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住友商事が全社員のAIスキルを6段階で等級化——人事配置に活かす「Dグレード」制度の全貌

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年5月27日 更新
住友商事が全社員のAIスキルを6段階で等級化——人事配置に活かす「Dグレード」制度の全貌

あなたの職場で、「あの人、実はAIが得意らしい」という話が出たことはありませんか?

でも、それが評価や配置に反映されていないとしたら、どれだけの機会が埋もれているでしょう。
住友商事が今年8月からスタートする「Dグレード(デジタル・AIスキル等級)」制度は、まさにその問いに真正面から向き合った取り組みです。
約5000人の全社員を対象に、AIとDXのスキルを6段階で可視化し、それを人事配置の判断材料にするというものです。

「資格をとっていてもなかなか評価されない」という社員の声はよく耳にします。
ところが住友商事はその逆を行く。
スキルを見える化して、適材適所の実現に直接つなげる、という方針です。

「Dグレード」の仕組み——30以上の資格と業務実績を点数化

制度の骨格はシンプルです。
ITパスポートをはじめとする30以上の資格に点数を割り振り、研修の受講履歴や実際の業務実績も加味した合計スコアで6段階の等級を決める仕組みです。

評価結果は社内イントラネット上で確認できるようにする予定で、上位グレードに認定された社員が埋もれることなく活躍できる環境を整えるねらいがあります。

注目すべきは、この制度が「スキル評価のための評価」で終わらない点です。
等級は人事配置の実際の判断材料として使われる。
つまり、AIが得意な社員が、AI活用が求められるポジションに配置されやすくなる仕組みです。

Copilot全社導入と中期計画——「デジタルで稼ぐ」への本気度

この動きは、住友商事のここ数年のデジタル戦略の延長線上にあります。

同社は2024年4月に海外グループ会社を含む約9000人に「Microsoft 365 Copilot」を一斉導入。
2026年2月時点で月間アクティブユーザーは約90%に達し、コスト削減効果は年間約12億円に上ると公表しています。
「使わない人にこそ使ってもらう」というトップの強いメッセージのもと、全社的な定着化を進めてきました。

中期経営計画では「デジタルで稼ぐ」を掲げ、生成AIを競争優位の源泉と位置づけています。
Dグレード制度はその人材戦略の核心であり、ツールの導入だけでなく、それを使いこなせる人材の可視化と育成にまで踏み込んだ施策といえます。

日経電子版がこのニュースをXで報じると、1000件以上のいいねを集めました。

人材開発を専門とする立教大学の中原淳教授もこのニュースを共有しており、企業人事やHR領域での関心の高さが見て取れます。

Xの声——「適材適所の加速」と「AIカースト」、二つの視点

Xでの反応は好意的なものが多い一方、懸念の声も上がっています。

「意外な人材が高いAIスキルを持っていることもある。
スキルを可視化した上で人とのマッチングを促すことで、組織のAI適応力が中長期で高まる」といった前向きな評価がある一方、「Dグレードで格差が生まれる」「資格の有無だけで評価されるのは公平ではない」という疑問も聞かれます。

ここで一つ、私の見方をお伝えします。
スキルの可視化は、「評価する側のためのツール」ではなく、「評価される側のためのツール」になって初めて機能すると思っています。
社員が「この資格を取ればこのポジションに近づける」と感じられるような透明性と、評価後のキャリア支援がセットでなければ、制度は形骸化しかねません。

商社という業種は、特定の部署や業務に長けた社員が社内で埋もれやすい構造を持っています。
その意味でDグレードが「社内人材マーケット」として機能するなら、組織の底上げにつながる可能性は十分あります。

他商社の動きとの比較——業界全体に広がるAI人材戦略

この動きは住友商事だけのものではありません。
三菱商事はすでに昇進の要件にAI関連資格を組み込んでいます。
大手商社が相次いでAIスキルを人事制度に組み込み始めており、業界全体での人材競争が加速しつつあります。

「資格を取るだけ」から「資格が人事に直結する」時代に変わりつつある。
その流れの中で、住友商事のDグレードは制度設計の具体性という点で一歩踏み込んでいます。
30以上の資格を点数化し、業務実績も加味する体系は、抽象的なスキル評価よりも運用しやすい設計です。

まとめ

住友商事が8月に始めるDグレード制度は、AIスキルを「なんとなく評価する」のではなく、資格・研修・業務実績という定量的な指標で6段階に格付けし、人事配置に直結させる仕組みです。
Copilot全社導入で培ったデジタル活用の土台の上に、「誰が使いこなせるか」を明確にする人材戦略が重なることで、同社の「デジタルで稼ぐ」という方針が具体性を帯びてきます。
AIスキルが「見える」時代に、社員個人がどう向き合うかが問われています。