スクエニ、大量のソシャゲ終了で業績回復と拡散も、決算を見れば「ソシャゲも好調やないかい」
「スクエニ、大量のソシャゲを終わらせたことで業績回復した、、らしいですw」。
この投稿は公開から数日で9,000件近い「いいね」を集め、同じ趣旨の投稿がいくつも生まれました。
ちょうど同じ時期、ソシャゲの課金者と無課金者のどちらがゲームを支えているのかという議論も交わされています。
ソシャゲを遊ぶ人にも遊ばない人にも関わる話として、サービスを終えたことが会社を儲けさせたという理屈が決算の数字でも成り立つのか、確かめておく意味はありそうです。
先に結論をまとめると:
– スクエニの2026年3月期(通期)決算は、営業利益547億円で前期比34.9%増。
一方で最終利益(当期純利益)は296億円で前期比21.3%増にとどまっており、最終利益が34%増えたとする数字は営業利益の伸び率と混同されたものとみられます
– 利益をいちばん押し上げたのはソシャゲ終了ではなく、新作が好調だったHDゲーム部門で、営業利益は前期比327%増と跳ね上がっています
– モバイル・ソシャゲ事業も売上こそ27.2%減ったものの、営業利益は64.7%増で、「ソシャゲも好調やないかい」というXの指摘は的外れではありませんでした
スクエニの”ソシャゲ終了”と課金論争が同時にXで広がった
ことの発端は、スクウェア・エニックスが複数のモバイルタイトルのサービスを終えたタイミングと、好調な決算が重なったことでした。
代表的な例が「ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス」と「星のドラゴンクエスト」です。
いずれも2015年にサービスを開始し、2025年10月31日に約10年の歴史に幕を下ろしています。
こうした流れを踏まえ、Xでは次の投稿が大きな反応を呼びました。
スクエニ、大量のソシャゲを終わらせたことで業績回復した、、らしいですw
— GTOK🍷 (@GTOK_mysterious) 2026年10月24日
「らしいですw」という伝聞の形でしたが、91万回以上のインプレッションと9,097件のいいねがつき、同じ論調の投稿が連鎖するきっかけになりました。
これに対し、実際に決算を確認してから反応した投稿もあります。
「スクエニ、大量のソシャゲを切ったことにより業績回復した」みたいなポストを見かけて、気になって直近の業績を見たらソシャゲも好調やないかい。 pic.twitter.com/OSEUNqflyE
— 係長 (@cakari14) 2026年10月25日
投稿者は「ソシャゲも好調やないかい」と、通説への違和感をつづっています。
同じ時期には、課金者と無課金者の関係性をめぐる議論も盛り上がっていました。
無課金プレイヤーが課金者の優越感を支えているという見方もあれば、無課金者に意見する資格はないという主張もあり、立場の異なる投稿が並んでいます。
この論争の中身は後半で紹介するとして、まずはソシャゲ終了が業績回復の決め手だったという理屈が、決算のどこまで裏付けられるのかを調べていきます。
調べて分かったこと
本当に”ソシャゲ終了”で業績が回復したのか?
スクウェア・エニックス・ホールディングスが公表した2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の通期決算によると、売上高は2,976億円で前期比8.3%減ったものの、営業利益は547億円で前期比34.9%増、経常利益は644億円で前期比57.5%増という大幅な増益でした。
一方、親会社株主に帰属する当期純利益(最終利益)は296億円で、前期比21.3%増にとどまっています。
最終利益が34%増えたとする数字は、実際には営業利益の伸び率を指していたとみられ、最終利益そのものとは別の数字でした。
増益の内訳を見ると、最も伸びたのはHDゲーム部門(コンシューマー・PC向けの大型タイトル)です。
営業利益は141億円で、前期(33億円)比327%増という跳ね方をしています。
「ファイナルファンタジー タクティクス – イヴァリース クロニクルズ」や「ドラゴンクエストI&II」「ドラゴンクエストVII リイマジンド」といった新作の販売が堅調だったことに加え、旧作タイトルの売上も前年を上回ったことが要因とされています。
業績回復をいちばん後押ししたのは、ソシャゲをやめたことそのものよりも、据え置き・PC向けの新作がよく売れたことだったようです。
直近の四半期でもこの傾向は続いていて、2026年8月に公表された2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の決算では、営業利益率が21.7%まで上昇しています。
【スクエニ】大量のソシャゲをサービス終了した結果、業績が急回復との報道。今期第1四半期の営業利益率は約22%にまで上昇、来年のFF14白銀がユーザーに期待される
— 馬鳥速報@FF14 (@umadori0726) 2026年10月23日
https://t.co/gzVAq5fWyH : #FF14
投稿にある「営業利益率は約22%」は、この実際の数字とほぼ一致しています。
投稿が触れている「FF14白銀」は、2027年1月発売が決まっている新拡張パッケージ「白銀のワンダラー」のことです。
ソシャゲ事業そのものは不調だったのか?
