総務省がSNSの年齢確認厳格化を提言——年内の法改正で、マーケターのターゲティング戦略も変わる?
子どもたちのSNS利用について、国が本格的に動き始めたと感じませんか。
先日、総務省の有識者会議が報告書案を公表しました。
Instagram・TikTokなどの大手SNS事業者に対して、「自己申告だけでは不十分」として年齢確認の厳格化を求める内容です。
SNSマーケターにとっても、ターゲティング(広告を届ける対象を絞り込む設定)戦略や広告配信に直結する話ですので、ざっくりと整理しました。
報告書案の三つの柱——「禁止」ではなく「仕組み作り」
今回の報告書案で特徴的なのは、オーストラリアのような「16歳未満は一律禁止」という方向性を見送ったことです。
総務省は「SNSは子どもたちのコミュニケーション手段や自己表現の場になっており、サービスごとにリスクも異なる」として、単純な年齢制限ではなく、以下の三つのアプローチを提言しています。
① 年齢確認の厳格化
現在、多くのSNSでは生年月日の自己申告のみで登録が完了します。
これに対して報告書案は、携帯電話事業者(ドコモ・au・ソフトバンクなど)が持つ年齢データを活用した本人確認の仕組みを提言しています。
マイナンバーカードとの連携も選択肢として検討されています。
② 事業者によるリスク評価と保護機能の初期オン
プラットフォームごとに未成年者へのリスクを評価し、保護機能(スクリーンタイム管理・不適切コンテンツフィルターなど)をデフォルトでオンにすることを義務化する方向です。
現在は「設定しようと思えばできる」状態ですが、「何もしなくても保護される」状態へシフトさせる意図があります。
③ 外部検証の義務化
各事業者が実施する保護対策が実効性を持つかどうか、第三者機関による検証を義務づける方針です。
自社の「やっています」宣言だけでは認められなくなる可能性があります。

なぜ今なのか——G7でも動き出した国際連携
今回の動きは国内だけのことではありません。
5月末に開催されたG7デジタル相会合でも、青少年のSNS依存や被害から守るための「7原則」が合意されました。
年齢確認と保護者による管理の強化が共通原則として掲げられており、総務省の今回の報告書はその流れに沿ったものです。
読売新聞もこの報告書案を取り上げ、「厳格化を検討すべき」という表現で報じています。
子どものSNS年齢確認「厳格化を検討すべき」、一律の年齢制限導入は見送りの公算…総務省の有識者会議https://t.co/9rzgW94dOj#ニュース
— 読売新聞オンライン (@Yomiuri_Online) 2026年6月2日
この投稿では、一律年齢制限の導入は見送りの公算が大きい一方で、事業者への年齢確認厳格化は着実に進む方向性が示されています。
投資・運用視点からこの動きを分析したアカウントも、「単なる子ども保護の話で終わらない。
年齢確認の担い手が変わる」と指摘しており、SNS事業者の運用コスト増加や規制対応のコスト変化を見据えたコメントを発しています。
📋 子どものSNS、年齢確認の担い手が変わる
総務省の有識者会議が6月2日、子どものSNS利用に関する報告書案を取りまとめた。
私はこれ、単なる「子ども保護」の話で終わらないと思っている。焦点は、年齢確認の責任が自己申告からプラットフォームと通信インフラ側へ移っていくこと。… pic.twitter.com/UV3Bp1WbvI— 志保🌱テクノロジー × 投資の構造分析 (@shiho_investor) 2026年6月2日
SNSマーケターへの実務的な影響
これ、SNS広告を運用している立場から見ると、他人事ではありません。
ターゲティング精度への影響
現在、InstagramやTikTokでは13〜17歳の未成年者層への広告配信が可能です。
仮に年齢確認が厳格化されれば、自己申告で年齢を偽っていたユーザーが排除され、年齢別のリーチ数(投稿や広告が届いた人数)や人口構成が変化する可能性があります。
特に10代向けのキャンペーンを展開しているブランドは影響を受けるかもしれません。
未成年者へのターゲティング制限の強化
すでにGoogleやMetaは一部国・地域で未成年者への広告ターゲティングを制限する動きを進めています。
日本での法整備が進めば、国内でも同様の仕組みが導入されるでしょう。
「若年層リーチ」を軸にしていたアカウント設計の見直しが求められるかもしれません。
プラットフォーム側の対応コスト増加
年齢確認の仕組みを整備するためには、SNS事業者側にシステム開発コストが発生します。
これが間接的に広告単価や機能の提供形態に影響する可能性もゼロではありません。
とはいえ、法改正が実際に施行されるのはまだ先です。
報告書案をもとに総務省が夏にも正式な報告書をまとめ、こども家庭庁などと連携しながら年内に法改正の方向性を示す見通しです。
さらに深掘りしたい方へ
一次情報として以下も参考にしてみてください。
まとめ
総務省が2026年内に法改正を含む対応策を提示する見通しで、SNS事業者への年齢確認義務化が現実味を帯びてきました。
一律禁止ではなく「仕組みの厳格化」という方向性は、運用実務に直結する変化です。
SNS運用担当者として、今のうちからターゲティング設計や年齢層別の戦略を点検しておく価値はありそうです。


