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11万いいねの虎、38テイクのオチ——公式アカウントの「粋な演出」が次々バズったこの1ヶ月【編集部まとめ】

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月7日 更新
11万いいねの虎、38テイクのオチ——公式アカウントの「粋な演出」が次々バズったこの1ヶ月【編集部まとめ】

路地裏のベンチにひとり座るしまじろうの写真に、11万件を超える「いいね」が集まりました。
同じ月、菊正宗の60周年動画は「気持ちよく騙された」という感想とともに拡散し、舞台裏では38回撮り直していたことがあとから明かされています。
この1ヶ月、hashout.jp/snsが取り上げた記事を並べ直すと、告知でも値引きでもない「演出そのもの」で伸びた公式アカウントの投稿が8件も見つかりました。
SNS運用の担当者にとっては、どの仕掛けが数字を動かしたのかを分解して持ち帰れる回になりそうです。

先に結論をまとめると:
– 7月3日から9月上旬にかけて、公式アカウントが仕込んだ「演出」で伸びた投稿が8件見つかりました
– 効いていたのは値引きや景品の大きさではなく、情報を削る余白・本人公認のパロディ・裏側の種明かしといった仕掛けの設計でした
– 単発のバズではなく、数か月がかりの企画や過去の積み重ねの延長線上にあるケースが目立ちました

いま、公式アカウントの「粋な演出」に何が起きているのか

この1ヶ月にhashout.jp/snsで取り上げた記事を見返すと、ある共通点に気づきます。
伸びていた投稿の多くが、値引き額や当選人数といった「お得さ」を前面に出していなかったことです。
別府競輪の踊ってみた企画は当選枠がQUOカード10名という控えめな数字でしたし、しまじろうの路地裏投稿にいたっては商品もキャンペーンも一切登場しません。
それでも数万〜十数万件のいいねが集まっていました。

代わりに見えてきたのは、「演出そのものを設計している」という共通項です。
本人を巻き込んでパロディを成立させる、撮影の裏側をあとから明かす、告知を一度で終わらせず段階的に開放する——手口はそれぞれ違いますが、どれも単発の思いつきではなく仕込みでした。
ここからは、この1ヶ月に見つかった8つの事例を順に見ていきます。

この1ヶ月、公式アカウントが仕込んだ8つの「仕掛け」

1. 競輪の公式Xが”踊ってみた”を仕掛けた理由

地方公営競技の別府競輪が8月18日に投稿したのは、オリジナルQUOカードを10名にプレゼントする告知でした。
応募条件は公式アカウントのフォローとハッシュタグ付きのリプライ、リポストという3ステップだけ。
これだけの内容に、1,737件の返信と2,427件のリポストが集まりました。

投稿をよく見ると、プレゼント企画と並んで「踊ってみた動画募集中」という一文が添えられています。
実はこのQUOカード企画、7月24日から始まっていたオリジナル楽曲「Like Live 別府けいりん」のダンスチャレンジを広めるための入り口でした。
参加のハードルを下げたプレゼント企画で人を集め、本命のダンス投稿はTikTokとInstagramの両方で受け付け、グランプリには黒毛和牛のカタログギフトを用意する——数か月がかりの設計の一部として、このプレゼント企画は機能していたわけです。

競輪のように「ファン以外にリーチしづらい」と言われがちなジャンルでも、誰でも参加できるフォーマットを間に挟めば接点を作れることを示した事例だと言えます。

投稿1件に1,737件の返信——競輪の公式アカウントがTikTokの踊ってみたを仕掛ける理由「投稿1件に1,737件の返信」——競輪の公式アカウントがTikTokの”踊ってみた”を仕掛ける理由別府競輪のQUOカード企画は、数か月がかりのダンスチャレンジ企画への入り口でした。

