「味の素が目の前で滑り散らかしてるのにね」――ガストのAIシール投稿はなぜ標的になったのか
「\#あったらいいな!/ガストのメニューをシールにしたらこんな感じでしょうか」。
2026年8月17日午前10時過ぎ、ガスト公式Xがそう添えて投稿した1枚の画像は、1日足らずで350万回以上表示されました。
数字だけ見れば好調な投稿です。
ただし、いいねの下に並ぶ引用ポストの多くは称賛ではありませんでした。
企業の公式アカウントがAI画像を気軽に投稿する場面は、これからも増えていきます。
今回の一件は、その投稿を出す前に何を確認すべきかを考えるヒントになりそうです。
先に結論をまとめると:
– ガスト公式が投稿した「メニューがシールになったら」という画像に、絵の崩れやマスコット「ひばりちゃん」の造形への指摘が相次ぎました
– 投稿の1日前に味の素公式が生成AI画像の文字化け(HONDASHI→MONDASHI)を謝罪したばかりで、批判はその文脈の中で広がりました
– AI画像そのものの精度より、「実写風の完成品パッケージ」として提示したことが違和感を増幅させた可能性があります

「メニューがシールになったら」に何が起きたのか
問題の投稿は、ステーキやパスタ、パフェなどガストの人気メニューを可愛いシールに見立て、実際の食玩(駄菓子屋などで売られるおまけ付き菓子)のような赤いパッケージに収めて撮影したかのような1枚の画像でした。
文末には「※実際には販売しておりません。」と注記があり、あくまで「こんな商品があったら」という架空のイメージだと分かるようになっています。
投稿そのものはこちらです。
\#あったらいいな!/
— ガスト【公式】 (@gusto_official) 2026年8月17日
ガストのメニューをシールにしたら
こんな感じでしょうか🤭✨
どれも可愛いから
交換の時に迷っちゃいますね!
みなさんはどのメニューがシールになったら嬉しいですか😆??
※実際には販売しておりません。 pic.twitter.com/yrJqLNQD9B
実際にこの画像を確認すると、パッケージ右下に描かれたガストの公式マスコット「ひばりちゃん」が、赤とオレンジの不定形な塊のような姿で描かれていました。
すかいらーくグループの「ひばり」は、社名「Skylark(すかいらーく)」を日本語に訳した鳥のキャラクターだと知られています。
それを知っている読者ほど、羽なのかヒレなのか判別しづらい今回の造形に違和感を覚えたようです。
もちもち系のパスタらしき皿も、麺が不自然に伸びて絡み合い、具材の輪郭がぼやけた状態で描かれていました。
ただ、この画像単体だけを見れば「AIっぽい違和感がある画像」の一つに過ぎません。
批判がここまで広がった背景には、もう一つの出来事が関係していました。
味の素の失敗と、どうつながっているのか
ガストの投稿の前日にあたる8月16日、味の素が運営する公式メディア「味の素パーク」のX投稿が話題になっていました。
めんつゆの代用レシピを紹介する画像で、商品「ほんだし」のパッケージ表記が生成AIによる加工でおかしくなっていたのです。
【指摘相次ぐ】生成AIで写真を明るくするはずが「HONDASHI」→「MONDASHI」に、味の素が謝罪https://t.co/Gfufz8x5oq
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2026年8月17日
画像に写った商品の文字に違和感があるとの指摘が相次いでいた。味の素は加工前の画像を掲載。AIで明るさや背景の変更を行った結果、文字やラベルが崩れてしまったと謝罪した。 pic.twitter.com/fOyJhdCTnA
J-CASTニュースの報道によると、味の素パークは8月14日に投稿した画像について、実写写真の明るさや背景をAIで変更した結果、パッケージの文字が想定外に崩れてしまったと説明しています。
「HONDASHI」の表記が「MONDASHI」になっていたことが指摘され、味の素は8月16日に謝罪しました(出典)。
大手食品メーカーが生成AI活用の失敗を公に謝罪した、まさにその翌日に、別の大手外食チェーンが似た手法のAI画像を投稿した、という時系列の一致が、今回の批判を強めた大きな要因だと見られます。
批判の声はどんな内容だったのか
X上の反応で目立ったのは、「味の素の直後になぜ」という趣旨の指摘です。
散々飲食店のAIメニューが気持ち悪がられてる今、こんなグチャグチャなAI画像をチェーン店が投稿するなはどうなの?
— アータゴングル (@artagongulgul) 2026年8月17日
味の素が目の前で滑り散らかしてるのにね… https://t.co/Pz7lvN8wEc pic.twitter.com/MP52Xdgk2d
このポストは「散々飲食店のAIメニューが気持ち悪がられてる今、こんなグチャグチャなAI画像をチェーン店が投稿するな」という内容で、1200件を超えるいいねが付いていました。
飲食業界では以前からAI生成のメニュー写真が「実物と違う」「気味が悪い」と敬遠される傾向があり、今回の件はその蓄積した不満に、味の素の一件が重なったタイミングで噴き出した形といえそうです。
Shiritomo編集部の考察:明日からやることは2つ
今回の件で見落とせないのは、ガストの画像が「イラスト」ではなく「実写風の完成品パッケージ写真」として作られていた点です。
手描き風のイラストであれば多少の崩れは「味」として受け止められますが、実物の食玩のように陰影やパッケージの質感まで作り込むと、見る側の期待値は「本物の写真」に引き上げられます。
期待値が上がった分だけ、細部のわずかな破綻が目立つという構図です。
SNS運用の現場に落とし込むと、やるべきことは大きく2つです。
1つ目は、写実的な仕上げでAI画像を作る場合ほど細部(文字・ロゴ・キャラクターの造形)を人の目で拡大確認する工程を挟むこと。
2つ目は、同業種・関連業種で直近に起きた炎上事例を投稿前にチェックする習慣を持つことです。
味の素の一件は投稿のわずか1日前に大きく報道されており、社内のSNS運用チームがその情報を共有できていれば、投稿のタイミングをずらす判断もできたはずです。
技術的な精度の話だけでなく、「今この空気の中で出していいか」という運用面の判断が問われた事例だといえます。
まとめ
ガストのAIシール画像への批判は、単体の失敗というより、味の素の一件で高まった「企業とAI画像」への視線の厳しさが、翌日の投稿にそのまま向けられた結果でした。
生成AI画像を公式アカウントで使うなら、精度の確認とタイミングの見極めは、これまで以上にセットで求められそうです。
さらに深掘りしたい方へ
味の素の謝罪の経緯はJ-CASTニュースの記事に詳しくまとまっています。
すかいらーくグループのマスコット「ひばり」の由来については、Toreru Mediaの解説記事で商標の観点から紹介されています。
