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「え…?指数時間仮説の反証…?」――OpenAIのAIが数学の難問を解き、物理学の最難問にも挑む

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年10月28日 更新
「え…?指数時間仮説の反証…?」――OpenAIのAIが数学の難問を解き、物理学の最難問にも挑む

1970年代から半世紀近く、計算機科学の土台として扱われてきた仮説が、一晩で覆りました。
OpenAIは現地時間10月26日(日本時間27日朝)、自社のAIモデルが数学・計算機科学・物理学の3分野でそれぞれ重要な証明を生み出したと発表しています。
SNS運用やAI活用の現場に直接関わる話ではありませんが、「AIが専門家より先に未解決問題を解く」動きが実際に始まったことを示す出来事として、海外の科学メディアが一斉に報じました。

先に結論をまとめると:
– OpenAIは、計算量理論の「指数時間仮説(ETH)」を偽と示す証明、波動方程式に関する「局所平滑化予想」の全次元での証明、量子色力学(QCD)を含む「ヤン-ミルズ理論」の数学的存在証明の3つをAIが生成したと発表しました
– 共同創業者のグレッグ・ブロックマン氏は発表直後に「それでもP≠NPはおそらく成り立つ」と自らくぎを刺しており、過大評価への警戒もセットで伝えられています
– 3つの証明はいずれも外部の専門家グループが検証を進めている段階で、査読はまだ済んでいません

グレッグ・ブロックマン氏の発表に広がった戸惑いと興奮

発表したのはOpenAIの共同創業者、グレッグ・ブロックマン氏です。
自身のX(旧Twitter)で「数学(調和解析)、計算機科学(計算複雑性理論)、物理学(量子場理論)の分野で1件ずつ、合計3つの科学的発見を発表する。
AIが私たちの宇宙の理解を深める助けになり始めている」という趣旨の投稿をし、3つの証明を明らかにしました。

このうち最も大きな反応を呼んだのが、計算機科学の「指数時間仮説(ETH:NP完全問題はおおむね指数関数的な時間をかけなければ解けない、という1970年代からの仮定)」を偽と示す証明です。
ETHはこの50年間、数百本の論文が計算の難しさを示す根拠として使ってきた前提で、それが崩れるとなれば研究コミュニティへの影響は小さくないはずです。
ある投稿では、この結果に「さらなる検証を待ちたい」とする声が上がっていました。

ただ、この一文だけでは何がどこまで証明されたのか分かりません。
そこで一次情報を確かめてみました。

調べて分かったこと

指数時間仮説が崩れると何が変わるのか

OpenAIによると、AIモデルが生成した証明はLean(数学的な主張を機械的に検証できる形式証明言語)で記述され、すでに公開されています。
ETHの反証は「NP完全問題を指数関数より速く解くアルゴリズムが存在する」ことを意味し、理論上は計算の難しさに関する多くの既存研究の前提を揺るがします。
もっとも、ETHはP≠NP(Pで解ける問題とNPで解ける問題は違う、という計算機科学最大の未解決問題)よりも強く狭い仮定です。
ブロックマン氏自身がこの流れに釘を刺しているのも、そのためでしょう。
投稿では「それでもPとNPはおそらく依然として等しくない」と念を押しています。

つまり「NP完全問題を速く解く特定の方法が見つかった」のであって、「PとNPが同じになった」わけではないという整理です。
この一文がなければ、ニュースの見た目だけで計算機科学の最大の謎が解けたと誤解されかねないところでした。

もう一つの数学的証明と、まだ検証中の物理学の主張

数学分野では、波動方程式の挙動に関わる「局所平滑化予想(Sogge予想)」をすべての次元で証明したとされ、その過程で関連する「Kakeya予想」「Steinの制限予想」も解決したと説明されています。
物理学分野では、量子色力学(QCD)を含む「ヤン-ミルズ理論」の数学的な存在証明を示したとしていますが、ヤン-ミルズ理論の完全な解決はクレイ数学研究所が懸賞をかける7つのミレニアム懸賞問題の一つで、物理学者からは慎重な見方も出ています。
コロンビア大学のピーター・ウォイト氏は自身のブログで、OpenAIが「統一された完成」という言葉が具体的に何を指すか説明していない点や、詳細な論文を公開せず限られた専門家にしか内容を見せていない点を指摘し、懐疑的な立場を示しました。
3つの証明はどれも、外部の専門家グループによる検証が終わるまで「確定した成果」とは言えない状態です。

Shiritomo編集部の考察

今回の発表で注目すべきは、証明の正しさそのものより「検証の手順」の違いです。
OpenAIはETHの反証をLean形式で公開し、誰でも機械的にチェックできる状態にしています。
一方でヤン-ミルズ理論の詳細は限られた専門家にしか共有されていません。
AIが生成した成果を外部にどこまで開示するかが、信頼性を測る実質的な基準になりつつあります。
SNSやAI活用の現場でも、AIが出した答えをそのまま信じるのではなく「どう検証可能な形で提示されているか」を見極める視点が今後ますます重要になっていくでしょう。
ブロックマン氏が自ら「P≠NPはいまも成り立つ」と打ち消した姿勢も、過度な期待と反発の両方を抑える役割を果たしたのではないでしょうか。

まとめ

OpenAIは数学・計算機科学・物理学の3分野でAIが証明を生み出したと発表しましたが、いずれも外部検証待ちの段階です。
公開された情報の開示度にも差があることを踏まえ、今後の専門家による検証結果を追う必要がありそうです。

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