「急にテレビから出なくちゃいけない朝も」貞子がヘアケアPRに起用された理由
「急にテレビから出なくちゃいけないような忙しい朝にも、あっという間にするるん髪に仕上がるので、とっても助かってます〜♪」
こう投稿したのは、ホラー映画『リング』でおなじみの貞子です。
井戸から這い出す長い黒髪がトレードマークのあのキャラクターが、寝癖で広がった髪をヘアケアミストでサラサラに整える――。
この投稿は2万件を超えるいいねを集めました。
ホラーアイコンを企業PRに起用する手法自体は目新しくありませんが、SNS運用担当者やマーケターとしては「なぜこの起用がここまで反応を集めたのか」が気になるところです。
仕掛けの中身を調べてみました。
先に結論をまとめると:
– ヘアケアブランド「SURUtto(スルッと)」が2026年8月28日に発売した新商品を、貞子公式アカウント(@sadako3d)とブランド公式アカウントが連動してPRしています
– 起用の狙いは、貞子の代名詞である「長い髪」を、恐怖の記号からではなく「美しい髪を育むケアの大切さ」というポジティブな文脈で語り直すことにあります
– ホラーの記号を逆手に取ったギャップ演出を、キャラクター本人アカウントと企業アカウントの両方から発信した点が、SNS運用として参考になる部分です
貞子が「するるん髪」を宣言した投稿に何が起きたか
冒頭で引用した投稿は、貞子公式アカウント「@sadako3d」によるものです。
忙しい朝でもミストひとつで髪がまとまる、という日常的な悩みをそのまま貞子の口調で語る内容で、いいねは2万1,000件を超え、引用リポストも500件以上つきました。
…急にテレビから出なくちゃいけないような忙しい朝にも、あっという間にするるん髪に仕上がるので、とっても助かってます〜♪#surutto #PR https://t.co/755g4tfc3e
— 貞子<SADAKO>公式 (@sadako3d) 2026年9月1日
投稿につけられた「#surutto」というハッシュタグから、ヘアケアブランド「SURUtto」とのタイアップであることが分かります。
ただ、この投稿だけでは「なぜ貞子なのか」「SURUttoとはどんな商品なのか」までは読み取れません。
ブランド側の発表資料を確認してみました。
SURUttoとはどんなブランドで、なぜ貞子が起用されたのか
なぜホラーキャラクターの貞子が起用されたのか?
SURUttoは、スキンケアメーカーのハーバー研究所(東京都千代田区)が展開する新しいヘアケアブランドです。
ブランド発表資料によると、ターゲットは30〜40代を中心とした世代で、加齢とともに増える「うねり」「広がり」「パサつき」の悩みを、朝晩のケアで1ステップで整えることをコンセプトにしています。
その象徴として起用されたのが、長いロングヘアがトレードマークの貞子でした。
発表資料には、貞子を「美しい髪を育むヘアケアの大切さを伝えるポジティブな存在」として再解釈し、ブランドのキーコピー「伸ばしたくなる、するるん髪へ。」を体現させるキャラクターとして選んだ、という趣旨の説明があります。
恐怖の象徴だった長い黒髪を、ケアの対象という逆の文脈に置き換える発想です。
実は貞子公式アカウントは、商品発売と同じ2026年8月28日に「ヘアモデルを拝命した」という投稿も行っていました。
…何とこの度SURUttoさんのヘアモデルを拝命することとなりましたッ!髪を大事にしてきてよかった…(感涙)
— 貞子<SADAKO>公式 (@sadako3d) 2026年8月28日
これから全力で盛り上げていきますので、みなさまどうぞよろしくです!https://t.co/kcUbhRkTPU#surutto #PR https://t.co/xREqGbOY5Q
この投稿でも「#surutto」のハッシュタグが付いており、同じタイアップの一環と見てよさそうです。
ヘアモデル就任の発表から数日後に「モーニングルーティン」の投稿を重ねる構成になっており、単発のCM公開ではなく、複数回に分けて話題を積み上げる設計だったことがうかがえます。
商品はいくつあり、いくらで買えるのか?