2. 「開幕」なのに2日目——ファミマのおむすび告知が朝にもう一度伸びた理由

ファミリーマートが8月19日朝に投稿した「#熱闘おむすび選手権 開幕」という告知は、その日のうちに6万件超のリポストを集めました。
ただし文面の「開幕」とは裏腹に、キャンペーン自体は前日8月18日10時にすでに始まっており、この投稿は初日ではなく2日目に打たれた二の矢でした。

数字を見ると、投稿1時間で7,921件、24時間で62,434件のリポストと9,299件のいいねが集まり、インプレッションは124万回を超えています。
興味深いのは時間ごとの動き方で、深夜にいったん落ち着いたあと、翌朝6〜7時台にもう一度伸びていました。
おむすびという「朝に消費される商材」と、投稿を思い出すタイミングが噛み合った結果と見られます。

応募条件はフォローとリポストのみ、当選枠は4万名という広さも参加のハードルを下げていました。
大谷翔平選手を起用したこのキャンペーンシリーズは今回で5回目、3月に展開された同シリーズの企画では累計販売数420万個を突破しています。

開幕と書かれた投稿は2日目だった——ファミマのおむすび告知が翌朝もう一度伸びた理由「開幕」と書かれた投稿は2日目だった——ファミマのおむすび告知が翌朝もう一度伸びた理由2日目の告知でも初速が立ち、翌朝の通勤時間帯にもう一度伸びた仕組みを分析。

3. 60年目の昭和菓子が、映画ちいかわで生まれ変わった理由

1966年発売、2026年で60周年を迎えた愛知の焼き菓子「しるこサンド」が、映画『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』とのコラボパッケージを展開すると、SNSには「やりやがったなっ!!」という驚きの声が並びました。

派手さのない昭和菓子と人気アニメ映画という組み合わせそのものが「意外性」として受け止められたことに加え、販売開始のタイミングを一度にまとめなかった点も見逃せません。
7月17日にちいかわらんど・ちいかわマーケットで先行発売したあと、7月20日にセブン-イレブンとNewDays、7月21日にはJR東海リテイリング・プラスの「PLUSTA」へと段階的に販路を広げました。
松永製菓によれば、コラボ発表後は公式サイトへのアクセスが月平均の4倍に増えたといいます。

告知を一度で終わらせず、「今どこで買えるか」という話題を複数回にわたって作り出せたことが、地域の定番菓子を全国区の話題に押し上げた仕組みだったようです。

やりやがったなっ!!——60年目のしるこサンドが映画ちいかわで再ブレイクした理由「やりやがったなっ!!」——60年目の「しるこサンド」が映画ちいかわで再ブレイクした理由段階的な販路開放と意外な組み合わせが、地域菓子を全国区の話題に押し上げました。

4. 「休んでる暇はない」のに爆睡中——矛盾がクリックを生んだ理由

セガ公式Xが投稿したのは「休んでる暇はない」という文章と、ソファでブランケットにくるまって熟睡しているソニックの写真という組み合わせでした。
文章と写真がわざと食い違っている、この落差そのものが目を引く仕掛けになっていて、投稿には855件のいいねと182件のリポスト、32,411件のインプレッションが集まりました。

この投稿は単体で完結したネタではなく、リンク先のセガ公式TikTokへ視聴者を送る”予告編”という位置づけです。
セガは2023年8月からTikTokで短編アニメ「SONIC&FRIENDS」を配信しており、その規模はフォロワー約310万人、累計いいね約4,750万件、投稿本数1,212本にのぼります。
X側のフォロワー規模を大きく上回るTikTokアカウントへ、あえてXから送客する構図です。

1990年代から続くキャラクターを、当時を知らない世代にもTikTokという入り口で届けようとする狙いが透けて見える事例でした。

休んでる暇はないのに爆睡中——セガ公式XがTikTok動画へ誘導する仕掛けの正体「休んでる暇はない」のに爆睡中——セガ公式XがTikTok動画へ誘導する仕掛けの正体テキストと写真の矛盾を使って、TikTok本編へ視聴者を送客する設計。

