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「秘伝のタレ」「ひでんマシン」——AIが広告運用を自動化する今、あえて代理店を創業した理由

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月14日 更新
「秘伝のタレ」「ひでんマシン」——AIが広告運用を自動化する今、あえて代理店を創業した理由

9月14日午前10時11分。
「HIDEN株式会社を創業しました!」という一文から始まる投稿が、公開から半日足らずで4万9000インプレッション、186いいねを集めました。
投稿したのは、コスメアプリ「LIPS」のマーケティング責任者を務めた中川亮さん。
社名の由来は「秘伝のタレ」「ひでんマシン」だと、本人がすぐ後に続けています。

「AIで広告運用が自動化される」と言われる2026年に、なぜあえて人が動く代理店を選んだのか。
SNS運用やマーケティングに関わる人ほど気になるはずのこの問いを、投稿と本人の発信をもとに追いかけてみました。

先に結論をまとめると:
– 元LIPSマーケティング責任者の中川亮さんが、共同創業者「かつき」さん(@ktknd)とAIマーケティング支援会社「HIDEN株式会社」を創業しました
– 社名は「属人化したノウハウ=秘伝のタレを、AIエージェントに継承させる」という発想に由来しています
– 中川さんは「マーケティングを」、かつきさんは「AI実装を」担当する役割分担で、Luxarグループ初の子会社として立ち上がりました

午前10時台の投稿が広告業界の知人を巻き込んだ

中川さんの創業ツイートには、20件の引用リツイートが付きました。
多くは元同僚や友人からの祝福ですが、中には業務としてマーケティングを見ているアカウントからの反応も混ざっています。

最初に動いたのが共同創業者のかつきさんでした。
中川さんの投稿からわずか15分後、自分の言葉で創業の経緯を語る投稿を重ねています。

「マーケティング領域のOSづくりめちゃくちゃ相性良さそうなので期待」——SNS運用系のアカウントからは、単なる祝福を超えて事業内容への期待を寄せる声も見られました。
祝福の言葉が並ぶだけでなく、実際に「なぜ今、代理店なのか」という点に踏み込んだ反応があったのが、この投稿の特徴です。

調べて分かったこと

「秘伝のタレ」とは何のことか

中川さんは創業発表の前日、社名の由来についてこう投稿していました。

「AI時代のマーケターの戦い方を考える中で、最も腹落ちしているのが、深津さん(THE GUILD / note)の発信の中で触れられている『秘伝のタレ』という概念」

深津貴之さんはnote株式会社のCXOであり、クリエイティブファーム「THE GUILD」の代表を務めるインタラクションデザイナーです。
同氏が配信するポッドキャスト「深津貴之のGUILD TALK」は、各業界の実務者を招いて現場の思考法を掘り下げる番組として知られています。
中川さんが指す「秘伝のタレ」は、熟練の担当者の頭の中にしかない、言語化されていない勝ちパターンのことを指していると見られます。
飲食店の秘伝のタレが継ぎ足しで受け継がれるように、マーケターの「勘」もまた、本人の中に蓄積されたまま外に出てこない。
それをAIエージェントに移植できないか、というのが発想の出発点です。

AIが自動化するなら、なぜ人が動く代理店が必要なのか

ここが一番の疑問です。
「AIで広告運用が自動化される」という前提は、多くの広告代理店にとって脅威のはずです。
中川さん自身がnoteで公開した記事のタイトルは「40社以上を支援した自分が、新たに広告代理店を創業した理由」。
40社以上の支援経験を積んだ人物が、自動化の逆風の中であえて代理店を選んだという構図そのものが、この記事のテーマになっています。

HIDEN株式会社が掲げる「HIDEN OS」は、AIが分析・提案し、最終判断は人間が担うという役割分担の仕組みだと説明されています。
広告運用の実作業を自動化するのではなく、経験に基づく判断そのものをAIに学習させる方向性です。
これは「AIに仕事を奪われるかどうか」という二択ではなく、「人にしかできない判断を、どう資産化して再現性を持たせるか」という別の論点だと捉えると理解しやすくなります。

HIDEN株式会社はどんな体制の会社か

ニュースの元情報によれば、共同創業者は野田克樹さんとされています。
X上では「かつき」(@ktknd)というアカウント名で発信しており、中川さんの投稿にも「かつき(@ktknd)との共同創業です」と明記されています。
役割は明確に分かれていて、中川さんがマーケティング領域を、かつきさんがAI実装を担当します。
位置づけとしては、独立系のスタートアップではなく「Luxarグループ初のグループ会社」としての設立です。
代表は中川さんが務めます。

Shiritomo編集部の考察:属人化した「勘」の扱い方は他人事ではない

HIDENが向き合っているのは広告運用の話ですが、「属人化したノウハウをどう資産化するか」という問いは、SNS運用の現場にもそのまま当てはまります。
バズる投稿とバズらない投稿の違いを、担当者の勘だけに頼っている組織は少なくありません。
担当者が異動・退職すれば、その勘は組織から消えてしまいます。

同じ着眼点を持つ動きは今回が初めてではありません。
以前取り上げた「おさるAIマーケ講座」のセミナーも、個人のノウハウをAI活用スキルとして体系化する試みでした。
属人的な経験を明文化し、AIに渡せる形にするという流れは、広告代理店に限らずマーケティング領域全体でじわじわ広がっているように見えます。
SNS運用担当者にとっても、「自分の勘を言語化できているか」を一度棚卸ししてみる価値はありそうです。

まとめ

「秘伝のタレ」という言葉に社名の由来を込めたHIDEN株式会社は、AIによる自動化が進む中で、あえて人の経験知を軸にした代理店として立ち上がりました。
自動化の波にただ乗るのではなく、その裏にある「判断の資産化」に焦点を当てた点が、この創業発表がX上で共感を集めた理由と言えそうです。

さらに深掘りしたい方へ

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中川さんが創業の経緯を綴ったnote記事「40社以上を支援した自分が、新たに広告代理店を創業した理由」は、本人のnoteアカウントから読めます。