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フォロワー20万人の架空の人、年間売上1515万円のnote上位1000人——「AIで稼ぐ」を覗いたら中身が違いました【編集部まとめ】

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年10月12日 更新
フォロワー20万人の架空の人、年間売上1515万円のnote上位1000人——「AIで稼ぐ」を覗いたら中身が違いました【編集部まとめ】

フォロワー20万9300人、いいね370万件。
その持ち主「Jean Phil」は、最初から存在しません。

同じ1ヶ月に、Xでは「数ヶ月で100万円」という副業報告が相次ぎ、noteは年間売上トップ1000人の平均が1515万円だと発表しました。
SNS運用やマーケティングに関わる人なら、こうした数字を見て「自分にも再現できるのか」と気になったはずです。
この1ヶ月に自媒体で追いかけた7本の記事を並べ直すと、「AIで稼ぐ」という言葉を覗いた先にあったものには、ある共通点がありました。

先に結論をまとめると:

  • 「AIで稼げる」という発信の中身を調べると、実際に自動化されていた部分は限定的で、人力の加筆・終了直前の特需・上位0.01%の実績など、言葉の印象より狭い実態が見えてきました
  • AI生成の架空人物がフォロワーを稼ぐ手口も、AIの文章が「それっぽく」見える型も、どちらも既に言語化され、無料で手口が公開され始めています
  • 「AIが自動化する」という前提そのものに賭けて、あえて人が動く事業を始める人も同時に現れています

いま、「AIで稼ぐ」話に何が起きているのか

9月から10月にかけて、X・TikTok・noteのそれぞれで「AIを使えば稼げる」という発信が目立ちました。
副業の収益報告、架空人物のフォロワー急増、投げ銭ライブの自動応答、noteの実用コンテンツの伸び——入り口は違っても、語られ方には共通の型があります。
「AIに任せれば」「AIを使えば」という前置きのあとに、具体的な金額やフォロワー数が続く構成です。

ただ、note副業の実態を確かめた記事が示すように、公表されている大きな数字は上位のごく一部に限られていることが少なくありません。
同じように、AIインフルエンサーの自動応答を確認した記事でも、実際に確認できたのは「声」の自動応答だけで、全部がAI任せというわけではありませんでした。
「AIで稼ぐ」を字面どおりに受け取るか、仕組みまで確かめるかで、見える景色がまるで違っていたのです。

ここからは、この1ヶ月に起きた7つの出来事を、起きた順に見ていきます。

この1ヶ月、「AIで稼ぐ」の現場で起きた7つの出来事

1. AI批判の投稿、締めの3文だけAI臭かった

9月11日午前11時44分、編集者の箕輪厚介さんが「AIが立てた完璧な計画は火がつかない」という投稿をしました。
SNSのプロモーション計画をAIに作らせても、予定通りにしか動けない人ばかりになり、だいたい話題にならないという指摘です。
投稿は164,112インプレッション、883いいねを集めました。

ところが公開から1時間14分後、メンタリストDaiGoさんが「最後の3文あたりがめっちゃAI感がある笑」と返信します。
皮肉なのは、指摘されたのがAI依存を戒める投稿そのものの締めだったことです。
箕輪さんは「堀さんは加筆した」と認めました。
AIではなく、知人の加筆だったという種明かしです。
短い体言止めを畳みかけて締める書き方は、実際にAIが好んで使う型でもあり、DaiGoさんの指摘は的外れとは言い切れませんでした。

「最後の3文あたりがめっちゃAI感がある笑」DaiGoの指摘に箕輪厚介氏が明かした「最後の3文あたりがめっちゃAI感がある笑」DaiGoの指摘に箕輪厚介氏が明かした”加筆者”の正体AIまかせの投稿計画を批判する投稿の締めが、AIっぽく見えてしまった構図が拡散のきっかけに。

2. AIが広告を自動化する年に、あえて代理店を創業した理由

9月14日午前10時11分、元LIPSマーケティング責任者の中川亮さんが「HIDEN株式会社を創業しました!」と投稿しました。
半日足らずで4万9000インプレッション、186いいね、20件の引用リツイートを集めています。
社名の由来は「秘伝のタレ」。
属人化したノウハウをAIエージェントに継承させる、という発想です。

前の事例が「AIらしさ」を人間が疑われた話だったのに対し、こちらは逆方向です。
「AIで広告運用が自動化される」と言われる年に、40社以上を支援してきた人物があえて人が動く代理店を選んだという逆説でした。
マーケティングを担当する中川さんと、AI実装を担当する共同創業者かつきさんの役割分担は、AIと人の仕事をどこで切り分けるかという、このクラスタ全体に通じる問いを先取りしていました。

