今はどのスマホも似た板――2000年代携帯電話の奇抜デザインが、神田の博物館に眠っていた
パカッと開く音、くるっと回る画面、するっと滑り出すキーボード。
2000年代の携帯電話には、今のスマートフォンにはない「動く仕掛け」がいくつも詰め込まれていました。
薄さを競ったモデル、スライドで飛び出すデザイン、折りたたみなのに本格的なキーボードを備えたモデル。
メーカーごとに全く違う方向を向いていた時代です。
いま、そんな2000年代の携帯電話デザインを懐かしむ声がSNSで見られます。
今のスマートフォンがほとんど同じ板状の形に収束してしまったからこそ、あの頃の自由さが新鮮に映るようです。
実際にどんな機種があったのか、そして今も見られる場所があるのか、調べてみました。
先に結論をまとめると:
– モトローラ「RAZR V3」、LG「Chocolate」、シャープ「W-ZERO3」など、2000年代はメーカーごとに全く違う形の携帯電話が並んでいました
– 東京都千代田区の「絶滅メディア博物館」では、これらの実機を含む約1,500点の展示を今も見学できます
– 背景には、スマートフォンの普及でハードウェアの差別化が難しくなり、デザインの多様性が失われた業界の変化があります
何が起きたのか
SNSでは、2000年代に登場した携帯電話の写真や動画をきっかけに、当時のデザインの自由さを懐かしむ投稿が見られます。
「今は似たような板ばかり」という声とともに、薄さや開閉ギミックを競い合っていた時代への郷愁が広がっているようです。
折りたたみスマートフォンが少しずつ普及してきたことも、こうした関心を後押ししている一因と考えられます。
かつての携帯電話が持っていた「開く楽しさ」が、形を変えて戻ってきたと感じる人もいるのかもしれません。
調べて分かったこと
何がそんなに個性的だったのか?
象徴的な一台が、モトローラの「RAZR V3」です。
ケータイ Watchによると、モトローラは2004年7月27日にこの端末を発表しました。
最大の特徴は、当時としては驚異的だった13.9mmという薄さです。
金属ボディにカメラとBluetoothを搭載しながらこの薄さを実現し、MP4形式の動画再生にも対応していました。
米国では発売当初、需要に供給が追いつかずプレミア価格がつくほどの人気となり、シリーズ累計で1億台以上を売り上げています。
2008年にiPhone 3Gに抜かれるまでの約3年間、米国での販売台数1位を守り続けた記録も残っています。
もう一台の代表格が、LG電子の「Chocolate(チョコレート)」です。
2006年に登場したこのモデルは、光沢のある黒いボディに赤いバックライトを組み合わせたスライド式デザインが特徴で、LGのデザイン重視路線「Black Label」シリーズの第1弾に位置づけられています。
日本でもこのデザインを受け継いだNTTドコモの「L704i」が発売されました。
そして、物理キーボードを搭載した異色の存在が、シャープ・ウィルコム・マイクロソフトが共同開発した「W-ZERO3」です。
2005年12月14日に発売されたこの端末は、3.7型VGA液晶とスライド式キーボード、タッチパネルとスタイラスペンを備え、Windows Mobileで動作するPHS端末でした。
「スマートフォン」という言葉がまだ一般的でなかった時代に、その原型のような存在感を放っていたモデルです。
今も実機を見られる場所はあるのか?
気になった人に朗報なのが、東京都千代田区内神田にある「絶滅メディア博物館」です。
約1,500点のコレクションの中に、古い携帯電話やPDA、ビンテージカメラ、タイプライターなどが並んでいます。
展示物には実際に触れたり、写真を撮ったりできるのも特徴です。
営業時間は11時から19時まで年中無休ですが、撮影スタジオを兼ねているため2時間単位で一時閉館することがあります。
入館料は2,000円で、学生や寄贈者のゲストは1,000円、障がいのある方とその介護者、子どもは無料という区分になっています。
JR神田駅西口から徒歩3分というアクセスの良さも、ふらっと立ち寄りやすいポイントです。
Shiritomo GADGET編集部の考察
2000年代の携帯電話がこれほど形の違いを競っていた理由は、当時まだ「電話の形はこうあるべき」という正解が定まっていなかったからだと考えられます。
折りたたみ、スライド、ストレート、バータイプ……メーカーごとに異なる答えを出していたからこそ、店頭に並ぶ端末の見た目もばらばらでした。
その後スマートフォンが主流になり、タッチパネル操作を前提にした結果、ほとんどの機種が横長の画面を持つ板状のデザインに収束しました。
効率や生産のしやすさを考えれば合理的な流れですが、「選ぶ楽しさ」という観点では失われたものも小さくありません。
折りたたみスマートフォンの復権は、そうした多様性への欲求が形を変えて表れている動きとも言えそうです。
次に新しいフォームファクターの端末が話題になったとき、それが本当に使いやすい進化なのか、それとも見た目の目新しさだけなのかを見極める視点を持っておくと、ガジェット選びがもう少し面白くなるはずです。
まとめ
2000年代の携帯電話は、今のスマートフォンにはない自由なデザインの宝庫でした。
実機は東京都千代田区の「絶滅メディア博物館」で今も見学でき、当時の空気を直接確かめることができます。
さらに深掘りしたい方へ
当時の携帯電話デザインの歴史や、実機の展示情報をより詳しく知りたい方は、以下もあわせてご覧ください。
