致死量のダサいスライドを無料で。「ダサスラ★メーカー」がガチ資料にまで使われる理由
「致死量のダサいスライドをワンクリックで作れる『ダサスラ★メーカー』を公開しました」。
9月3日に投稿されたこの一文が、公開から1日ほどでインプレッション25万を超えました。
虹色に光る文字、意味もなくぐるぐる回る3D円グラフ、爆発するエフェクト——かつて誰もが一度は見たことのある”痛いスライド”を、クリックだけで量産できる無料ツールです。
SNSでネタとして消費されるだけかと思いきや、投稿者自身が「ガチプレゼンでもご利用いただけます」と書いているのが引っかかりました。
ネタツールがなぜ実務にまで顔を出すのか、その仕組みを調べてみました。
先に結論をまとめると:
- 「ダサスラ★メーカー」は登録不要・無料のブラウザツールで、爆発エフェクトや3D立体文字など12種類の「ダサ素材」をクリックで重ねてスライドを作れます
- 画像(PNG)だけでなく、動くHTMLやMP4動画としても書き出せるため、社内プレゼンや余興の資料にそのまま流用できます
- 素材はすべてプログラムで生成したオリジナルで商用利用も可能、データを外部に送信しない設計も公開直後の拡散を後押ししたとみられます
「ガチプレゼンでも使える」投稿が624リポストされた
このツールを作ったのは、フリーランスのグラフィックデザイナー・トミナガハルキさん(デザイン事務所AMIX代表、Xアカウント@asobodesign)です。
9月3日の投稿には、実際にスライドを組み上げていく様子の動画が添付され、いいね2,382・リポスト624・引用ポスト98・ブックマーク1,338という反応を集めています。
致死量のダサいスライドをワンクリックで作れる「ダサスラ★メーカー」を公開しました。画像だけなくアニメーション付きのHTMLでもダウンロード可能なので、ガチプレゼンでもご利用いただけます。余興のネタにも!ご自身の画像をアップして動かすことも可能です。https://t.co/AUCtDkGorE pic.twitter.com/8G3rd3ILaH
— トミナガハルキ | フリーランス歴10年な人 (@asobodesign) 2026年9月3日
投稿の動画から切り出された画面を見ると、左側に「虹色文字」「3D立体文字」「蛍光マーカー」「爆発」「吹き出し」「もくもく雲」「看板」「矢印」「スマイル」「キラキラ」「3D円グラフ」など”ダサ素材”のパネルが並び、中央のスライドには黄色い集中線の背景に「第3四半期のご報告」という大きな文字、「社内限定の情報です」という吹き出し、「売上2倍!?」と書かれたトゲトゲの爆発マーク、そして「※当社比・諸説あります」という一文まで添えられていました。
実在の社内資料のパロディとしてかなり作り込まれているのが分かります。
ただ、ここまでの数字だけでは「バズって終わり」のネタツールなのか、実際に使い物になるのかは判断できません。
そこで公式サイトと開発者本人の発信をあたってみました。
なぜ「ダサさ」をあえてツール化したのか
トミナガハルキさんはこれまでも、ファンタジー世界の地図を自動生成する「USOMAP」など、単発ネタから実用寄りのものまで数多くのWebツールを公開してきた人物です。
以前の投稿では「まずは自分でツールを100個作りました。
すると取材の依頼が来るようになり、書籍執筆のお話もいただけました」と振り返っており、量産のなかで生まれた1本が今回の「ダサスラ★メーカー」だと考えられます。
「ダサさ」は狙って再現するのが意外と難しく、あえて型にはめて「量産できるダサさ」に落とし込んだ点がこのツールの発明といえそうです。
実際にどんな機能が使えるのか
ITmedia NEWSの報道と公式サイトの説明を確認すると、素材ごとに点滅・ぴょんぴょん・ぐるぐる・ブルブルといった動きを個別に付けられ、ページ切り替えにもワイプやブラインド、チェッカーといったエフェクトを選べるとのことです。
迷ったときのために「おまかせダサ生成」ボタンも用意されており、押すだけで背景・素材・動きが一括で決まる仕組みになっています。
書き出しはPNG画像(1920×1080ピクセルでPowerPoint・Keynote・Googleスライドにそのまま貼り付け可能)、全ページを1ファイルにまとめて自動再生できるHTML、3〜10秒でループ設定もできるMP4動画の3パターンに対応しているようです。
商用利用しても大丈夫なのか
無料ツールを社内資料に転用しようとすると必ず気になるのが権利関係です。
公式サイトの説明によれば、用意されている「ダサ素材」はすべてプログラムで生成したオリジナルの図形で、商用利用が可能とされています。
また入力した文字や画像はブラウザ内で処理され、外部サーバーには送信されないとも案内されています。
詳細な条件は公式のライセンス・利用規約ページに明記されているため、実際に業務で使う場合は一読しておくと安心でしょう。
「ガチプレゼン」という言葉は誇張ではないのか
投稿には「余興のネタにも!」とも書かれており、開発者自身、笑いを取るための用途を最初から想定していたことがうかがえます。
それでも98件という引用ポスト数の多さは見逃せません。
リポスト624件に対して引用が98件というのは、単に拡散されただけでなく、自分で作ったダサいスライドをコメント付きで投稿し直した人が一定数いたことを示唆する数字とも読み取れます。
「使ってみた」の実演が次の拡散を生む構造ができていたと考えられます。
Shiritomo編集部の考察:明日から見るべきは「引用ポスト」の比率
今回の投稿でShiritomo編集部が注目したのは、リポストと引用ポストの比率です。
単純な拡散を示すリポストが624件だったのに対し、自分の言葉やアウトプットを添える引用ポストが98件、比率にして約16%ありました。
一般的なバズ投稿ではリポストの割合が圧倒的に高くなりがちですが、この投稿は「見た人がすぐ試せて、試した結果をそのまま見せたくなる」設計だったために、引用の比率が押し上げられたと見られます。
ワンクリックで完結する体験ほど「作ってみた」の投稿が誘発されやすく、これは新しいツールやサービスをSNSで広めたい担当者にとって参考になる型です。
紹介文だけで終わらせず、誰でもすぐ試せる導線を用意できるかどうかが、拡散の伸びしろを左右するといえるでしょう。
まとめ
「ダサスラ★メーカー」は、ネタとして生まれながらも書き出し形式の幅広さと商用利用可能な設計によって、笑いと実務のどちらにも使えるツールに仕上がっていました。
ワンクリックで試せる手軽さが引用ポストの多さにつながっていた点は、SNSでの発信を考えるうえでも参考になりそうです。