5. 12年前の抗議シーンを、本人公認で完全再現した理由

2014年のヤマザキナビスコカップで、浦和レッズの森脇良太選手が副審に詰め寄って「誘ってんじゃん!わかる!?」と発した一言は、Jリーグファンの間で語り草になっている名物シーンです。
モンスト公式は8月26日、この場面を森脇さん本人の出演でほぼ忠実に再現した動画を投稿しました。

反応は大きく、記事執筆時点でインプレッションは500万件を突破、いいねも2万件を超えています。
投稿から約23分後には森脇さん本人が「まさか完全再現する日がくるとは」と反応し、拡散に協力する姿勢を見せました。
本人が乗っている以上、ファンにとっても「勝手にネタにされた」印象にはならず、素直に楽しめる空気が生まれたようです。

モンストは同じ日の18時に「審判目線」バージョンの動画も追加投稿しており、1本のネタを時間差で2パターン展開する構成も見られました。
本人を巻き込むことで、パロディは炎上ではなく共犯関係に変わります

モンスト公式が森脇良太を巻き込み誘ってんじゃんを完全再現、本人もまさかと驚いた仕掛けモンスト公式が森脇良太を巻き込み「誘ってんじゃん」完全再現、本人も「まさか」と驚いた仕掛け12年前の名物シーンを本人公認で再現、23分後の本人反応が拡散を後押ししました。

6. 動画のオチより、38テイクの舞台裏が刺さった理由

菊正宗が8月27日夕方に投稿した「瓶詰め樽酒発売60周年記念」動画は、1日足らずでいいね2.7万件超、インプレッション900万回超を記録しました。
漫画『トライガン』作者の内藤泰弘さんが「気持ちよく騙されるの気持ちいい。」と引用リツイートしたことも拡散を後押ししています。

反響の中心は動画の完成度そのものよりも「オチ」にありました。
菊正宗は同日中に続報として、「#トータル38テイク」というハッシュタグを添えた投稿をしており、そのワンシーンを撮り切るまでに38回撮り直したとみられます。
この種明かしが、CGでも生成AIでもなく人が何度も撮り直して仕上げた一瞬だったという印象を裏側から補強し、見返したときの見方を変える仕掛けになっていました。

引用リツイートの中には「生成AIを疑ってしまう時代に良いオチのつけ方をした」という評もあり、映像への信頼が試されている時代性も垣間見える事例です。

気持ちよく騙されるの気持ちいい——菊正宗の60周年動画、38テイクに込めた仕掛け「気持ちよく騙されるの気持ちいい」──菊正宗の60周年動画、38テイクに込めた仕掛け動画公開後に舞台裏を明かす続報が、映像への信頼を裏側から補強していました。

7. 主人公も上司も猫も、全部同じ人だった理由

マクドナルドが8月30日に投稿した「サムライマック」の新動画は、主人公の女性から男性上司、本能、理性、猫、店内音、CMの最後の音まで、7つの役どころすべてを=LOVEの佐々木舞香さんが1人で演じ分けるというものでした。
投稿は1日で3万件を超えるいいねを集め、インプレッションは119万回に達しています。

佐々木さんの起用は今回が初めてではなく、5月に俳優の堺雅人さんと共演したテレビCMから続く”続投”企画です。
半年近くかけて「サムライマックといえば佐々木舞香」というイメージを積み上げてきた延長線上に、今回の1人7役ネタがありました。

反応を見ると、=LOVEのファンコミュニティが推しの活躍として拡散する動きと、ファン以外が単純にネタとして面白がる動きの両方が同じ投稿に集まっていました。
分かりやすいネタは、ファンダムの外側にもそのまま伝わります

1人7役は面白すぎるwww——マクドナルドの新動画、佐々木舞香が全部の声を担当した理由「1人7役は面白すぎるwww」——マクドナルドの新動画、佐々木舞香が”全部の声”を担当した理由5月からの継続起用の延長線上にあった1人7役ネタが、ファン層と一般層の両方に刺さりました。

