スマホ撤退から3年、バルミューダが6万円の「入眠時計」に託した再起の勝算

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年8月10日 更新
スマホ撤退から3年、バルミューダが6万円の「入眠時計」に託した再起の勝算

5万9400円。
バルミューダが2026年3月に発表した置き時計「The Clock」の価格です。
針もカバーもない文字盤が、光だけで時刻を示す変わった設計になっています。
この一台に、経営再建の期待がかかっているといえば意外に思う人もいるかもしれません。
売上高は右肩下がりが続き、2026年1〜6月期は前年同期比16%減の43億円まで落ち込みました。
家電やガジェットが好きな人だけでなく、老舗ブランドの経営のゆくえに関心がある人にとっても、この一台がなぜ話題になっているのかは気になるところです。

先に結論をまとめると:
– 「The Clock」は針のない発光文字盤と、雨音・焚き火の音などの環境音再生機能を備えた5万9400円の置き時計で、出荷台数はまもなく5000台に達する見通しです
– バルミューダは2026年1〜6月期の売上高が43億円(前年同期比16%減)と4期連続で減収が続いており、スマホ事業撤退からおよそ3年、次の柱を模索している最中です
– X上ではニュース記事の共有投稿が拡散し、多数の引用・返信を集めるなど関心の高さがうかがえますが、価格帯の高さをどう乗り越えるかが今後の焦点になりそうです

「スマホの次」として時計を選んだバルミューダ

X上で流れてきたのは、「バルミューダ、スマホ撤退から3年 再起を託す6万円の『入眠時計』」という見出しのニュース共有投稿でした。
この投稿は278件のいいねと83件の引用、44件の返信を集め、23万回超表示されています(2026年8月9日時点)。

同社は高級トースターのヒットで知られたデザイン家電メーカーですが、近年は苦戦が続いています。
2026年1〜6月期の売上高は43億円で前年同期比16%減。
ピークだった2021年12月期の183億円から見ると、規模はかなり縮んでいる状態です。
ただ、この数字だけでは「なぜ時計なのか」「本当に効果はあるのか」までは分かりません。
そこで公式サイトや報道記事を確かめてみました。

なぜ今、時計に懸けているのか?

「The Clock」は、懐中時計から着想を得たデザインで、文字盤に針や保護カバーを持たず、光そのもので時刻を表現する仕組みになっています。
単なる時計ではなく、就寝前や作業中の「時間の過ごし方」を整える道具として設計されている点が特徴です。
もう1件、記事の詳しい内容を紹介する投稿も見つかりました。

同社にとってこの製品は、高級トースターに続く新しいヒット商品の候補と位置づけられています。
スマートフォン事業「BALMUDA Phone」は2023年5月に終了が発表されており、スマホ事業の撤退からおよそ3年が経過した今、時計というジャンルで再起を図る格好です。

「入眠」を支える仕組みは何なのか?

The Clockには「Night Routine」という機能があり、就寝までの時間に合わせて心地よいサウンドを流し、入眠の習慣づくりをサポートします。
搭載されている音源は「Long Rain(雨音とこおろぎの声、遠くの雷鳴)」「Lodge(焚き火の音とピアノの調べ)」など基本7種類に加え、睡眠サポート専用の音源も別途用意されています。
集中したいときには、周囲の雑音を打ち消す効果があるとされるホワイトノイズ(特定の周波数が均一に混ざった音で、環境音をかき消す効果があるとされる音)も選べる仕様です。
朝は設定時刻の3分前から音量が少しずつ大きくなる仕組みで、急な目覚まし音に驚かされにくい設計になっています。

実際にどれくらい売れているのか?

価格は5万9400円(税込)と、一般的な置き時計と比べれば高額です。
それでも発売直後から想定を上回る予約が入り、公式サイトによれば出荷台数はまもなく5000台に達する見通しと報じられています。
4月出荷分は完売し、追加出荷の案内が出るなど、需要自体は堅調のようです。
一方で、価格の高さや「結局スマホで十分では」という指摘も一定数あるとみられ、万人向けの商品ではないという受け止め方も存在します。

Shiritomo GADGET編集部の考察:価格は「機能」ではなく「姿勢」への対価

The Clockを単なる時計として見ると、5万9400円は割高に映ります。
しかし家電業界の文脈で捉え直すと、この価格設定はバルミューダの生存戦略そのものだと考えられます。
同社は量産・薄利多売の家電メーカーとして大手と正面から戦うのではなく、ブランドの世界観に共感する少数の顧客に高単価で買ってもらう方向へ舵を切っているように見えるからです。
スマホ事業の失敗は、まさに大手と同じ土俵(大量生産・低価格競争が前提の市場)で戦おうとした結果でもありました。
今回のThe Clockは逆に、価格を下げずに「体験の質」で選んでもらう設計に振り切っています。
約5000台という数字は家電としては小規模ですが、赤字覚悟の大量生産に頼らない経営という点では、堅実な立ち上がりと評価できそうです。
今後の焦点は、この単価と規模感を維持したまま、次の製品でも同じ支持を得られるかどうかにあるでしょう。

まとめ

バルミューダは4期連続の減収という厳しい経営状況のなか、スマホ事業撤退から3年を経て、5万9400円の「入眠時計」に次の一手を託しました。
約5000台という出荷実績は、価格を下げない戦略が一定の支持を得ていることを示しているといえそうです。

さらに深掘りしたい方へ

The Clockの詳しい機能や、バルミューダの経営状況についてさらに知りたい方は、以下も参考にしてください。