードの仕様を確認しながら、この反応差がどこから生まれたのかを調べてみました。
先に結論をまとめると:
– PS5は2020年3月の発表時点で「4K/120Hz出力・HDMI2.1対応」をスペック表に記載していましたが、実際に120fpsが安定して出るようになったのは2021年4月のシステムソフトウェア更新後で、当時は対応モニターも普及していませんでした
– Switch2の120Hzは携帯モードの本体画面なら誰でもすぐ体験できる一方、TVモードでは120fpsの上限が2560×1440までで、可変リフレッシュレート(VRR)はTVモード非対応と任天堂が公式に認めています
– 消費電力は公式値でSwitch2のTVモード時ゲームプレイが約19W、PS5は最大350Wとされており、同じ「120Hz」でも背負っている電力の規模がまったく違います
「電気の無駄」と「任天堂は世界一」、同じ120Hzで割れた反応
今回話題になっているのは、@Fng1Popnさんの投稿です。
「〜2020年〜 PS5『120Hzです!』世間『いらない』『電気の無駄』 〜2025年〜 Switch2『120Hzです!』世間『うわすげぇ!(涙)』『やっぱ任天堂は世界一だぁあああ(号泣)』」という対比が3,600件を超えるいいねを集め、「この現象に名前をつけたいです」という問いかけには156件の引用リプライが付きました。
〜2020年〜
— ねんねこ (@Fng1Popn) 2026年8月28日
PS5「120Hzです!」
世間「いらない」「電気の無駄」
〜2025年〜
Switch2「120Hzです!」
世間「うわすげぇ!(涙)」「やっぱ任天堂は世界一だぁあああ(号泣)」
この現象に名前をつけたいです
なんと名付けますか?
同じ「120Hz対応」という発表なのに、片方は「無駄」と切り捨てられ、もう片方は「世界一」と称えられる。
この投稿が伸びた背景には、多くの人が心当たりのある「ゲーム機のスペック評価って結局ムードで決まってない?」という疑問があったのだと思います。
ただ、引用リプライの中には「携帯ゲーム機の消費電力で実現したんだから、称賛されるのは当然では」という反論も見られ、単なるイメージの差では片付けられなさそうでした。
そこで、両ハードの一次情報を確認してみることにしました。
調べて分かったこと
PS5の120Hzは本当に「オーバースペックで使えない」機能だったのか
PlayStation公式ブログを確認すると、PS5は発売前の2020年3月19日の時点で「4K 120Hz TV、8K TV、VRR対応(HDMI2.1規格による)」とスペック表に明記していました(PlayStation公式ブログ)。
つまり「120Hz対応」は発表当初から公式スペックとして存在していたことになります。
ただし、実際に120Hzが安定して使えるようになるまでには時間差がありました。
実際に一部のPC用120Hzモニターでゲームの120Hz表示に対応したのは、2021年4月14日の大型システムアップデート後だったと報じられています(マイナビニュース)。
加えて2020年当時は、4K/120Hz出力に対応するテレビやモニター自体がまだ一般家庭に広く普及していませんでした。
「スペック表には書いてあるが、実際に体験できる人はほとんどいない」という状態が、「電気の無駄」という評価につながった一因だったと考えられます。
Switch2の120Hzは「どこでも」使えるのか
Switch2の場合は事情が違います。
任天堂の公式仕様ページによると、携帯モードでは本体の内蔵ディスプレイ(フルHD)がそのまま最大120Hzに対応しており、外部モニターやテレビを買い足さなくても、箱から出してすぐに体験できます(Nintendo Switch 2 機能・仕様)。
この「追加投資ゼロで体感できる」という点が、SNSでの絶賛につながりやすい要因の一つと言えそうです。
一方で、TVモードでの120fps出力は解像度が2560×1440までに制限されており、4K出力時の上限は60fpsにとどまります。
可変リフレッシュレート(VRR)についても、任天堂は当初「TVモードでも対応」と表記していましたが、2025年5月に海外メディアNintendo Lifeへの回答でこれを訂正し、VRRは携帯モード限定だと公式に認めています(AUTOMATON)。
つまりSwitch2の120Hzも「テレビにつなげば何でも滑らかになる」わけではなく、条件付きの機能です。
この点は絶賛一色のSNSの空気からは見えにくい部分ではないでしょうか。
消費電力の差はどれくらいあるのか
引用リプライの一つには、こんな指摘もありました。
PS5 消費電力100W(最大350W)
— ぬこにゃん (@nukonyan315) 2026年8月29日
Switch2 消費電力約19W(65W ACアダプタ)
これが答えでは? https://t.co/FcmMQC67r2
任天堂の公式サポートページを確認すると、Switch2のTVモード時の消費電力は「ゲームプレイ時:約19W」と明記されています(任天堂サポート)。
この投稿にある「約19W」という数字は、公式値とほぼ一致します。
一方PS5の最大消費電力は350W前後とされており(スリム型・日本語専用モデルの定格値)、これは「安全設計上の上限」であって常にこの数値がかかっているわけではありません。
第三者による実測レビューでは、実際のプレイ中は170〜220W程度に収まることが多いとも報告されています。
つまり実測ベースで見ても、Switch2はPS5よりもはるかに少ない電力で同じ「120Hz」を成立させている計算になり、「携帯ゲーム機の消費電力で実現したんだから称賛は当然」という引用リプライの指摘は、方向性としては的を射ていそうです。
携帯ゲーム機の消費電力で実現したんだから「電気の無駄」と言ってた人が称賛するのは当然では?
