AIの進化を測るものさし——ウィル・スミスのスパゲッティ動画が110万いいねを集めた理由
「2023年はこんなにひどかったのか」と思わず声が出てしまいました。
2026年5月、Xにある動画が投稿されました。
ウィル・スミスがスパゲッティを食べる場面を、2023年・2024年・2025年・2026年のAI動画生成技術でそれぞれ再現し、並べて比較したものです。
投稿したのはスペイン語ユーザーのSONIA氏。
この動画は1日で110万いいねを集め、「AIの進化を最もわかりやすく示す映像」として世界中で拡散されました。

「ウィル・スミス・スパゲッティテスト」という指標が生まれるまで
そもそもの始まりは2023年3月。
RedditユーザーがAI動画生成モデル「ModelScope」でウィル・スミスにパスタを食べさせる動画を投稿しました。
指が6本になったり、顔が歪んだり、麺が謎の動きをしたり——当時のAI動画はカオスの塊でした。
その「あまりに崩壊した映像」がかえって話題を呼び、ユーモアと驚きを同時に感じさせるコンテンツとして広まっていきました。
そして2024年。
ウィル・スミス本人が公式にパロディ動画を投稿します。
「AIが自分にパスタを食べさせている」という事実を本人がネタにするというユニークな展開で、これが再びバイラルとなりました。
本人がAIの進化に乗っかる形で話題をつないだのは、象徴的な出来事だったと思います。
3年でここまで変わった——2026年版の衝撃
SONIA氏の動画で多くの人が息をのんだのは、2026年版のクオリティです。
現在のAI動画生成技術は、Kling 3.0やVeo 3.1といったモデルによって、複数人のシーン・カメラワーク・セリフ付きの複雑な表現まで可能になっています。
「本物の俳優が撮影した映像」と見分けがつかないほどのリアリティは、わずか3年前のカオス映像と同じ技術の系譜にあるとは信じがたいものがあります。
ディープフェイク(AIによる顔・声の合成技術)への懸念の声も上がりました。
「女優の仕事に影響が出るのでは」「悪用が怖い」という投稿も多く見られ、技術の進歩が持つ両面性があらためて議論されています。
AIが「誰でも映画品質の映像を作れる時代」を急速に近づけている——その現実に、多くの人が驚きとざわめきを感じています。

日本のXでも広がった「なぜパスタなのか」という問い
日本のユーザーの反応も興味深いものでした。
「なぜみんなAIでパスタを食べさせるのか」というシンプルな疑問が多くのいいねを集め、「最初の人がたまたまパスタを使ったから、他の人も追いかけた」という経緯を解説するポストが拡散されました。
この「スパゲッティテスト」が指標として機能している理由があります。
ウィル・スミスは世界的に有名な俳優で、本物の映像と比較しやすい。
食事という日常的な動作は、指・口・表情の複合的な動きが求められ、AIが不自然さを出しやすい。
だからこそ「同じ被写体・同じ動作」で毎年比較することで、技術の進化が一目でわかるのです。
あの「最初の動画」の意義
2023年の崩壊した動画は、今では笑いとともに語り継がれています。
しかし見方を変えれば、あの失敗作があったからこそ「比較の基点」が生まれ、3年後の進化が映えるのです。
技術の進歩は、失敗した過去があってはじめて「どれだけ来たか」が実感できます。
ちょうど同時期、AIコーディングツールでも「3月のCodexシェア逆転」が話題になっていました。
動画生成も、コーディング支援も、AIは静かに、しかし確実に日常のインフラに近づいています。
さらに深掘りしたい方へ
- Will Smith Eating Spaghetti test(Wikipedia 英語版)
- AI動画がここまで来たのか——TechRadar解説記事
- AIのウィル・スミスがパスタを食べる動画の4K最新版(ガジェット通信)
まとめ
2023年のカオスから2026年の本物そっくりの映像へ——ウィル・スミスのスパゲッティ動画は、AI技術の3年間を誰よりも正直に映し出したベンチマークです。
110万いいねの裏には、進化への驚きとディープフェイクへの不安が、複雑に混ざり合っていました。