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「LDHは降りたのに東大は出るんだぜ」——SUZURIのクリエイターまで動いた、GMOと軍事AI企業の”関わり”が問われた理由

Shiritomo編集部 @shiritomoAI_jp 2026年9月2日 更新
「LDHは降りたのに東大は出るんだぜ」——SUZURIのクリエイターまで動いた、GMOと軍事AI企業の”関わり”が問われた理由

「LDHは降りたのに東大は総長が出るんだぜGMO大会議。
信じられないだろ」。
9月1日、Xにそんな投稿が流れ、1,700件を超える「いいね」を集めました。
ちょうど同じ日、イラストや同人グッズを扱う別のクリエイターたちの間では、オリジナルグッズ販売サービス「SUZURI(スズリ)」のショップを閉じる動きが広がっていました。
一見つながりのなさそうな二つの出来事の背後に、共通して浮かび上がってきたのが「GMO」という名前です。

自分のSNSアカウントやネットショップを他社のプラットフォームに乗せている以上、運営元がどんな企業と付き合っているかは、いつか自分の活動にも跳ね返ってくることがあります。
この記事では、何が起きているのか、パランティアという企業の正体、そしてプラットフォームを使う側は何を見ておくべきかを整理しました。

先に結論をまとめると:
– SUZURIを運営するGMOペパボの親会社・GMOインターネットグループが主催するカンファレンス「GMO大会議」に、軍事・政府向けAI企業パランティアのCEOが登壇予定だったことが発端です
– 同じ構図でEXILE HIROさんの「GMO大会議」出演も9月1日に見合わせとなり、SNS上の抗議が実際にイベント出演を動かした形になりました
– SUZURIからの撤退表明は現時点でX上の投稿を中心に広がっている段階で、大手メディアによる独自取材の裏付けはまだ見当たりません

Xで広がっている「GMOと距離を置く」動き

発端は8月30日ごろから広がり始めた「LDHはGMO大会議を辞退してください」というハッシュタグでした。
GMOインターネットグループが主催する技術カンファレンス「第4回 GMO大会議 秋 フィジカルAI 2026」(9月15日開催予定)に、LDH JAPAN代表のEXILE HIROさんがコメントムービーで出演する予定になっていたところ、同じ会議にパランティア・テクノロジーズのCEO、アレックス・カープ氏もビデオメッセージで登壇予定だと知られたことがきっかけです。
パランティアは、政府や軍向けにデータ解析AI(大量の情報をもとに意思決定を支援する仕組み)を提供する米企業で、日本でも防衛省が自衛隊の指揮統制システムへの導入を検討していると報じられています。

「LOVE・DREAM・HAPPINESSを掲げるLDHが、軍事関連企業と同じ舞台に立つのはおかしい」といった声がXで広がり、9月1日、LDH JAPANは公式サイトで「9月15日開催の『第4回 GMO大会議 秋 フィジカルAI 2026』へのEXILE HIROの出演について、関係各所との協議の結果、出演を見合わせることとなりました」と発表しました。
ニュースを伝えたオリコンの投稿には、この日だけで5,000件を超える「いいね」が集まっています。

ただ、この抗議の広がり方には少し変わった特徴がありました。
声を上げたのは、必ずしもLDHのファンだけではなかったのです。
そこで、なぜファン層を超えて広がったのか、そしてSUZURIのクリエイターの撤退とどうつながっているのかを、もう少し詳しく調べてみました。

調べて分かったこと

なぜLDHのファン以外まで声を上げたのか?

出演見合わせが決まった直後、Xには「LDHファンでもないのにメールを送ったり連帯・拡散してくれた界隈外の皆さんだよ」という投稿が並びました。
実際に、この件を伝えるツイートの一つには次のような反応が寄せられています。

こうした投稿から見えてくるのは、今回の抗議が「LDHの問題」としてではなく、「軍事・政府向けAI企業と、自分たちが応援するコンテンツが同じ舞台に立つこと」への抵抗感として、ジャンルを超えて広がったという構図です。
パランティア1社への向き合い方をめぐって、複数のファンダムが横につながった点が、今回の一連の出来事の特徴だといえそうです。

パランティアとはどんな会社なのか?