— サトリ🕹 (@satori_Lv35) 2026年8月29日
都合よくお話つくってんじゃねえよ、まったく https://t.co/IfzFiOMQnj
こうした反論のとおり、電力効率の観点だけを見ればSwitch2の120Hzは確かに驚くべき数字です。
ただ、それだけでこの「反応の非対称性」がすべて説明できるわけではありません。
PS5が発表された2020年当時は、そもそも4K/120Hz出力を活かせる環境(対応テレビ・モニター)が一般家庭にほぼ存在せず、「使いようがない上位スペック」に見えていた側面が大きいはずです。
対してSwitch2は、本体そのものが対応ディスプレイを内蔵しているため、購入したその日に体感できます。
ハードの立ち位置(据え置き機か携帯機か)と、発表された年の周辺環境(対応ディスプレイの普及度)という2つの条件が重なって、同じ「120Hz」でも受け取られ方がここまで変わったのではないでしょうか。
Shiritomo GAME編集部の考察:スペック単体では拡散しない
今回の投稿がここまで伸びたのは、「120Hzの技術的な中身」そのものより、「同じ発表文句を2つの時代に並べる」という見せ方の効果が大きかったと見ています。
「〜2020年〜/〜2025年〜」という時系列の対比フォーマットは、読み手の記憶にある「あの時こう言われていた」という共感を一瞬で呼び起こせる型で、引用リプライで賛否を投げ込みやすい構造にもなっています。
実際、この投稿には156件の引用があり、消費電力の指摘・擁護・反論と、複数の切り口が枝分かれして伸びていました。
SNS運用の観点で見ると、単に「新スペックを発表する」投稿より、「過去の似た発表とその時の反応」を並べて見せるほうが拡散しやすいという傾向は、他ジャンルの投稿でも繰り返し観測されます。
ゲームハードに限らず、家電やスマートフォンの新機能発表でも「以前は叩かれた機能が、別の企業・別のタイミングだと称賛される」という構図は起きやすく、企業アカウントが自社の新機能を紹介する際にも、この「時系列の対比」という見せ方は参考になりそうです。
ただし今回のケースのように、比較対象(ハードの用途・電力規模)が実はまったく別物だった、というオチも珍しくないため、拡散した数字を鵜呑みにせず一次情報を当たる姿勢は引き続き必要だと感じます。
まとめ
PS5とSwitch2、どちらも公式に「120Hz対応」をうたっていますが、その中身は据え置き機と携帯機というハードの性格の違いも、発表当時に対応環境がどれだけ普及していたかという時代の違いも背負っています。
同じ数字を見たときこそ、それが「誰にとって・どんな条件で」実現されているのかを確かめる価値がある、という一例だったように思います。
さらに深掘りしたい方へ
- PlayStation®5:ハードウェア技術仕様の追加情報を公開(更新) — PS5が2020年3月時点で公開していた120Hz対応を含む技術仕様
- PS5大型アップデート配信開始。
1080p/120Hz表示可能なPCモニターに対応 — 2021年4月のアップデートで120Hzモニター対応が改善された経緯 - 機能・仕様|Nintendo Switch 2|任天堂 — 携帯モード・TVモードそれぞれのリフレッシュレート仕様
- Nintendo Switch 2の可変リフレッシュレートは携帯モード限定と明かされる — VRRのTVモード非対応を任天堂が公式に認めた経緯
- 【Switch 2】消費電力を知りたい。
|任天堂サポート — TVモード時の消費電力の公式数値