「中立なはずのAI」が実は左寄りだった——ワシントン・ポストが明かした各社AIの政治スコア
AIに政治的な質問をすると、本当に「中立」な答えが返ってくるのでしょうか。
米有力紙ワシントン・ポストが2026年6月24日、主要AIチャットボットを実際にテストした調査を公開しました。
その結果がなかなか衝撃的で、ChatGPTは回答の80%が左寄り一辺倒だったというのです。
このニュースを見て「そうなんだ……」と思わずつぶやいてしまいました。
普段「中立的に教えて」と頼んでいるAIが、実は傾いているかもしれない。
そう気づくと、これまでの使い方を少し見直したくなります。
ワシントン・ポストはどうやって調べたのか
調査は、2025年にスタンフォード大学とダートマス大学の研究チームが設計した政治的質問集を使いました。
各AIモデルに対して議論のある政治問題を30語以内で回答させ、人間のスコアラーが「左寄り」「右寄り」「両論併記」の3パターンに分類します。
テスト対象はOpenAIのGPT-5.5、GoogleのGemini 3.1 Pro、AnthropicのClaude Opus 4.8、xAIのGrok 4.3、さらに保守系SNS「Gab」が開発したAI「Arya」など。
「中立を謳う大手からイデオロギー主導の新興まで」を横断した調査で、各社のモデルを同じ条件で並べたことに意味があります。
ChatGPTは80%、Grokも40%が左寄り
結果をまとめると次のようになっています。

- ChatGPT(GPT-5.5): 左寄り80% / 両論17% / 右寄りほぼ0%
- Claude(Opus 4.8): 左寄り43% / 両論57% / 右寄り0%
- Grok 4.3: 左寄り40% / 両論27% / 右寄り33%
- Gemini 3.1 Pro: 左寄りごくわずか / 両論93%超 / 右寄りごくわずか
- Arya(Gab): 左寄りが右寄りの12倍以上
最も驚いたのはGrokです。
イーロン・マスク氏が「反ウォーク(反過激左派)」を掲げて立ち上げたxAIのAIが、実は左寄りが40%と右寄り33%を上回っていました。
「保守的価値観で作った」と宣言するGabのAryaに至っては、左寄りが右寄りの12倍以上という皮肉な結果です。
各社が「中立」を強調する一方、テストは異なる現実を浮かび上がらせました。
逆に最もバランスが良かったのはGeminiで、93%以上が両論を提示。
ChatGPTとの対照が際立っています。
Xでは「テレビが報じない重要ニュース」として広まった
この調査はX上でも大きな反響を呼びました。
「チャッピー(ChatGPT)を含む主要AIはすべて左寄りだった」という整理が注目を集め、AIと政治の関係についての議論が続いています。
調査結果の要旨をまとめた投稿が2,600件超のいいねを集めました。
チャッピー含むAIは、すべて「左寄り」だった
— TotalNewsWorld (@turningpointjpn) 2026年6月27日
「中立」を掲げるAIが、実は左に傾いていた。→ChatGPTは80%、Geminiは90%超が左寄り。
→Claudeは両論併記57%でClaudeは57%で両論併記したが、残りの43%は左寄りの回答だった。
→保守層に人気のGrokでさえ、左寄りの回答が右寄りより多かった。… pic.twitter.com/KmTgUQgq1l
「なぜテレビは報じないんだ」という憤りの声も、1,300件超のいいねを集めています。

研究で、ChatGPTは中立ではなく左翼だったと判明した。
— とある救急隊の憂鬱 (@ma4bqEimrCgICrN) 2026年6月27日
非常に重要で危険な大ニュースだが、なぜテレビは報じないんだ?
こんなものをあちこちで使ってるんだぞ? https://t.co/BjAI0524nk
なぜAIは「左寄り」になってしまうのか
主な原因は学習データの偏りと言われています。
インターネット上の文章は大手メディアや学術系コンテンツが多く、これらは一般的に左寄りとされる傾向があります。
さらに、AIの開発チームは技術系出身者が多く、その価値観が強化学習(RLHF)を通じてモデルに反映される可能性もあると専門家は指摘します。
ただし、調査手法への批判も存在します。
「政治的に穏当な言い方」そのものが左寄りに見えやすい表現を使っているだけで、中立を目指した結果が「左寄り」と分類されているだけかもしれない、という意見です。
方法論の主観性は避けられない課題で、この調査だけで結論を出すのは難しいでしょう。
重要なのは、「AIは中立」という前提が揺らいだという事実です。
AIに情報収集や文章生成を任せる機会が増えるほど、そのモデルの傾向が静かに影響を与え続ける可能性があります。
さらに深掘りしたい方へ
- ワシントン・ポスト原文「Are AI chatbots like ChatGPT politically biased?」
- GIGAZINE: OpenAIやGoogleなどのAIは政治的に左派寄りの回答をしやすいとの研究結果
- Fox News: AI chatbots show left-leaning bias in study of ChatGPT, Gemini, Claude
SocialReport編集部の考察
SNSマーケティングの現場から見ると、このニュースは「AIコンテンツ生成ツールの選び方」を見直す重要な契機です。
企業が商品説明、SNS投稿文、レポートの下書き生成にAIを使う場合、政治的中立性が前提となりますが、今回の調査はその前提が崩れる可能性を示しています。
特に注目したいのはGeminiの優秀さです。
93%以上で両論を提示したGemini 3.1 Proは、政治的にセンシティブなコンテンツの生成において最も安全な選択肢かもしれません。
政治・社会問題に触れるコンテンツを扱う企業のSNS担当者は、少なくとも「どのモデルを選ぶか」を意識することが求められる時代になってきたと感じます。
また、一つのAIに依存せず複数モデルを比較する運用も有効です。
ChatGPTとGeminiで同じ問いを出し比べれば、意図しない偏りを補正しやすくなります。
AIを使う頻度が高いほど、その「傾き」がコンテンツに蓄積されていく——SocialReportのような分析ツールで投稿反応を定点観測しながら、AIの偏りに気づく仕組みを持つことが、これからの標準的な運用になっていくかもしれません。
まとめ
ワシントン・ポストの調査が示したのは、「AIは中立」という思い込みへの疑問符でした。
ChatGPTは80%が左寄り、「反ウォーク」を掲げるGrokでさえ40%が左寄り。
唯一の優等生はGeminiで、93%超が両論を提示しました。
AIに何かを頼むとき、そのモデルの「傾き」を頭の片隅に置いておく——それが情報リテラシーの新しい一歩になりそうです。