パランティア・テクノロジーズは、機密性の高い大量のデータを統合し、AIで意思決定を支援するソフトウエアを手がける米企業です。
人工衛星や無人機、センサーなど多様な情報源を統合し、軍事作戦の立案を支援する「Maven Smart System(メイブン・スマート・システム)」を米軍向けに提供していることで知られています。
日本でも、防衛省が自衛隊の指揮統制システムへの導入を検討していると複数の報道機関が伝えており、情報主権(軍事運用の核心部分を外国企業のシステムに依存するリスク)への懸念も指摘されています。
今回の「GMO大会議」には、このパランティアのCEOがビデオメッセージで登壇する予定だったほか、OpenAIやAnthropic、NVIDIAといった他のAI企業のトップも登壇し、高市首相や片山財務大臣らもビデオメッセージで参加する予定になっていました。

SUZURIとパランティアは、直接どうつながっているのか?

ここは少し整理が必要なところです。
SUZURIを運営しているのはGMOペパボという会社で、GMOインターネットグループの子会社にあたります。
「GMO大会議」を主催しているのは、SUZURIそのものではなく、その親にあたるGMOインターネットグループです。
つまり、パランティアとGMOペパボが直接業務提携をしているわけではなく、パランティアはあくまでGMOグループ主催のカンファレンスに登壇者として参加していた、という位置づけになります。

とはいえ、SNS上では「SUZURIの運営元グループが、軍事・政府向けAI企業を自社のイベントに招いている」こと自体を問題視する声が広がり、平和や反戦をテーマに創作しているクリエイターを中心に、ショップを閉じる動きが出ているようです。
実際に、イラストレーターや漫画家など複数のクリエイターが「SUZURIのショップを閉じます」といった趣旨の投稿をしたと伝えられており、BOOTHやBASEといった他のグッズ販売サービスへの移行を検討する声も見られます。
ただし、これらの個別の投稿を本稿執筆時点で一次情報として確認することはできておらず、SUZURIからの撤退表明そのものを独自に取材した大手メディアの記事も、現時点では見つかっていません。
EXILE HIROさんの件のようにGMOペパボ側から公式な説明が出ているという情報も、今のところ確認できていません。

SUZURIをやめたいと思ったとき、何をすればいいのか?

もしSUZURIの利用をやめたいと考えた場合、SUZURI公式のヘルプセンターには退会手続きについての説明ページが用意されています。
販売中の商品がある場合は、ショップを閉じる前に在庫や注文状況を確認しておく必要があるでしょう。
移行先としてよく名前が挙がるのはBOOTHやBASEですが、手数料体系や在庫の持ち方(受注生産か自己在庫か)はサービスごとに違うため、切り替える前に自分の販売スタイルに合っているかを確認しておくのが安全です。

Shiritomo編集部の考察:プラットフォーム選びは「取引先」まで見る時代に

今回の一連の動きで注目したいのは、クリエイターが問題視したのがSUZURI自体のサービスや規約ではなく、親会社が主催するイベントの登壇者だったという点です。
SNSやECのアカウントを1つのプラットフォームに乗せるとき、私たちはつい「そのサービス単体が信頼できるか」だけを見てしまいがちですが、今回のケースは、子会社のサービスを使い続けるかどうかの判断が、親会社レベルの取引先・提携先の情報によって左右されうることを示しました。

以前弊誌で取り上げたLINE VOOMの終了のように、プラットフォーム側の経営判断でサービスの形が変わることはこれまでも起きてきました。
今回はその逆で、ユーザー側の声が実際にイベント登壇という経営判断を動かした点が新しいところです。
SNS・EC運用の実務としては、①自社が使っているプラットフォームの運営会社が、どのグループに属しているかを一度確認しておくこと、②炎上時に自社アカウントだけで完結せず複数のプラットフォームに分散しておくこと、③運営元の企業姿勢に関するニュースは、サービス自体の公式アカウントだけでなく親会社のプレスリリースやニュース欄もウォッチしておくこと、の3つが最低限の備えになりそうです。

まとめ

EXILE HIROさんの「GMO大会議」出演見合わせは、LDH JAPANの公式発表という形で裏付けが取れている一方、SUZURIのクリエイターの撤退表明はまだX上の投稿が中心で、独立した報道による確認はできていません。
ただ、パランティアという1社への向き合い方をきっかけに、ファンダムとクリエイターという異なる立場の人たちが、それぞれ「使い続けるかどうか」を自分で判断し始めているという点は、プラットフォームを利用する全ての人にとって他人事ではなさそうです。

さらに深掘りしたい方へ

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