「秘伝のタレ」「ひでんマシン」——AIが広告運用を自動化する今、あえて代理店を創業した理由「秘伝のタレ」「ひでんマシン」——AIが広告運用を自動化する今、あえて代理店を創業した理由元LIPSマーケティング責任者が、AI自動化の逆風の中で広告代理店「HIDEN」を共同創業した背景。

3. 「AI臭い文章」を型として解体してみた豊洲会の発表

9月28日、技術者コミュニティ「豊洲会」で、横井きみのりさんが「AI臭い文章とは何なのか」という発表をしました。
「片方だけを見て基準を作ると、もう片方が壊れます」のような、賢そうに見えて何も言っていない文章の正体を、感覚ではなく型として整理した内容です。

挙げられた特徴は3つ。
不要な対比・否定から始まる、抽象語や比喩を多用する、短文や対句を重ねて印象だけを強める——というパターンでした。
1つ目の事例でDaiGoさんが見抜いた「畳みかけの断定」は、まさにこの3つ目の型に当たります。
この発表そのものはいいね数の多い反応が確認できていないため、ここではスライドの一次情報だけを根拠に紹介しています。

「日本語がおかしい文章の一種です」——豊洲会のスライドが分解した、AI臭い文章の正体「日本語がおかしい文章の一種です」——豊洲会のスライドが分解した、AI臭い文章の正体AI臭い文章の正体を「不要な対比」「抽象語の多用」「短文の畳みかけ」の3つの型に整理した発表。

4. フォロワー20万人の”Jean Phil”は、最初から存在しなかった

9月30日、アプリ開発者の@simonecancielloさんが「死んだインターネット理論は本当だった」と投稿しました。
AIで作った架空のキャラクターをバズった動画に合成するだけで、1週間で20万フォロワーを獲得できるという手口です。
添付画像には、ブロンドのおかっぱ頭で知られる「Jean Phil」のプロフィール画面がありました。
フォロワー20万9300人、フォロー数ゼロ、いいね370万件。
投稿は1日足らずでいいね11,691、インプレッション419万に達しています。

ここまでの3つの事例が「AIらしさが疑われる・疑われない」という話だったのに対し、この事例は手口そのものが無料で公開された点が際立ちます。
投稿者は「$299の高額講座を買う必要はない」と明言しており、同じ型の便乗キャラクターが仮想通貨(ミームコイン)の発行につながるケースも相次いでいるといいます。
ノウハウが丸ごと流出した瞬間を捉えた記事として、個人的にはこのクラスタの中でも最も衝撃の大きい事例でした。

「the next one is already here」——AIで作った架空の人物が1週間で20万フォロワーを稼ぐ手口「the next one is already here」——AIで作った架空の人物が1週間で20万フォロワーを稼ぐ手口AI生成の架空人物をバズった動画に合成する手口が無料公開され、便乗キャラが次々登場した経緯。

5. 「数ヶ月で100万円」が相次いだ裏で、仕組みは9月7日に終わっていた

9月から10月にかけて、X上では「Xマネタイズで4ヶ月目に100万円、5ヶ月目に200万円」「9月に190万円を稼いだ」といった副業の収益報告が相次ぎました。
非エンジニアがAIツールを使って収入を伸ばしたという事例も目立ちます。

ところが調べてみると、これらの報告が頼っていたとみられる「クリエイター収益配分プログラム」は、2026年9月7日で収益獲得そのものが終了し、最終支払いは9月11日ごろに行われていました。
つまり相次いだ「100万円」「200万円」の報告は、プログラムが終わる直前の最後の追い込みだった可能性が高いのです。
後継の「オリジナルコンテンツ報酬プログラム」は、認証済みフォロワー500人以上、かつ過去90日で認証済みユーザーから50万回以上の閲覧という条件が必要で、ハードルは決して低くありません。

AI副業で数ヶ月で100万円超えの報告が相次ぐXで、収益の土台は9月7日に静かに終了していたAI副業で数ヶ月で100万円超えの報告が相次ぐXで、収益の土台は9月7日に静かに終了していた相次いだ副業の収益報告は、終了が迫ったXの旧収益プログラムでの最後の成果だった可能性。

6. TikTok LIVEの”AIインフルエンサー”、確認できたのは声だけ

10月10日昼12時31分、投稿者の@gagarot200さんが「TikTok LIVEを『AIインフルエンサー』で自動化を実現させて投げ銭自動化しとるやんw」と投稿しました。
配信者「佐々木大」さんのライブ画面には、視聴者のコメントに対する返信が、音声クローンとみられる「ひろの声」というラベル付きで表示されています。
投稿は523,648インプレッション、1,051いいねを集めました。

