AI活用事例 読了 6 分

「1回やって見せる」だけでAIが仕事を覚える——Claude Coworkの新機能を調べてみた

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年7月23日 更新
「1回やって見せる」だけでAIが仕事を覚える——Claude Coworkの新機能を調べてみた

経費精算のやり方を、後輩に一から説明するのは面倒なものです。
画面を見せながら「ここをクリックして、この数字を転記して」と一通りやって見せれば、あとは任せられる——。
Anthropicが2026年7月22日に追加した新機能は、この「やって見せる」を丸ごとAIに覚えさせる仕組みです。

SNS運用やAI活用の現場で「結局、毎回同じ手順を人間が繰り返している」という悩みを抱えている人には、特に刺さる話だと思います。

先に結論をまとめると:
– Claude Coworkに「Record a skill」機能が追加され、画面録画と音声説明だけでAIに作業手順を学習させられるようになった
– Pro・Max・Teamプランのユーザーが対象で、Claudeデスクトップアプリの「+」メニューから利用できる
– 一度覚えさせた作業は「スキル」として保存され、次回以降は自動で繰り返し実行できる

何が起きたのか

AnthropicのAIコーディング・作業支援ツール「Claude Cowork」に、新しい機能「Record a skill(スキルを記録する)」が加わりました。
使い方はシンプルで、パソコンの画面を録画しながら、実際に手を動かしている作業を声で説明するだけです。
Claudeがその録画と説明を分析し、同じ作業を再現できる「スキル」として保存してくれます。

公式アカウントもこの機能をこう紹介しています。
画面を録画しながらタスクを実演し、声で説明すると、Claudeがそれを繰り返し実行できるスキルに変換する、という内容の投稿です。

たとえば経費精算のような定型作業なら、一度デモを見せるだけで、次回からはClaudeに任せられるようになるといいます。
「マニュアルを書く」という手間そのものを、録画と会話に置き換えてしまう発想が、この機能のポイントです。

ただ、実際に使いこなせるのか、複雑な業務にも通用するのかは気になるところです。
ここから深掘りしていきます。

なぜ「録画で教える」という方式なのか?

これまでAIに業務を自動化させる場合、多くはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:定型作業をソフトウェアに自動実行させる仕組み)のように、事前に細かい手順をプログラムとして組む必要がありました。
非エンジニアにとってこのハードルは高く、結局「AIを使いこなせるのは詳しい人だけ」という状況が続いていました。

Record a skillは、この手順書作りの部分を「画面録画+声での説明」に置き換えています。
人間が普段の業務を自然にこなす様子をそのまま学習データにできるため、プログラミングの知識がなくても、Claudeに仕事のやり方を伝えられるようになります。

どんな作業に向いているのか?

X上の反応を見ると、想定されている用途は幅広いようです。
営業資料の準備を共有する目的で使ってみたという声や、これまで人力で回していたRPA的な作業をそのまま置き換えられそうだという評価も見られました。
日本語圏でもこの発表はすぐに拡散し、機能の中身を要約して伝える投稿が広がりました。

一方で、すべての作業が一発で覚えられるわけではなさそうです。
手順が複雑な業務では、一度の録画では情報が足りず、複数回のデモが必要になるケースがあるといいます。
単純な繰り返し作業ほど相性がよく、判断が分岐するような業務は、まだ人間の手直しが必要になる場面が多いとみられます。

プライバシーやセキュリティは大丈夫なのか?

画面を録画してAIに渡す以上、避けて通れないのがプライバシーの問題です。
業務によっては、顧客情報や社内の機密データが画面に映り込むこともあります。
Anthropicもこの点を意識しており、録画データの取り扱いや権限管理の重要性が指摘されています。

実際、Claude Codeを巡っては、非エンジニアが安全設定を理解しないまま使い、機密情報を平文で保存してしまうといった運用リスクがXでたびたび話題になってきました。
Record a skillのような「見せるだけ」で使える機能は便利な半面、何を録画するかを利用者自身が意識して選ぶ必要がありそうです。

Shiritomo編集部の考察:属人化した仕事の「暗黙知」がデータになる時代

この機能が面白いのは、これまで文書化されずに個人の頭の中だけにあった「暗黙知」を、そのままAIに引き継げる点です。
SNS運用の現場でも、投稿文の作り方や炎上対応の勘所など、マニュアル化しづらいノウハウはたくさんあります。

こうした「言語化しにくい仕事」を録画一本で引き継げるようになると、担当者の異動や退職で業務が止まってしまうリスクが減らせます。
属人化していた業務ノウハウが、初めて「引き継げる資産」に変わるというのは、単なる時短ツール以上の意味を持つはずです。
今後は「誰が一番うまく仕事を録画で説明できるか」自体が、社内で評価されるスキルになっていくかもしれません。

まとめ

Record a skillは、AIへの指示の出し方を「文章で書く」から「見せて話す」へと変える試みです。
非エンジニアが自分の仕事のやり方をそのままAIに託せるようになった今、次に注目すべきは、どこまで複雑な業務が任せられるようになるかでしょう。

さらに深掘りしたい方へ