AI規制・政策 読了 6 分

Claude Codeが既存ゲームの再現を禁止するルール追加、巻き込まれたのは正当なボードゲーム移植ツール

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年11月2日 更新
Claude Codeが既存ゲームの再現を禁止するルール追加、巻き込まれたのは正当なボードゲーム移植ツール

自分が持っているボードゲームを、パソコン上で動かすための移植ツールを作っていた開発者がいます。
使っているコードはオリジナルで、配布先もそのボードゲームを買った客だけ。
ところがある日から、Claude Codeが突然この作業を断るようになりました。
拒否の理由は、Anthropicが追加したたった2文のルールです。
AIにコードを書かせて業務を自動化している人にとっても、「頼んでいた作業が、ある日いきなり断られる」変化がどんな形で起きるのかが分かる出来事です。

先に結論をまとめると:
– Anthropicは10月27日前後、Claude Code(Opus 5.5向け)に「既存ゲームの再現を作らない」という2文のルールを追加した
– Steamで横行していたAI製ゲームクローンへの対策で、オリジナル作品やジャンルゲームの制作は引き続き可能
– 合法のボードゲーム移植など無関係のプロジェクトまで誤ってブロックされる例が報告されている

何が起きたのか

このニュースを最初に伝えたのは、ゲーム情報サイトを運営するdenfaminicogameのポストでした。
知的財産権の侵害を防ぐための変更であり、同じジャンルのゲームや自作素材を使ったゲーム制作には今後も利用できる、という内容です。

11月2日朝の時点で39万8千回以上表示され、3,231件のいいねを集めています。
英語圏でも、ルールの発覚から仕組みまでを追った解説ポストが見られました。
ただ、この投稿だけでは「なぜ今このタイミングで」「実際どこまで厳しいのか」までは分かりません。
そこで一次情報を確かめてみました。

調べて分かったこと

なぜ今、このルールが追加されたのか?

海外メディア各社の報道によると、きっかけはSteamに流れ込んだAI製のゲームクローンでした。
開発者たちから、自作ゲームやデモコードを無断で解析・複製されたという訴えが相次いだことを受け、Anthropicが対応に動いた格好です。

Anthropicの技術スタッフであるAddy Osmani氏は、この変更について次のように説明しています。

「Claude CodeのOpus 5.5向けプロンプトに2文を追加し、他者の特定ゲームを再現する方向に進まないよう誘導しました。
Claudeを使った知的財産権の侵害は、当社の利用規約に違反するためです」

実際にどう動くのか?

追加されたルールの原文は「オリジナルのゲーム、ジャンルとしてのゲーム、ユーザー自身のデザイン・素材によるゲームは作ってよい。
名前を変えても『オリジナル』と呼んでも、特定の既存ゲームの再現は作らない」という内容です。
たった2文で、既存ゲームの丸ごとコピーだけを狙い撃ちする設計になっています。

このルールは「tengu_heron_brook」という内部フラグを通じてAnthropicのサーバーから配信されており、ユーザー側でオン・オフを切り替える設定は用意されていません。

Anthropicがこのルールを静かに追加した経緯は、X上の解説ポストでも取り上げられています。
このルールは10月27日前後に現れたとみられる、という内容です。

誤ってブロックされる例はあるのか?

ここが今回いちばん厄介なところです。
ボードゲームのデジタル移植モジュールを手がけるConflict Simulations LLCは、自社プロジェクトについてClaude Codeに「このルールに引っかかるか」と尋ねたところ、それ以降、作業そのものを拒否されるようになったと説明しています。
このプロジェクトはオリジナルコードを使い、完成したモジュールは対応する物理ゲームを持っている客だけに提供する前提でした。
つまり知的財産権の侵害を防ぐはずのルールが、公式の許諾は得ていないものの物理ゲームの購入者限定で提供するという正当な開発まで止めてしまったわけです。

ほかにも、リバースエンジニアリング系の開発フローで同様の拒否が起きたという報告がありますが、今回のルール追加と直接結びつくとまでは確認されていません。

誤ってブロックされたらどうすればいいのか?

Osmani氏はこの問題を認めたうえで、不当に拒否されたプロジェクトがあれば体験を報告してほしいと開発者に呼びかけています。
ルール自体は、無許可の再現と、改造・最適化・保存目的の正当な開発を区別するのが難しいという課題を抱えたまま運用が続いており、Anthropic側も線引きの調整を続ける方針だと述べています。

Shiritomo編集部の考察:ツールの「断る理由」が見えない時代の付き合い方

今回の件で気になるのは、ルールの中身そのものより、ユーザー側に表示も切り替えもできない形でブロックが追加されたという運用のやり方です。
AIコーディングツールを業務で使っている企業や個人にとって、ある日突然「できていたはずの作業」が止まる可能性があるという事実は、App StoreやSNSプラットフォームの規約変更と似た構造を持っています。
違いは、プラットフォーム側が規約を公開していても、AIツールの内部プロンプトは基本的に非公開だということです。
今回のようにユーザーからの報告や海外メディアの取材で初めて仕組みが明らかになるケースは今後も増えそうです。
業務でAIコーディングツールに依存する以上、「断られたら、まず理由を開発元に確認・報告する」という動線を事前に知っておく価値はあるでしょう。

まとめ

AnthropicはClaude Codeに、既存ゲームの再現だけを狙った2文のルールをひっそり追加しました。
Steamを荒らしたAIクローン対策としては理解できる一方、正当な開発まで巻き込む誤判定が起きている以上、しばらくは運用の調整が続きそうです。

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