SURUttoが2026年8月28日に発売したのは、次の2商品です。
- ヘアエッセンスオイル(50mL・1,430円税込):補修・保護・保湿・スタイリングを1ステップで実現
- ヘアトリートメントミスト(150mL・1,430円税込):補修・保護・保湿・広がりケアを凝縮
いずれも無香料で、パラベン・石油系界面活性剤・合成香料・鉱物油・タール系色素を使わない設計とされています。
販売店は全国のロフト・PLAZA(一部店舗を除く)が中心で、今後はバラエティショップやドラッグストア、ECモールにも展開予定です。
ブランド公式アカウント「@suruttoofficial」の投稿も、いいね4,000件超と大きな反応を得ています。
🌞Sadako's モーニング ルーティン🌞
— SURUtto|スルッと (@suruttoofficial) 2026年9月1日
朝のわがまま髪も、するるん。
寝癖で広がった髪をするるん髪にしたものとは…?
貞子さんの新しい一面にもご注目✨
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SURUtto
ヘアトリートメントミスト
本体1,300円/税込1,430円… pic.twitter.com/w6vhBAujvm
この投稿に添付された動画のサムネイル画像を確認したところ、風になびくカーテンごしに部屋の窓辺が写る寝室の一場面で、貞子自身はこの1枚には写っていませんでした。
動画本編で貞子が登場する構成になっているようです。
広がる髪を抑えるにはどうすればいいのか?
今回のCMが扱っている「朝の寝癖」「広がる髪」は、季節や体質を問わず多くの人が抱え続ける悩みです。
実際に「髪の広がりを抑える」という言葉は月間2,400件前後で検索されているとされ、一時的なブームではなく通年の困りごとと考えられます。
一般的なヘアケアの考え方では、髪の広がりは乾燥やダメージによってキューティクル(髪表面のうろこ状の組織)が開き、水分バランスが崩れることが一因とされています。
ドライヤー前のミストやオイルで保湿膜をつくる、乾かす際は上から下に向けて風を当てる、といった基本のケアを積み重ねることが、広がりを抑える近道とされています。
SURUttoのようなミストタイプの商品も、こうした「乾かす前の保湿」というケアの流れに位置づけられる商品です。
Shiritomo編集部の考察:ギャップ設計と“本人アカウント”の使い方
今回の事例で注目したいのは、企業アカウント単独ではなく、キャラクター本人のアカウントから一人称で語らせている点です。
「@sadako3d」が自分の言葉で「助かってます〜」と書くことで、広告色よりも生活者の実感に近い温度感が生まれています。
企業アカウントが同じ内容を発信するより、圧倒的にシェアされやすい構造です。
もうひとつの設計は「恐怖の記号をそのまま裏返す」ギャップの作り方です。
貞子の代名詞である長い黒髪を、ケアすべき対象として扱うことで、キャラクターのイメージを壊さずに新しい文脈を足しています。
自社のキャラクターアカウントやマスコットを持つ企業であれば、そのキャラクターの「代名詞」が何かを棚卸しし、それを否定ではなく別の角度から肯定する切り口を探ることが応用できるはずです。
また、ヘアモデル就任の発表とルーティン投稿を数日ずらして連投した構成も参考になります。
1本の投稿で完結させず、時間差で複数の投稿に触れさせることで、タイムライン上での露出回数を稼ぐ設計です。
単発の告知で終わらせず、キャラクターの「日常」として小分けに発信する手法は、他業種のキャラクターPRにも転用しやすい考え方です。
まとめ
貞子をヘアケアブランドのPRに起用した今回の施策は、ホラーの記号を逆手に取ったギャップ演出と、キャラクター本人アカウントによる一人称の発信が噛み合って拡散したケースといえます。
商品自体はロフト・PLAZAで購入できる価格帯のヘアケアミストとオイルで、9月以降も店頭展開が広がっていく見込みです。