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「一切許諾してない」——VTuber18組コラボ日本酒、酒蔵が弁護士を立てた理由

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月7日 更新
「一切許諾してない」——VTuber18組コラボ日本酒、酒蔵が弁護士を立てた理由

「当該商品は、弊社とは取引のない団体・小売店の企画であり、これまで弊社では一切許諾したことはなく、今後も許諾する意向はございません」。

新潟県長岡市の酒蔵、諸橋酒造が9月3日に自社サイトへ掲載した一文です。
宛先は、神田明神納涼祭りと連動して8月6日から売られていた「VTuberコラボ日本酒」。
18組・20人のVTuberが描かれた限定ラベルの清酒で、SNSでの拡散を追い風に受注を伸ばしていました。
ところが、その酒を造ったはずの蔵元が「関与していない」と表明し、話は一気にきな臭くなります。
SNSでコラボ企画を告知・拡散する立場の人にとっても、許諾確認の甘さがどれほどの反響を招くかを考えさせられる一件です。

先に結論をまとめると:
– 諸橋酒造は「VTuberコラボ日本酒」への関与・許諾を全面否定し、弁護士に依頼して対応中
– 主催の「絶品グルメ屋台の会」は8月5日にプレスリリースを出し、8月6日から受注を開始していた
– 神田明神も「会場でのプロモーション許可のみ」と一線を引き、9月3日に新規受注が止まった

「勝手にコラボ」疑惑がXで急拡散

事の発端は8月5日です。
「絶品グルメ屋台の会」が、神田明神納涼祭りと連動した「VTuberコラボ日本酒」の販売をプレスリリースで発表し、翌6日17時から受注が始まりました。
18組・20人のVTuberそれぞれに専用ラベルをつけた720mlの清酒で、価格は3,800円、アクリル製コースター付きなら5,600円です。
販売は「ライスショップきよみや」のECサイトが担い、受注期間は10月6日までの2か月間に設定されていました。

ここまでは、よくあるキャラクターコラボの告知に見えます。
ただ、SNSでこの企画を知った人たちの反応は、想定と違う方向へ転がっていきました。

X上では、コラボ元とされていた諸橋酒造が「一切関与していない」と否定していることを伝える投稿が急速に拡散します。

「ちいかわのコラボが問題視されておりますが」という書き出しで始まるこの投稿は、同時期に話題になっていた別の無断コラボ疑惑と並べる形で状況を整理し、1万6000件を超えるいいねを集めたとみられます。
ただ、ここまでの情報だけでは「本当に無許諾だったのか」「誰の言い分が正しいのか」ははっきりしません。
そこで、当事者3者それぞれの発表を一次情報で確認しました。

調べて分かったこと

酒蔵は本当に何も知らなかったのか?

諸橋酒造は8月18日、自社サイトに「弊社名を無断使用したコラボ商品について」と題した注意喚起を掲載しました。
さらに9月3日には内容を更新し、次のように明言しています。

「当該商品は、弊社とは取引のない団体・小売店の企画であり、これまで弊社では一切許諾したことはなく、今後も許諾する意向はございません」

同じ告知では、商品を供給する予定もないこと、そしてこの件について弁護士に依頼し対応中であることも明かされました。
1847年創業、170年以上の歴史を持つとされる蔵元が、自社ブランドを勝手に使われたとして公の場に声明を出す事態になっています。

主催者と神田明神の言い分は?

一方、企画を主催した「絶品グルメ屋台の会」は、プレスリリースの中で使用する清酒を諸橋酒造の製造と明記していました。
つまり蔵元名を伏せた曖昧な企画ではなく、はっきりと固有の蔵元名を挙げて告知していたことになります。

神田明神納涼祭りの公式アカウントも9月6日、次の投稿で立場を明確にしました。

投稿では、確認・許可した範囲は「境内における本企画のプロモーション、および『神田明神納涼祭り』の名称・ロゴ等の使用に限られます」としており、酒蔵との契約関係には一切関与していないと線を引いています。
祭りの名前を貸した側、商品を企画した側、酒を造った側の認識がここまでずれていたことが、今回の混乱の核心です。

買った人はどうなるのか?

販売を担っていたライスショップきよみやは9月3日、「諸事情により、『VTuberコラボ日本酒』企画商品の新規受注を一旦停止いたします」と告知しました。
すでに注文していた購入者への対応については「今後の対応を整理のうえ、対象のお客様へ改めてご案内いたします」とするにとどまり、この記事の時点で返金や商品提供に関する具体的な方針は明らかになっていません。

Shiritomo編集部の考察:コラボ発信は「誰が確認したか」まで見せる

今回の一件で目を引くのは、許諾確認が主催者・小売店・イベント側のどこにも「完了した証跡」として残っていなかった点です。
SNSでコラボ企画を告知するとき、拡散力が強いほど、後から間違いが判明したときの反響も大きくなります。
特にキャラクターやIPを起用した企画では、告知前に権利者の合意を書面で取り、担当者名まで記録しておくことが、拡散後の炎上を防ぐ最低限の備えになるはずです。
今回のように蔵元名を明記した告知を先に出してしまうと、後から訂正しても「無断使用」という印象だけが強く残ってしまいます。
SNS発の企画ほど、足元の確認を丁寧にする必要があるという教訓が詰まった事例だといえるでしょう。

まとめ

VTuber18組を起用したコラボ日本酒は、酒蔵の全面否定と弁護士対応という形で受注停止に追い込まれました。
祭りの名前を貸した神田明神、商品を企画した「絶品グルメ屋台の会」、そして名前を使われた諸橋酒造——三者の言い分がかみ合わないまま、購入者だけが宙に浮いた状態になっています。

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