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「なぜ外国語を学ぶのか」東京外大の志願者が10年で半減、AI時代に学長が出した答え

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月22日 更新
「なぜ外国語を学ぶのか」東京外大の志願者が10年で半減、AI時代に学長が出した答え

スマートフォンに話しかけるだけで、その場で外国語に変換してくれるアプリが珍しくなくなりました。
そんな時代に、東京外国語大学の志願者数は10年前と比べてほぼ半分にまで落ち込んでいるといいます。

日本経済新聞が同大学の春名展生学長に取材した記事をきっかけに、X(旧Twitter)では「なぜ外国語を学ぶのか」という問いそのものが広く議論になりました。
語学を勉強している人、これから学ぶかどうか迷っている人にとっては、遠い大学の話では済まないテーマだと思います。
この記事では、志願者半減の背景と、大学側・翻訳業界それぞれの対応を調べてみました。

先に結論をまとめると:
– 東京外国語大学の志願者数は10年前と比べほぼ半分に減っており、少子化に加えてAIによる自動翻訳の普及が逆風になっていると報じられています
– 春名展生学長は語学の「習得」そのものより、少数言語教育や文化理解を軸にした5年一貫の教育プログラムへ舵を切ろうとしています
– 翻訳業界も無縁ではなく、2022年度から2025年度にかけて売上9.7%減・利益70.7%減という数字が東京商工リサーチから報告されています

「AIが通訳する時代」に外大を取材した1本の記事

きっかけは、日本経済新聞の公式アカウントが紹介したこの記事でした。

タイトルは「AIが通訳する時代、『なぜ外国語を学ぶのか』 東京外国語大学の役割は」。
AI翻訳が精度を上げるほど、語学系の学部が真っ先に「もう要らないのでは」と見られやすくなる、という構図そのものを扱った記事です。
この投稿には146件の引用リポストが付き、「外国語を学ぶ意味」について、それぞれの立場からの意見が次々と寄せられました。
ただ、志願者が半分という数字だけでは、大学の中で何が起きているのかまでは分かりません。
そこで、記事の内容と周辺のデータをもう少し追ってみました。

調べて分かったこと

なぜ志願者はここまで減ったのか?

大学ジャーナルオンラインの学長インタビューによると、春名学長は首都圏の文系国立大学が抱える課題を「二重苦」と表現しています。
1つは少子化による定員確保の難しさ、もう1つは生成AIの進展で「語学教育が真っ先に代替されやすい」と見られてしまうことです。
東京外大は28言語専攻という他大学にない特色を持ちますが、その特色を保てるかどうかも不安定な状況にあるようです。
少子化という構造的な要因とAIへの不安が重なったことが、志願者減少の背景として語られている、と捉えるのが実際に近そうです。

春名学長はどう変えようとしているのか?

学長が打ち出しているのが、最短5年で学士と修士の両方を取得できる一貫教育プログラムです。
留学期間を確保しながら学部教育を充実させ、文系でも修士号取得を当たり前にすることで、人文社会系人材の国際的な通用性を高める狙いがあるといいます。
加えて、アラビア語の文字の美しさに惹かれて入学してくる学生の例を挙げ、語学習得の一部をAIに任せた分、浮いた時間を多文化理解や希少言語の研究に振り向けられるという発想も示されています。
単に「話せるようになる」ことを競うのではなく、その言語が使われる地域や文化を理解する場としての大学、という位置づけです。
実際、Xの引用リポストの中にも、この視点を後押しする声がありました。

外国語学部はそもそも「外国語を学ぶ」ための学部ではなく、「その言語が話される地域を研究する」学部だ、という指摘です。
東京外大に限らず、大阪大学(旧大阪外国語大学)や上智大学、獨協大学なども同じ性格を持つとされており、AIが台頭したからといって存在意義がなくなる話ではない、という見方につながります。

翻訳業界はどれくらい深刻なのか?

東京商工リサーチの調査では、翻訳業100社の売上高は2022年度の434億7,800万円から2025年度には392億5,700万円へ、利益は30億8,200万円から9億200万円へと落ち込みました。
3年間で売上は9.7%減、利益は70.7%減という計算です。
2023年度から2025年度まで3期連続の減収減益で、2025年度は100社のうち約半数が減収・減益に追い込まれています。
2026年に入ってからは1〜8月だけで倒産が3件判明しており、前年同期の1件から増えています。
倒産した翻訳会社の中には「従来から業況が思わしくなかったが、AI翻訳の台頭がとどめを刺した」と報じられたケースもあり、機械翻訳の精度向上が価格競争を激化させている構図がうかがえます。

AIが通訳してくれるなら、語学学習はもう意味がないのか?

ここが、多くの人が一番気になるところではないでしょうか。
X上の反応を見る限り、答えは単純な「不要」ではなさそうです。

「なぜ」学ぶのかという理由は変わっても、外国語を学ぶこと自体の価値はむしろ高まっていく、という見方です。
AI通訳・AI英会話アプリは日常会話や簡単な文章のやり取りを肩代わりしてくれる一方、契約書のような専門文書のニュアンスや、行間にある文化的な背景までは読み切れません。
東京商工リサーチの記事でも、複雑な契約書面や専門分野では人力の翻訳・最終チェックが欠かせないという課題が指摘されています。
AIに任せられる部分と、人が理解しなければならない部分の線引きが、これから語学を学ぶ人にとっての実質的な判断材料になりそうです。

Shiritomo編集部の考察:数字より「議論の熱」に注目したい

このニュースで目を引くのは、志願者半減という数字以上に、元ツイートに付いた146件という引用リポスト数です。
通常のリプライ(33件)の4倍以上あり、多くの人が「返信」ではなく「自分の意見として発信し直す」形でこの話題に加わっています
これは、コメント欄で完結する話題ではなく、それぞれが自分のフォロワーに向けて語りたくなるテーマだったことを示しています。
SNS上で議論を広げたい発信者にとっては、「AIで代替されるのでは」という不安と、「いや本質的な価値は変わらない」という反論がセットで出やすいテーマは、賛否が分かれる分だけ引用リポストが伸びやすい、という一つの型として参考になりそうです。

まとめ

東京外国語大学の志願者半減は、少子化とAIによる自動翻訳の普及が重なった結果だと報じられています。
大学側は語学「習得」から文化理解へと軸足を移そうとしており、翻訳業界も含めて、AIとどう役割分担していくかが問われる局面に入っているようです。

さらに深掘りしたい方へ

東京外国語大学の入試データや、翻訳業界の経営統計など、一次情報を確認したい方は以下も参考にしてください。