Google I/Oで突然の幕引き——Gemini CLIが6月18日に終了、Antigravity CLIへ強制移行へ
突然ですが、あなたは毎日使っているツールが「30日後に終了します」と告知されたら、どう感じますか。
先日のGoogle I/O 2026で、その通知が世界中の開発者に届きました。
ターミナルからAIエージェントを操作できるツール「Gemini CLI」が、2026年6月18日をもって一般向けサービスを終了すると発表されたのです。
後継として用意されているのは、DeepMindのAntigravityプラットフォームを基盤とした「Antigravity CLI」。
移行期間は、発表からわずか30日という短さです。
なぜGemini CLIは終わるのか
Googleが示した理由はシンプルです。
「ユーザーのニーズが変わった」というものです。
Gemini CLIが登場した当初のコンセプトは、「ターミナルをAIエージェントの優れたインターフェースとして実証する」ことでした。
1つのエージェントがユーザーのプロンプトに応答する、というシンプルな設計です。
しかし今、開発者が求めているのはそれだけではありません。
複数のエージェントが互いに通信しながら、並行して複雑な問題を解決していくという、より高度なワークフローへの需要が急速に高まっています。
Googleはこの変化に応えるため、ツールを一本化する判断を下しました。
Antigravity CLI、デスクトップアプリ、SDK、Managed Agents APIを「Antigravity 2.0」として統合し、リソースを集中させる方針です。
Antigravity CLIとは何が違うのか
Antigravity CLIの最大の特徴は、Go言語で書き直されている点です。
前身のGemini CLIと比べてレスポンスが速く、非同期実行をサポートしているため、複数のエージェントがバックグラウンドで並行動作していても、ターミナルセッションがロックされません。
機能面では、Gemini CLIで使われていたAgent Skills、Hooks、Subagents、Extensionsは「Antigravity プラグイン」という形で引き継がれます。
既存のコード生成やクラウドインフラ構築のワークフローは、移行後も継続できる見通しです。
インストールは公式サイト(antigravity.google/download)からダウンロードするだけで、移行ガイド(antigravity.google/docs/gcli-migration)ではカスタマイズ設定の引き継ぎ手順も案内されています。

Google I/Oのステージでは、Google DeepMindのKoray Kavukcuoglu CTOが「AntigravityはAIエージェントのチームを開発・管理するプラットフォームへと進化させる」と語り、単なるCLIツールを超えた位置づけを強調しました。
開発者コミュニティの反応は「歓迎」と「失望」に割れた
発表翌日、GitHubの公式移行スレッドには143件の「thumbs down」と4件の「cheers」が並びました。
数字が雄弁に語っています。
批判の中心は2点です。
1点目はオープンソースからクローズドソースへの転換。
Gemini CLIはApache 2.0ライセンスで公開され、GitHubには10万以上のスターと6,000件を超えるプルリクエストが集まっていました。
ボランティアの開発者たちが継続的にコントリビュートしてきたプロジェクトです。
しかしAntigravity CLIはクローズドソースとして登場しました。
「オープンソースはギフトではない。
契約だ。
Googleはそれを破った」
X(旧Twitter)上でこう投稿したエンジニアのChristian Taylorのコメントは、多くの開発者から共感を集めました。
Open source is not a gift. It is a contract. Google just broke it.
— Christian Taylor (@DeOpenSourceGuy) 2026年5月21日
This week at Google I/O, Google announced that Gemini CLI, its open source AI coding assistant, will stop working on June 18. That is 30 days from announcement to shutdown. The replacement is Antigravity CLI:…
同様の反応はほかの開発者からも相次いだ。
「agy(Antigravity CLI)はオープンソースではなく、ACPのサポートもなくなった。
本当に残念な方向転換だ」と指摘するエンジニアの投稿も注目を集めた。

So google is replacing gemini-cli with agy (antigravity cli), but:
— eric provencher (@pvncher) 2026年5月19日
1. agy is not opensource
2. It no longer supports ACP
Really unfortunate development
2点目は移行期間の短さとレート制限。
30日という猶予期間は、社内ツールを作り込んできたチームにとっては厳しすぎます。
加えて、Antigravity CLIの無料プランでは1週間のクォータが数回のやり取りで上限に達するという報告も相次いでいます。
「発表から終了まで30日。
コントリビューターへの敬意はどこへ行った」という声は、GitHubのコメント欄で最も高い評価を受けました。
一方で、「Go製で速い」「マルチエージェントの設計は正しい方向」「移行ガイドは丁寧」と前向きに受け止めるエンジニアも存在します。
AntigravityがGemini CLIと同じAPIキー体系を継承している点や、既存プラグインの互換性についての評価は高い傾向にあります。
また、この移行を機にClaude CodeやCodex CLIなどの代替ツールへの移行を検討し始めた開発者も一定数いるようです。
誰が影響を受け、誰は影響を受けないのか
6月18日のサービス終了が対象となるのは、Google AI ProおよびUltraプランのユーザー、個人向けGemini Code Assist無料ユーザー、そしてGemini Code Assist for GitHubユーザーです。
一方、Gemini Code Assist StandardおよびEnterpriseライセンス契約を結んでいる組織と、有料APIキー経由でアクセスしているユーザーはサービスを継続利用できます。
エンタープライズ向けのサポートは引き続き維持されるということです。
つまり、最も影響を受けるのは「無料で便利に使っていた個人開発者」「AI Proで使い込んでいたフリーランス」という層です。
まとめ
Gemini CLIの終了は、Googleにとって「AIエージェント時代へのプラットフォーム集約」という戦略的な決断です。
Antigravity CLIはGo製・非同期・マルチエージェント対応と、技術的には正しい進化をしています。
しかしオープンソースコミュニティの貢献を土台にしながら、後継をクローズドソースで提供するという判断は、多くの開発者との間に大きな溝を生みました。
6月18日まで残り3週間。
移行を検討している方は、公式ガイドを早めに確認しておくことをおすすめします。