8. 何も売らない一枚が、11万いいねを集めた理由

しまじろう公式Xが9月2日夕方に投稿したのは、誰もいない路地裏の石畳のベンチに、しまじろうがひとり座っているだけの写真でした。
添えられたキャプションは「おや?しまじろう 無かな?」の一言だけ。
それでもいいねは11万件を突破し、インプレッションは624万回、リポストは2万件を超えました。

新商品の告知もキャンペーンの案内もない、この情報量の少なさこそが伸びた理由だと考えられます。
見る側が自由に感情を投影できる余白があり、リプライ欄には「悩みがあるなら聞くぞ」といった、まるで友人に声をかけるような反応も寄せられていました。
しまじろう公式は過去にも、美容室の椅子で気まずそうな表情を見せる投稿で3万いいねを、子育て世代以外にも公式アカウントがあることへの”気づき”投稿で13万いいねを記録しており、今回も単発ではなく繰り返し使われてきた手法の延長線上にあります。

タイミングとして見逃せないのは、10月2日から11月1日まで東京タワーで「TOKYO TOWER & Shimajiro」コラボイベントが控えていることです。
投稿自体にイベントへの言及はありませんが、キャンペーン色のない日常投稿でエンゲージメントを積み上げておくというのは、大型イベント前の下地作りとしても理にかなっています。

おや?しまじろう無かな?11万いいねを集めた公式Xの一枚、10月東京タワーコラボへの布石「おや?しまじろう 無かな?」11万いいねを集めた公式Xの一枚、10月東京タワーコラボへの布石告知ゼロの日常投稿が11万いいねを記録、過去にも繰り返されてきた手法の延長線上にありました。

8つの事例を1枚にまとめると

事例 数字 効いたもの
別府競輪「踊ってみた」 返信1,737件・リポスト2,427件 数か月企画への入り口設計
ファミマ「おむすび選手権」 リポスト62,434件・翌朝再燃 消費シーンと投稿時刻の一致
しるこサンド×映画ちいかわ 公式サイトアクセス月平均4倍 段階的な販路開放
セガ×ソニック いいね855件・インプレッション32,411回 テキストと写真の矛盾
モンスト×森脇良太 インプレッション500万件超 本人公認のパロディ
菊正宗60周年動画 いいね2.7万件超・インプレッション900万回超 種明かしによる信頼補強
マクドナルド×佐々木舞香 いいね3万件超・インプレッション119万回 ファンと一般層の両取り
しまじろう「路地裏」投稿 いいね11万件超・インプレッション624万回 情報を削った余白

Shiritomo編集部の考察:明日からできることは3つ

8つの事例を並べて見えてくるのは、バズった投稿のほとんどが単発の思いつきではなく、①普段からの積み重ね、②当事者・第三者を巻き込む合意形成、③時間差で話題を持続させる設計、のいずれかを含んでいたことです。
マクドナルドの1人7役もしまじろうの日常投稿も、今回が初めてではなく過去の積み重ねの延長線上にありました。
モンストと森脇さん、菊正宗と内藤さんの引用リツイートのように、当事者や著名人を巻き込む合意形成があると、拡散はパロディへの反発ではなく共犯関係として広がります。
ファミマやしるこサンドのように、告知や販路を一度で出し切らず段階的に開放すれば、話題化のタイミングを複数回作れます。

明日からできることとしては、まず自社の過去投稿を見返して”積み重ねられる型”を1つ選ぶこと、次にコラボ相手や取引先を巻き込む余地がないか確認すること、そして告知を分割して出せないか検討することです。
値引きや景品の額を大きくするより、この3つの設計のほうが再現性は高いはずです。

まとめ

公式アカウントの投稿は、割引や当選人数を大きくするだけが正解ではありません。
この1ヶ月に見つかった8つの事例が示すのは、演出そのものを設計する余地がまだ十分に残っているということでした。

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