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JALとGMO、羽田で人型ロボットの実証実験開始へ

shiritomo | AI・SNS・話題のテック情報メディア by Hashout編集部 @shiritomoAI_jp 2026年4月28日 更新
JALとGMO、羽田で人型ロボットの実証実験開始へ

空港の格納庫に、人型のロボットが並んでいる——そんな光景が、羽田空港でいよいよ現実になろうとしています。

子どもサイズ(130cm)と大人サイズ(172cm)の2体が、重さ1.5トンにもなる貨物コンテナをスムーズに押し出し、向きを変える。

この映像を見かけて気になって調べてみたところ、日本の空港では初めてとなるヒューマノイドロボット(人間と同じ二足歩行をする人型ロボット)の実証実験が、いよいよ動き出そうとしていることがわかりました。

何が発表されたのか

今回の発表についてX(旧Twitter)上での関連ツイートは確認できませんでしたが、航空・ロボット業界を中心に注目度は高く、発表翌日には複数のニュースメディアが一斉に報じています。

日本航空(JAL)グループのJALグランドサービス(JGS)と、GMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)は2026年4月27日、羽田空港でヒューマノイドロボットを活用した実証実験を5月から開始すると共同発表しました。

目的はグランドハンドリング(航空機の地上支援業務)の省人化・効率化で、2028年まで段階的に検証を進める計画です。

2体のロボット、スペックと役割

実証実験に投入されるのは中国製の2機種です。

  • Unitree「G1」(ユニツリー G1):身長130cm、体重35kg、29関節を持つ小型モデル。連続稼働時間は約2時間です。
  • UBTECH「Walker E」(ユービーテック ウォーカーE):身長172cm、体重73kg、41関節を備えた大人サイズモデル。連続稼働時間は約3時間となっています。

どちらも人間と同様の可動域と適応力を持ちながら、既存の空港施設や航空機の構造を大幅に改修せずに導入できる設計になっているようです。

具体的に何をやらせるのか

初期段階では、以下の3つの作業を中心に検証していきます。

  1. コンテナ固定レバーの操作:ドーリー(航空貨物用台車)にコンテナを固定・解除する重いレバーの上げ下げ
  2. コンテナの押し出し:1.5トン規模のコンテナをドーリーからハイリフトローダーへ移送する押出作業
  3. ドーリーの回転操作:ペダルを踏みながらコンテナの向きを変える操作

各工程に約6か月をかけながら段階的に開発を進め、2028年度末には一部作業でトライアル運用を目指しています。

JGS社長の鈴木美輝氏は「2028年度末には一部の作業領域で業務を置き換えることが目標」と明言しており、本気度が伝わってきます。

なぜ今なのか——深刻な人手不足という背景

航空業界は今、深刻な人材不足に直面しています。

少子高齢化による労働人口の減少が続く一方で、インバウンド(訪日外国人)の増加によって空港の旅客・貨物取扱量は増える一方です。

グランドハンドリングは重労働かつ危険を伴う業務も多く、担い手確保が急務となっています。GMO AIRは「2026年はヒューマノイド元年」と位置づけており、この実証実験を社会実装加速の第一歩と捉えているとのことです。

中国製であることへの懸念と、将来の国産移行

気になる点もあります。今回使用するのはいずれも中国製ロボットです。

空港という重要インフラでの活用には、データセキュリティや安全保障上の懸念も指摘されています。

GMO AIRの内田朋宏社長は「市場でちゃんと動くヒューマノイドが限られている」という現実を認めつつも、「国産や海外製で安全性やセキュリティ面をしっかり検証したものに切り替えるのは必要」と、将来的な移行の可能性を示唆しています。技術の進化とセキュリティ要件のバランスをどう取るか、今後の大きな課題になりそうですね。

開発アプローチ:いきなり「完全自律」は目指さない

GMO AIRの技術担当者によれば、「完全自律をいきなり目指すのではなく、模倣学習や強化学習(AIが試行錯誤を繰り返しながら学習する手法)などを活用して動的バランス制御から始める」とのことです。

現場でデータを積み上げながら改善を繰り返し、ハードウェアやAIモデルも柔軟に見直していく方針で、地に足のついたアプローチといえるかもしれません。

2027年度後半には個別動作を連結して一連の作業フローとして動かすことを目標とし、2029年以降の本格実用化を見据えているとのことです。

さらに深掘りしたい方へ

まとめ

JALとGMO AIRが羽田空港で始めるヒューマノイドロボットの実証実験は、日本の空港業務の未来を変えうる国内初の挑戦です。

人手不足という切実な課題を背景に、2028年度末の一部実用化を目指しながら、安全保障とのバランスも問われるこのプロジェクト。どのように進展していくか、引き続き注目していきたいと思います。