「パクツイすみません」と謝ってまで乗る人が続出、”#リプでやる”を押し上げるXアルゴリズムの仕掛け
「パクツイすみません。
絡む人増えてきたからやる」。
そう詫びを入れてから、質問リストが始まる投稿がありました。
呼び方、好感度(0〜100)、信頼度(0〜100)……答えはリプライ欄で、というお決まりの形式です。
同じ形式の投稿は、この記事のために検索しただけでも複数見つかりました。
単発のバズ投稿というより、断続的に繰り返し現れている現象のようです。
SNS運用に携わる人にとっては、「なぜこの形式だけが繰り返し流行るのか」を知っておく価値があります。
先に結論をまとめると:
– 「#いいねでやる」「#リプでやる」形式の質問リストが、アニメ・VTuber・学生コミュニティなどで断続的に広がっている
– Xが2023年に公開した推薦アルゴリズムのコードでは、いいねよりリプライの評価が大幅に高く設計されている
– ブランドアカウントでも「答えやすい質問」を投げる設計に応用できる
質問リストへのリプが止まらない理由
今回広がっているのは「#いいねでやる」「#リプでやる」というハッシュタグを付けた投稿です。
中身は「最古参・古参・中参・新参」「頭の中での呼び方」「好き・普通・嫌い」「告白されたら」といった質問を並べたテンプレートで、フォロワーがいいねやリプライで答えを求める形になっています。
冒頭で紹介した投稿はこちらです。
#リプでやる
— ホテルマン西👾💤🍣🗝️♠︎ (@hotelmanNishi55) 2026年9月2日
パクツイすみません。絡む人増えてきたからやる
呼び方:
好感度(0~100):
信頼度(0~100):
エンカできるか:
LINE交換:
Discord交換 :
告白されたら:
通話できる :
「パクツイすみません」と書きつつも参加してしまう。
この一言に、この形式が広がる理由の一端が表れています。
人気投稿をそのまま真似ること(いわゆる「パクツイ」)への軽い後ろめたさを表明しながらも、結局はやる。
これは、テンプレートに乗っかること自体のハードルがとても低いからです。
文章を一から考える必要がなく、空欄を埋めるだけで会話が成立します。
ただ、ハードルの低さだけでは「なぜこの形式に限って繰り返し流行るのか」は説明できません。
そこでXの仕組み側から確かめてみました。
調べて分かったこと
なぜXはリプライをそこまで評価するのか?
Xは2023年、推薦アルゴリズムの一部をソースコードとして公開しました(twitter/the-algorithm-ml)。
そこに含まれる「For Youタイムライン」の評価モデルでは、投稿につくいいねやリプライなどの反応それぞれに重み(スコアの掛け目)が設定されています。
複数の解析記事を確認したところ、いいねよりリプライの重みのほうがはるかに大きく設定されていることは共通して報告されていました。
ただし具体的な倍率については記事によって数値の記載がばらついています(十数倍〜数十倍という幅で紹介されています)。
公開コードの読み方次第で変わる可能性があるため、正確な倍率はここでは断定しません。
はっきりしているのは、Xの「For You」欄が単純な「いいねが多い投稿」を並べているわけではなく、会話(リプライのやり取り)が生まれた投稿を優先的に見せる設計になっているという方向性です。
「#いいねでやる」「#リプでやる」形式は、まさにこの仕組みと相性が良い投稿の作り方だと言えます。
「乗っかる」人はなぜ増え続けるのか?
質問に答えるだけでリプライが発生する設計は、投稿した本人にとっても都合がよいものです。
実際、次の投稿のように「仕方ないから」と半分照れながら参加している人も見られます。
#いいねでやる
— ぴょん助🐰VRC (@Sith_pyonnsuke) 2026年9月2日
仕方ないからやる
①最古参・古参・中参・新参→
②頭の中での呼び方→
③好き、普通、嫌い→
④告白されたら→
⑤先輩または後輩→
⑥家泊まれる→
⑦恋人いそう→
⑧discord繋げる→
自分から積極的に発信するのではなく、「みんながやっているから」「誘われたから」という体裁を取れる点も、参加のハードルを下げています。
テンプレートという体裁があることで、内容を考える負担なく会話に加われるわけです。
VTuberファンや学生コミュニティなど、日常的に交流の輪を広げたい層でこの形式がよく使われているのも、こうした事情と無関係ではなさそうです。
Shiritomo編集部の考察:明日からできる質問設計
この現象がSNS運用者に示しているのは、「いいね数を追う投稿」と「リプライを生む投稿」は別物として設計し直す必要があるということです。
ブランドアカウントの投稿でも、選択肢を提示して「あなたはどっち?」と聞く、空欄を埋めるだけで答えられる質問を投げる、といった形にするだけでリプライのハードルは大きく下がります。
感想を求めるより「選ぶだけでいい質問」のほうが、返信の心理的コストは低くなるからです。
今回の現象は個人アカウントの遊びですが、同じ設計思想は企業アカウントの投稿企画にもそのまま転用できます。
まとめ
「#いいねでやる」「#リプでやる」形式のテンプレートが繰り返し流行る背景には、Xのアルゴリズムがリプライという「会話」を重視して投稿を評価する仕組みがあります。
答えやすい質問を用意することは、個人の遊びだけでなくブランドの投稿設計にも応用できる考え方です。
さらに深掘りしたい方へ
Xの推薦アルゴリズムのソースコードは、Twitter社が公開したGitHubリポジトリ「the-algorithm-ml」で確認できます。
「For You」タイムラインの評価モデルの一部が公開されており、興味のある方は実際のコードを見てみるのもおすすめです。
