Claude Codeがメールアドレスを外部サイトへ送信、詐欺メール報告も――発覚から同日中に修正
「コーディングエージェントは、訪れるすべてのサイトにあなたのメールアドレスを渡すべきじゃない。
これは事実です」。
Xに投稿されたこの一文が、11月6日の朝からAnthropicのAIコーディングツール「Claude Code」のユーザーの間で急速に広まりました。
Claude Codeは、ターミナルやIDEから自然言語でコードの編集・実行を頼めるAIエージェントで、日本でもエンジニア以外の業務利用まで広がっています。
今回問題になったのは、Claude Codeがウェブ検索を行う際、ユーザー自身のメールアドレスを通信の識別情報(User-Agentヘッダー)に埋め込み、訪れた外部サイトへそのまま送っていたことです。
ウェブ検索機能付きのAIエージェントを日常的に使う人なら、自分の情報がどこまで渡っているか一度確かめておきたくなる話です。
先に結論をまとめると:
– Claude Codeがウェブ検索時に、ユーザーのメールアドレスをUser-Agentヘッダーに埋め込み外部サイトへ送信していた
– 「詐欺メールが毎日何十件も届く」という報告が11月5日深夜にGitHubで拡散し、数時間で大きな反応を呼んだ
– Anthropicは同日中にv2.1.317以降でこの送信を自動的に食い止める仕組み「cc-plugin-privacy」を標準で有効にした
何が起きたのか
発端は、Claude Codeユーザーがウェブ検索を実行した際の通信ログを調べたところ、自分のメールアドレスがそのままUser-Agentヘッダーに入っていたことに気づいた、という報告でした。
Your coding agent should not hand your email address to every site it visits. Fact!
— P7RIM3 (@P7RIM3) 2026年11月5日
A Claude Code user says v2.1.318 put their email in the User-Agent during web searches. Random third parties got it, and scam mail followed.
AI tools need a privacy review too, not just a…
投稿では「Claude Codeのユーザーが、v2.1.318でウェブ検索中にメールアドレスがUser-Agentに入っていたと報告した。
無関係な第三者にそれが渡り、詐欺メールが届くようになった」と説明されています。
AIツールの「能力」だけでなく「プライバシー」も見直す必要があるという指摘は、多くのユーザーの共感を呼びました。
ただ、この投稿だけでは「なぜそんなことが起きたのか」までは分かりません。
ここから、なぜメールアドレスが外に出てしまったのかを調べてみました。
調べて分かったこと
なぜメールアドレスが外部に送られてしまったのか
Claude Codeはログインしているユーザーのメールアドレスを会話の文脈として保持しています。
一方で、Wikipediaのように「自動で巡回するクライアント(ボット)は、問い合わせ用のメールアドレスをUser-Agentに入れてほしい」と求める慣習を持つサイトがあります。
Claude Codeがウェブ検索のためにこうしたサイトへリクエストを作る際、律直にこの慣習に従い、手元にあった「ユーザー本人のメールアドレス」をそのまま埋め込んでしまった、というのが今回の構図です。
送信先にはSEC(米証券取引委員会)のサイトやRustのパッケージ公開サイト「crates.io」などが含まれていたと報じられています。
I asked my claude about this and it said it had shared my email 10+ times this month… including to the SEC https://t.co/XmCCYQ7v9Q
— Chris Lakin (@chrislakin) 2026年10月22日
このユーザーは「Claudeにこの件を聞いてみたら、今月すでに10回以上、自分のメールアドレスを外部に渡していたと教えてくれた。
SECのサイトにも、だ」と投稿しています。
自分が使っているエージェントに直接聞いて確かめる、という対処法が広がったのも今回の特徴でした。
いつから起きていた問題なのか
似た懸念自体は7月下旬にも、別の経路(メールアドレスがシステムプロンプトに混入する問題)としてGitHubで報告されていました。
ただ、ブラウザのUser-Agentを通じて実際に外部へ送信されていること自体は8月や10月にも個別に報告されており(前述のChris Lakinさんの投稿もその一つです)、今回11月6日の報告を機に、問題の全体像が一気に知られることになりました。
古くからの懸念と、今回バズった具体的な漏洩経路は、厳密には同じ問題ではありません。
実際にどんな被害が起きたのか
“I receive dozens of scam emails per day because claude code divulged my email to arbitrary 3rd parties in the User-Agent request header while conducting web searches without my permission.”
— CyberChick (@warriors_mom) 2026年11月5日
Taylor Edward’s
Source below
このポストは「Claude Codeが、ウェブ検索の際に無断で自分のメールアドレスを無関係な第三者にUser-Agentヘッダー経由で渡していたせいで、毎日何十件もの詐欺メールが届くようになった」という報告者Taylor Edwardsさんの言葉を引用したものです。
開発ツールに課金する際に使っている「確認済みで有効なメールアドレス」が外部サイトのログに残り、詐欺師に渡ってしまったのではないかと見られています。
ただし、詐欺メールの増加が今回の漏洩だけが原因だと確定しているわけではない点は留意が必要です。
どう直ったのか、今何をすればいいのか
Anthropicは問題が拡散した11月5日のうちに対応し、v2.1.317以降でこの送信を自動的にブロックする組み込み機能「cc-plugin-privacy」を標準で有効にしました。
設定は「/plugins」から確認・切り替えができます。
もっとも、v2.1.318に更新しても設定画面にこの項目が見当たらないという報告も一部にあり、自分の環境で本当に止まっているかは/pluginsを開いて確かめておくのが安全です。
Shiritomo編集部の考察
今回の件が示すのは、AIエージェントの時代らしい新しいプライバシーリスクの型です。
従来の情報漏洩は「アプリの不具合でデータが漏れる」という単純な話が多かったのに対し、今回は「エージェントがサイト側のルールに忠実に従いすぎた」結果でした。
悪意はなく、むしろ”行儀よく”振る舞ったことが裏目に出た形です。
業務でClaude CodeやCodexのようなツールを使う企業は、ネットワークの出入り口だけでなく、エージェントが生成する通信ヘッダーの中身まで点検範囲に入れる必要が出てきたと言えるでしょう。
個人利用でも、課金用のメールアドレスをそのままエージェントに使わせていないか、一度見直してみる価値がありそうです。
まとめ
Claude Codeがウェブ検索時にユーザーのメールアドレスを外部サイトへ送っていた問題は、発覚から同日中にAnthropicが修正しました。
便利なエージェントほど、人間に代わって外部とやり取りする範囲が広がる分、こうした見落としが起きやすくなっています。
さらに深掘りしたい方へ
今回の経緯は複数の海外メディアが時系列を含めて詳しく報じています。