では、スマートデバイス・PCブラウザ向けのソシャゲ事業は業績回復にまったく貢献していないのでしょうか。
決算資料を見る限り、そう単純でもないようです。
2026年3月期のスマートデバイス・PCブラウザ事業は、売上高552億円(前期比27.2%減)と縮小した一方、営業利益は140億円で前期比64.7%増と、こちらも増益でした。
会社側の説明では「決済手段の多様化及び運営コストの最適化を通じた収益性の改善」が理由とされており、タイトル数を減らしたことだけが理由ではありません。
半年前の中間決算でも、同事業は既存タイトルの弱含みで減収となったものの、「決済手段の多様化による収益性改善により増益」を実現したと、ほぼ同じ説明が繰り返されています。
先ほどの投稿には、決算資料のスライドが添付されていました。
そこには同社が運営中のスマホ・PCブラウザタイトルの一覧があり、2026年3月に「ディシディア デュエル ファイナルファンタジー」、2026年4月には「ドラゴンクエスト スマッシュ&グロウ」がそれぞれ提供を開始したタイトルとして載っています。
大量のタイトルを終える一方で、新作の投入も続けている段階のようです。
つまり、サービスをやめた分だけ経費が浮いて黒字になったという単純な図式ではなく、残ったタイトルの収益性自体が上がっていたことになります。
「ソシャゲも好調やないかい」という指摘は、数字の上ではあながち外れていませんでした。
課金・無課金論争は決算とどう関係しているのか?
X上ではこの決算の話と並行して、課金者と無課金者の関係性をめぐる議論も交わされていました。
もっとも反応を集めたのが、次の投稿です。
いえ、課金勢は普通に偉いです
— note. (@kotoba_iroha) 2026年10月23日
だってソシャゲは課金する人がいないと成り立たないようなものだから
ただ間違えては行けないのは課金勢はそのことを偉ぶってはいけないということです
そしてそれと同じくらい無課金勢は無課金であることを誇らしげには言わない方がいいです https://t.co/REqa2GenGY
「課金勢は普通に偉い」としつつ、「偉ぶってはいけない」「無課金勢は無課金であることを誇らしげには言わない方がいい」と双方に線を引く内容で、約150万回のインプレッションと17,580件のいいねを集めています。
もう少し踏み込んだ意見もありました。
やるのも良い、楽しむのも全然OK
— れっか (@REKKAFate) 2026年10月24日
ただ課金者と課金対してあーだこーだ意見言うのがダメ、無課金に口出す権利無い
どんなに綺麗事言っても無課金者が1億人居ようとサービスは終わる
ソシャゲはボランティアじゃないからね https://t.co/0Cxyq8DJ16
「どんなに綺麗事言っても無課金者が1億人居ようとサービスは終わる」「ソシャゲはボランティアじゃない」という主張で、課金者の存在がサービス継続の前提であることを強調しています。
実際、自分の課金額と引退したタイトルを一覧にして公開する投稿も見られました。
私の課金額&引退ソシャゲまとめ
— みこ@カフカ🌱 (@ruu_ruu1251) 2026年10月24日
アークナイツと鳴潮はもう消しました pic.twitter.com/fIdCoxkRLG
「課金額30万以下のゲームは引退」という基準を掲げつつ、モンストとパズドラはすでに開かなくなった一方、ブルーアーカイブはデイリーのしんどさを理由に「やりたい時だけ開く」形に切り替え、原神には約89万円課金していて「勿体なくて辞めれるか」と揺れる心境をつづっています。
課金・無課金論争そのものは決算と直接結びつく話ではありませんが、ソシャゲは課金で支えられているという前提は、スマートデバイス事業の収益性が実際に改善していたデータとも矛盾しない結論といえそうです。
Shiritomo GAME編集部の考察:決算を読むときに見るべきは利益率より中身
終了させた数だけ業績が良くなるという話は、わかりやすい分シェアされやすい一方、実際の決算は内訳を見ないと誤解を生みます。
今回のケースでは、利益の伸びの主役はHDゲーム部門の新作販売で、ソシャゲ事業自体も縮小しつつ収益性を上げていました。
会社が「大量のソシャゲを切った」ように見えても、同じタイミングで新作スマホタイトルを投入しているように、実態は「撤退」より「入れ替え」に近いといえます。
ゲームビジネスを追う上で有効なのは、売上や利益の総額よりも、部門ごとの伸び率と前年の母数を確認することです。
前年が低調だった部門ほど増加率は大きく見えるため、「○%増」という見出しだけで物事を判断すると、実際の貢献度を見誤りやすくなります。
今後、同じような”サ終で業績回復”型の話がXで広がったときも、どの部門がどれだけ伸びたかをセグメント情報まで遡って確認する癖をつけておくと、ニュースの受け取り方が変わってくるはずです。
まとめ
スクエニが大量のソシャゲを終わらせて業績回復したというXの話は、半分は事実で半分は単純化しすぎでした。
決算を確かめると、利益を押し上げた主役はHDゲームの新作販売で、縮小したはずのソシャゲ事業も収益性自体は上がっています。
「ソシャゲも好調やないかい」という反論は、数字で見てもおおむね正しかったようです。
さらに深掘りしたい方へ
スクエニの決算やサービス終了タイトルについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。