発売1時間前の延期と訴訟を越えて、Steam同接2万3000人『ドラゴンソード:アウェイクニング』
発売1時間前になって、Steamの配信ボタンが押されないまま時間だけが過ぎていきました。
理由が明かされないまま、ファンの間には戸惑いが広がります。
それからわずか数日後、この作品は同時接続2万3000人を突破し、Steamレビューは「非常に好評」の評価を獲得しました。
土壇場の延期の裏には、開発元と旧パブリッシャーの訴訟という、プロジェクトの存続を揺るがす事情があったのです。
なぜここまで支持を集めたのか、買い切り型という選択がプレイヤーに何をもたらすのかを、一次情報を辿りながら整理してみました。
先に結論をまとめると:
– 『ドラゴンソード:アウェイクニング』は発売1時間前の延期を経て7月23日にSteam配信、ピーク同時接続は2万3000人超に達した
– 背景には旧パブリッシャーWebzenとの訴訟があり、裁判所が開発元Hound13の契約解除を有効と認めたことで配信にこぎつけた
– ガチャなしの買い切り型(3,400円)で19人の英雄キャラを課金なしで入手でき、ローンチ記念DLCも8月31日まで無料配布中
Steamで何が起きているのか
韓国のスタジオHound13が手がけるアニメ調オープンワールドRPG『ドラゴンソード:アウェイクニング』は、7月23日にSteamで配信を開始しました。
Unreal Engine 5で描かれる世界を舞台に、19人の英雄キャラクターから3人を選んでパーティを組み、状態異常やコンボを重ねながら戦うアクションが持ち味です。
配信直後からプレイヤー数は伸び続け、報道時点でピーク同時接続は2万3000人超、現在も1万8000人以上がプレイ中と伝えられています。

盛り上がりを裏付けるように、Xでも数字そのものが話題になっていました。
アニメ調のオープンワールドアクションRPG『ドラゴンソード:アウェイクニング』がSteamにて好調な滑り出しhttps://t.co/hS7T8rGj1X
— 電ファミニコゲーマー (@denfaminicogame) 2026年7月27日
7月23日にリリースされ、ピーク同時接続2万3000人・レビュー3700件超の「非常に好評」。固有の“状態異常能力”を持つ19人の英雄をスタイリッシュに切り替えながら戦う pic.twitter.com/egi1pITL0j
ただ、この数字だけでは「新作RPGがヒットした」という以上の話には見えません。
実はこのタイトル、配信予定日当日に一度延期が発表され、その裏には開発元の存続を左右しかねない裁判沙汰があったのです。
経緯を知ると、この数字の重みが変わってきます。
なぜ発売直前まで消える寸前だったのか?
元になった『ドラゴンソード』は、2026年1月に韓国でサービス開始したガチャ運営型のタイトルでした。
ところがHound13は、パブリッシャーのWebzenから契約上の最低保証額(約30億ウォン規模)が支払われていないとして、2月に契約解除を通告します。
Webzenは解除の要件を満たしていないと主張し、Hound13が無許可でSteam版を独自配信しようとしているとして、裁判所に配信差し止めの仮処分を申し立てました。
この訴訟のさなか、発売1時間前にリリースが延期される一幕もありました。
【ニュース】アニメ調オープンワールドRPG『ドラゴンソード:アウェイクニング』、「発売1時間前」に急遽リリース延期。真っ先に“リリースしたさ”が先走りhttps://t.co/9JTVbeD54t pic.twitter.com/Tra2M9aE0H
— AUTOMATON(オートマトン) (@AUTOMATONJapan) 2026年7月23日
ソウル中央地方法院は7月22日、Webzen側の仮処分申請を却下し、Hound13による契約解除は有効と判断しました。
翻訳データの無断使用も証拠不十分とされ、配信の障害は取り除かれます。
ただし契約の有効性そのものを争う本訴訟は継続中で、Webzen側は控訴の方針とされています。
「配信を止める理由がなくなった」段階だと理解しておくのが正確でしょう。
開発陣はどう乗り越えて配信にこぎつけたのか?
配信前日に公開されたインタビューでは、開発陣が「ゲームが消えてしまうより、買い切り作品として残したかった」と語っています。
ガチャ運営の継続が難しい状況で、プロジェクトを畳むのではなく課金体系ごと作り直す道を選んだことがうかがえます。
ゲームが消えるより、買い切り作品として残したかった―困難を乗り越えてリリースへ。美男美女が揃うアニメ調オープンワールドRPG『ドラゴンソード:アウェイクニング』【開発者インタビュー】
— ⚡Game*Spark⚡ (@gamespark) 2026年7月22日
プロジェクトの存続を揺るがす困難、戦闘やオープンワールドの設計、発売後の展開について話を訊きました。… pic.twitter.com/E0k8MXTM4v
この判断は功を奏したようです。
ガチャなしの買い切り型に作り直したことで、レビューでは「見た目は基本無料系なのに買い切りでガチャがない」という点そのものが好意的に受け止められています。
存続を賭けた再構築が、配信後の評判を押し上げる要素になったと言えそうです。
買い切り型はプレイヤーに何をもたらすのか?
本作は3,400円の買い切り型で、日本語字幕にも対応しています。
19人いる英雄キャラクターは、ストーリー進行やゲーム内通貨で全員入手できる設計で、ガチャで課金しなければ強いキャラが手に入らないという従来型サービスの不満点を最初から取り除いています。
追加課金はコスチュームや限定ファミリア(相棒として連れて歩ける生物)のDLCに限られ、進行に直結する部分は課金なしで完結する作りです。
ローンチを記念したファミリアDLC「深淵のダイアウルフ」は、8月31日まで無料配布されています。
もともと約1000円相当とされる有料コンテンツを期間限定で開放する形で、新規プレイヤーの参入ハードルを下げる狙いがあるようです。
Shiritomo GAME編集部の考察:訴訟を経た買い切り化が支持を集める理由
今回興味深いのは、法廷闘争という後ろ向きな出来事が、結果的に「ガチャなし買い切り」という前向きな作り直しにつながった点です。
中韓の中小スタジオにとって、パブリッシャー依存のガチャ運営は資金調達の手段である一方、契約トラブル一つでプロジェクトごと消えるリスクも抱えています。
Hound13のケースは、そのリスクが顕在化した末に自社配信・買い切り型へ舵を切った事例として見ることができます。
プレイヤー側から見れば、運営の継続性に左右されないパッケージ型の安心感が評価されやすく、ガチャ疲れが指摘される市場環境とも噛み合ったのではないでしょうか。
同様の事情を抱える他スタジオが追随するかどうかも注目したいところです。
まとめ
『ドラゴンソード:アウェイクニング』の同接2万3000人という数字は、単なるヒット作の指標ではなく、訴訟で消えかけたプロジェクトを買い切り型として作り直した末の結果でした。
ガチャなしの設計とローンチDLCの無料配布が、危機を乗り越えた作品への追い風になっているようです。