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セールスフォース株急騰の裏側、AI提携より「26億ドルの含み益」だった中身

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年8月29日 更新
セールスフォース株急騰の裏側、AI提携より「26億ドルの含み益」だった中身

5.90ドル。
セールスフォースが発表した第2四半期の調整後EPS(1株当たり利益)です。
市場予想はおよそ3.27ドルだったので、単純計算で予想の1.8倍。
決算と同時にAnthropicとの新しい提携「Claudeforce(クロードフォース)」も発表され、株価は時間外取引で一時10%超跳ね上がりました。

ただ、このEPSの伸び方には少し引っかかる点があります。
数字を追っていくと、好決算そのものとは別の理由が見えてきました。
AIエージェントが企業のどこまで入り込むのかを占う材料として、SNS運用やAI活用に関わる人にも無関係な話ではありません。

先に結論をまとめると:
– 売上高は113億ドル台で予想超え、AI関連の年間経常収益(ARR:契約から見込める年間の継続収益)は39億ドル近くまで急成長しました
– Anthropicとの提携「Claudeforce」により、Claudeの画面から離れずにSalesforceの顧客データを見たり案件を更新したりできるようになります
– ただしEPSの大幅超過には、Salesforceが保有するAnthropic株式の評価益26億ドルが含まれており、本業の伸びだけで説明できる数字ではありません

何が起きたのか

セールスフォースの2027会計年度第2四半期は、売上高113億ドル台で市場予想をわずかに上回り、通期の売上高見通しも上方修正されました。
それ以上に投資家の目を引いたのが、AgentforceとData 360を合わせたAI関連ARRです。
前年同期比210%超という伸びで、39億ドル近くまで積み上がっています。

そして決算発表と同じタイミングで飛び込んできたのが、Anthropicとの提携拡大「Claudeforce」でした。
CEOのマーク・ベニオフ氏は自身のX(旧Twitter)で、その意義をこう表現しています。

「Claudeforceがここに。
No.1のAI(Claude)が、No.1のCRM(Salesforce)の上でネイティブに動くようになりました」――ベニオフ氏はこう投稿し、新しい「AIforceハーネス」と「Headless 360」を通じて、ClaudeがData 360やTableau、Slack、Salesforceの業務フロー全体に、チャットを離れることなくアクセスできると説明しています。

数字だけ見れば申し分のない決算ですが、株価が跳ねた理由を「業績が良かったから」の一言で片付けてしまうと、実は見落とす部分があります。
次はそこを確かめてみました。

調べて分かったこと

なぜEPSはここまで予想を超えたのか?

米メディアの報道を確認すると、5.90ドルという調整後EPSの内訳には、Salesforceが保有するAnthropic株式の評価益、約26億ドルが含まれていることが分かりました。
以前から出資していたAnthropicの株式価値が四半期の間に上がった分が、利益として計上された形です。

本業の売上・AI関連ARRの伸び自体は事実ですが、EPSの「予想の1.8倍」という驚きの部分は、投資による含み益の影響が大きいということになります。

Claudeforceで実際に何ができるようになるのか?

Claudeforceの中核は「Salesforce in Claude」と呼ばれる仕組みです。
営業担当者向けにあらかじめ用意された37種類のスキル(商談準備、案件レビュー、パイプライン分析など)を通じて、Claudeの中からSalesforceのデータを参照したり、記録を更新したりできるようになります。
報道によれば、一部のパイロット顧客にはすでに提供が始まっており、9月には一般ベータ版に広がる見込みです。

日本語で要点をまとめた投稿もありました。

ちなみに、Salesforceが自社製品名の末尾に付ける「force」という接尾辞を他社製品に使ったのは、今回が初めてだと報じられています。
それだけ本気度の高い提携だと位置づけているようです。

なぜ「SaaS終焉論」に反論したのか?

決算発表の場でベニオフ氏は「SaaSpocalypse(サースの終末論)はもうたくさんだ」と述べ、AIが従来型ソフトウェアを丸ごと置き換えるという見方を否定しました。
AIモデルが力を発揮するには、結局のところSalesforceが持つ顧客データや業務フロー、ガバナンス(統制の仕組み)が土台として必要だ、というのがその主張です。

Claudeforceは、AIに仕事を奪われる側ではなく、AIの普及から利益を得る側に回るという狙いを持った提携だと言えそうです。

セールスフォースの株価は今後どうなるのか?

決算翌日の通常取引でも株価はさらに買われ、約23%上昇。
上場以来2番目の上げ幅になったと報じられています。
一部メディアでは目標株価300ドルに達するかが話題になっていますが、これは各社アナリストの見立てであり、確定した数字ではありません。
AI関連ARRの伸びが続くかどうかが、今後の株価を左右する焦点になりそうです。

Shiritomo編集部の考察:AIエージェント時代は「データを持つ側」が強い

今回の一件から見えてくるのは、AIエージェントが普及するほど、その土台となるデータを持つ企業の価値が上がるという構図です。
ClaudeのようなAIがどれだけ賢くなっても、企業の顧客情報や商談履歴、承認フローといった実務データがなければ動けません。
SNS運用の現場でも、投稿文を作る生成AIそのものより、フォロワーの反応データや過去投稿の実績を蓄積している側が主導権を握りやすいのは同じ構造です。
今回のEPSに投資評価益が含まれていた点も含め、AI企業への出資関係を通じて業績が左右される時代に入ったことは、決算を見る際の新しい視点として覚えておく価値がありそうです。

まとめ

セールスフォースの好決算とClaudeforce提携は事実ですが、株価急騰の一部はAnthropic株の含み益という一時的な要因も含んでいました。
Claudeforceが実際にどこまで業務を変えるかは、9月のベータ版展開以降の反応で見えてきそうです。

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