ここが、この1ヶ月の「AIで稼ぐ」話の中でも特に注意が必要な事例です。
配信者はプロフィールに「Gensou AI CEO」と名乗り、同名のAI動画生成サービスは実在することが確認できました。
しかし画像から確認できたのは「コメントへの音声自動応答」だけで、顔がAI生成されている証拠は見当たりませんでした。
「全部AI」に見える投稿も、確認できる範囲は意外と狭いというのが実情です。

TikTok投げ銭「AIインフルエンサー」で自動化、確認できたのは声の自動応答だけTikTok投げ銭「AIインフルエンサー」で自動化、確認できたのは声の自動応答だけ投げ銭ライブの自動応答話題で、画像から確認できたのは音声クローンとみられる返信のみだった。

7. note副業「AIで月30万円」、トップ1000人の平均は1515万円

10月11日公開の記事では、note株式会社が公表した年間売上トップ1000人の平均売上、約1515万円という数字を検証しています。
集計期間は2024年12月から2025年11月。
一見大きな数字ですが、noteの会員数は1000万人を超えており、トップ1000人はその0.01%にも届きません。

実際に有料記事を1本売った場合の手取りは、プラットフォーム利用料10%と決済手数料5〜15%を引かれ、売上の75〜85%程度にとどまります。
1,000円の記事を1本売っても手取りは900円に届かず、月30万円を安定して得るには同額の記事を300本以上売り続ける必要があります。
この1ヶ月を通して見てきた6つの事例と同じく、「AIに書かせるだけで」という言葉が指している現実は、思っているより狭い範囲に限られていました。

note副業、AIで月30万円は本当に稼げるか——トップ1000人の平均1515万円の実態note副業、AIで月30万円は本当に稼げるか——トップ1000人の平均1515万円の実態note公式統計のトップ1000人平均1515万円は、会員1000万人超の0.01%未満という実態。

7個の事例を1枚にまとめると

事例 数字 効いたもの
箕輪厚介さんの投稿とDaiGoさんの指摘 164,112インプレッション、883いいね AI批判の投稿の締めが、AIっぽく見えた皮肉
HIDEN株式会社の創業 49,000インプレッション、186いいね、引用20件 自動化の逆風下で人力の代理店を選んだ逆説
豊洲会「AI臭い文章」発表 (一次情報のみ、反応数は未確認) 違和感を感覚でなく3つの型に言語化
架空人物「Jean Phil」の拡散手口 フォロワー20万9300人、いいね11,691 手口そのものが無料で公開された衝撃
Xマネタイズ収益報告ブーム 月100万〜200万円の報告が相次ぐ 旧プログラム終了(9月7日)直前の特需
TikTok LIVEの音声自動応答 523,648インプレッション、1,051いいね 確認できた範囲が「声のみ」だった実態
note副業の収益構造 トップ1000人平均1515万円、手取り75〜85% 大きな数字が上位0.01%に集中している構図

Shiritomo編集部の考察:明日からやることは2つ

7つの事例を並べて見えてくるのは、「AIで稼げる」という発信が指す範囲が、言葉の勢いよりも常に狭いという構造です。
人力の加筆、終了直前の特需、上位0.01%の実績、確認できたのは声だけ——いずれも検証すると「全自動」「誰でも再現できる」という印象が後退しました。
一方で、Jean Philの手口や豊洲会の発表のように、ノウハウそのものが無料で言語化・公開される動きも同時に進んでいます。

明日からできることは2つです。
1つ目は、SNSで見かけた「AIで月◯万円」という収益報告を見たら、その仕組みがいつまで存在するものなのかを確認すること。
終了間際のプログラムの最後の成果を、継続可能な収益モデルと誤解しないための視点になります。
2つ目は、自分やチームの投稿がAI下書きに頼るとき、文末のリズムを崩す・体言止めを1文だけにするといった一手間を加えること。
「AI臭さ」はもう型として解体されており、知らずに踏んでしまうリスクが上がっています。

まとめ

「AIで稼ぐ」という言葉がSNSに溢れた1ヶ月でしたが、仕組みを一つひとつ確かめると、自動化の範囲も収益の実態も、見た目より狭いところに落ち着いていました。

さらに深掘りしたい方へ

この1ヶ月は、クラスタ外でも反響の大きい記事がありました。
興味があればあわせてご覧ください。