「OSSじゃなくなってて悲しい」——Gemini CLIが6月18日に完全終了、Antigravity CLIに移行した開発者が気づいたこと
6月18日、ターミナルで毎日 Gemini CLI を使っていた開発者たちに、予告通りの現実が訪れました。
「クラウドは信じちゃダメ」——Xのタイムラインにはそんな声が広がり、同時に「移行したら詰まった」「ワークスペースユーザーは移行できないっぽい」という実体験のシェアが続きました。
5月の Google I/O 2026 でアナウンスされていた通り、Gemini CLI の個人ユーザー向けサービスが実際に停止。
後継の「Antigravity CLI」への移行が必要な状況が、世界中の開発者に降り掛かってきました。
「どうせ移行するだけでしょ」と思っていた私も、調べてみると想像以上に深い話が隠れていました。
単なるツール入れ替えではなく、Googleが開発者コミュニティに対して踏み込んだひとつの「方針転換」だったのです。
開発者が悲しんでいる本当の理由
Gemini CLI はリリース直後から、開発者コミュニティに広く支持されたツールでした。
GitHub のスター数は10万を超え、外部コントリビューターによる Pull Request も6,000件以上に上るほど。
ターミナルから Claude Code や Cursor と同じ感覚で AI を使えるツールとして、多くのエンジニアの日常に溶け込んでいたのです。

ところが後継の Antigravity CLI は、その流れを大きく変えました。
クローズドソース(ソースコードが非公開)に切り替えられたのです。
それを象徴するのがこの投稿。
OSSじゃなくなってて悲しいhttps://t.co/wuwT71gITv https://t.co/5XWobyhUEK
— Ray (@r_masseater) 2026年5月20日
「OSSじゃなくなってて悲しい」——シンプルな一言ですが、多くの開発者の本音を代弁しています。
オープンソースだったからこそ、コードを読んで動作を確認でき、バグがあれば自分で修正し、コミュニティで改善を積み重ねることができていました。
それが突然「見えない箱」に切り替わったのですから、落胆の声が出るのは当然かもしれません。
加えて、使用制限も「1日ごとリセット」から「1週間ごとリセット」に変更されました。
頻繁に使っていた個人開発者ほど、実質的な使い勝手の低下を感じているようです。
実際に移行してみたらどうだったか
公式は「移行は数秒で完了する」としていますが、実際にはちょっとしたつまずきが起きています。
Gemini CLI が終了するらしく、Antigravity CLI に移行した。あんま使ってなかったけど、gemini-3.5 を試してみたかったので。
— 大岡由佳 Jujutsu 本『じゅじゅちゅ!』販売中 (@oukayuka) 2026年5月22日
なおインストールしたままだと `agy` コマンドで IDE のほうが起動してしまうので、シェル設定に `export ANTIGRAVITY_HEADLESS=true` が必要だった。…
移行後、agy コマンドを実行すると CLI ではなく IDE が起動してしまうケースがあり、シェルの設定ファイルに export ANTIGRAVITY_HEADLESS=true を追加しないと思い通りに動かない、という実体験が投稿されています。
「あんま使ってなかったけど gemini-3.5 を試したかったので移行した」というコメントが添えられていたのも興味深いところです。
積極的なファンというより、とりあえず試してみようというユーザーが多いのかもしれません。
一方で、困っているのは個人開発者だけではありませんでした。
Workspaceユーザは Antigravity CLI に移行できないっぽい https://t.co/TsjGsi8nGC
— Yasuo Nakanishi (@nakanishiyasuo) 2026年5月20日
「Workspaceユーザは Antigravity CLI に移行できないっぽい」という報告が出ています。
今回の停止対象は Google AI Pro、Ultra、および個人向け無料枠を利用していたユーザーで、企業向け Google Workspace 経由の利用者は別の扱いとなっており、移行経路が複雑です。
Antigravity CLI とは何者か
Antigravity CLI は、Googleが開発者向けに整備している統一プラットフォーム「Google Antigravity」の一部です。
以下の4つのサービスが同じ基盤で提供されています。
- Antigravity 2.0
- Antigravity CLI(ターミナル向け)
- Antigravity SDK
- Antigravity IDE
Go 言語で書き直されており、技術的な大きな特徴は非同期で複数の AI エージェントを同時に動かせることです。
Gemini CLI が1タスクずつ処理していたのに対し、Antigravity CLI はバックグラウンドで複数のエージェントを並走させながら作業できます(エージェントとは、AI が自律的に複数のタスクをこなす仕組みのこと)。
Gemini CLI が持っていた Agent Skills、Hooks、Subagents といった機能は引き継がれているため、これまでの使い方を大きく変えなくてよい部分もあります。
ただし Gemini CLI 時代はオープンソースで GitHub に公開されていたコードが、今回からは非公開になっています。
「Antigravityはまだソースを出していないのに、どうやって信頼すればいいんだ」という声が開発者フォーラムにも見られ、コミュニティとの信頼構築が今後の課題になっていることは間違いないでしょう。
さらに深掘りしたい方へ
- Gemini CLI廃止ガイド — Antigravity CLIへの移行手順と6月18日期限(Qiita)
- Google公式:AntigravityとGemini CLIの選択ガイド
- Gemini CLI終了で揺れる開発者コミュニティの詳細(ソフトアンテナ)
SocialReport編集部の考察
今回の件を見ていて、「Killed by Google(グーグル墓地)」という言葉をまた思い出しました。
Google がこれまでに廃止してきたサービスを集めたサイトが存在するほど、Googleは開発者向けツールを急に終わらせることで知られています。
ただし今回で特に注目すべき点は、10万スターを超えるオープンソースプロジェクトをクローズドソースの後継に置き換えたことです。
コントリビューターが6,000件以上のPRで積み上げた知見が非公開の箱に収まり、外からはもう検証できなくなる——これは単なる「サービス変更」ではなく、開発者コミュニティとの契約の破棄に近いと感じる人も少なくないでしょう。
SNSマーケティングやコミュニティ設計の観点からも学べることがあります。
Gemini CLI の「OSSである」という点は、技術的な優位性以上にコミュニティへの誠実さのシグナルとして機能していました。
それを手放すタイミングと伝え方が雑だったことが、今回の反発を大きくした一因だと思います。
Anthropic が Claude Code を活発にオープンに開発を続けていることと比較すると、Googleがこのタイミングでクローズドに振れた判断は、開発者コミュニティとの距離感という意味でも興味深い分岐点になりそうです。
まとめ
6月18日に Gemini CLI の個人向けサービスが終了し、Antigravity CLI への移行期を迎えました。
Go 言語による高速化や非同期エージェント管理という技術的な進化はある一方、オープンソースの廃止と利用制限の縮小という方針転換が開発者の感情と正直にぶつかっています。
移行自体は数秒で完了するとされていますが、Workspace ユーザーの移行経路や ANTIGRAVITY_HEADLESS=true の設定など細かいつまずきポイントもあるため、まだ対応していない方は公式の移行ガイドを確認してみてください。

