重さ135グラムで連続再生40時間——元ソニー設計者が並べた「スティックウォークマン」4台にファン殺到
重さ135グラム、連続再生40時間。
iPodが世界を席巻していた2005年、ソニーが投入したHDD搭載ウォークマンの型番は「NW-HD5」でした。
この端末を含む歴代のスティック型ウォークマン4台を並べた写真が、2026年7月18日にX上で公開され、数時間で1,700件を超える「いいね」を集めています。
ガジェット好きにとって「あのモデルは今のスマホと比べて何がすごかったのか」を知ることは、単なる懐古趣味ではなく、当時の技術的な工夫を見直すきっかけになります。
投稿の主が元ソニーの設計者本人だったこともあり、実際にどんな端末だったのかを一次情報で確認してみました。

先に結論をまとめると:
– 投稿主の田中晃氏は、2025年2月末までソニーでウォークマンの設計・プロジェクトマネジメントを担当していた元社員
– 写真に写る「NW-HD5」は2005年4月発売、20GBのHDDを135gの筐体に搭載し、当時世界最長となる約40時間連続再生を実現した端末だった
– スティック型ウォークマンは「シャトルスイッチ」という独自の操作機構を採用しており、iPod全盛期にソニーが打ち出した対抗策のひとつだった
何が起きたのか、Xでの盛り上がり
木目調のテーブルに、紫がかった香水瓶のような形の端末が4台並ぶ——投稿したのは田中晃氏(@akiraa_tanaka)です。
歴代のスティックウォークマンを並べてみました。
ウォークマン #walkman
歴代のスティックウォークマンを並べてみました。#ウォークマン #walkman pic.twitter.com/Upl5Q4JMfZ
— 田中 晃 (@akiraa_tanaka) 2026年7月18日
リプライ欄には「学生時代に持ち歩いてた」「今も現役で使っている」といったコメントが相次ぎました。
田中氏はプロフィールでウォークマン関連の実機76台以上、カタログ273冊以上を所蔵していることを明かしており、投稿ごとに発売日や技術的な特徴を解説するアカウントとして知られています。
ただ、写真だけでは「NW-HD5がどれほど先進的だったのか」までは伝わってきません。
当時の一次情報にあたって確認しました。
調べて分かったこと
田中晃氏は本当にウォークマンの設計者なのか?
田中氏は自身の投稿で、2006年発売のMDウォークマン「MZ-RH1」でプロジェクトマネジャーを務めたことを明かしています。
同モデルはiPodの攻勢が強まるなかで投入された、MDウォークマン最後の主力機です。
ほかにもカセットウォークマンの「WM-EX」シリーズやCDウォークマンの「D-EJ」シリーズなど、複数の製品ラインに携わってきたことがX上の投稿から確認でき、2025年2月末までソニーに在籍していたと自身のプロフィールに記載しています。
NW-HD5はどれほど「先進的」だったのか?
ソニーの発表資料によると、NW-HD5は2005年4月21日に発売され、価格は34,800円でした。
20GBのハードディスクを搭載しながら重さは135g、サイズは89.3×14.5×59.9mmという名刺よりひと回り大きい程度のボディに収まっています。
最大の売りは、当時のハードディスク搭載プレーヤーとして世界最長となる約40時間の連続再生時間で、1.5インチの液晶に加え、落下時にヘッドを保護するGセンサーも備えていました。
ATRAC3plusとMP3の両方に対応し、48kbpsのATRAC3plus形式であれば最大13,000曲を持ち歩ける計算になります。
iPodが主に不揮発性メモリやより大容量のHDDで勝負していた時期に、ソニーは「軽さ」と「バッテリー持ち」で差別化を図っていたことが分かります。
「シャトルスイッチ」とは何か?
投稿で言及されている「シャトルスイッチ」は、スティック型ウォークマンの本体側面に備わる回転式の操作パーツです。
指先で回すことで曲送りや音量調整ができる仕組みで、後継のBluetoothヘッドホン一体型モデルにも受け継がれた、ソニーのスティック型製品を象徴する操作系のひとつでした。
タッチパネルが主流になる前の時代に、片手・片指での操作性を追求した設計だったといえます。
Shiritomo GADGET編集部の考察
この投稿が支持を集めた背景には、単なる「懐かしさ」以上の理由があると考えられます。
現行のポータブルオーディオプレーヤー市場はスマートフォンにほぼ吸収され、単体のデジタルオーディオプレーヤーはハイエンドのニッチ製品として残るのみです。
そんな中で、「軽さ」と「バッテリー持ち」という2つの指標だけで20年前の製品を語れてしまうのは、当時のエンジニアがスペック競争のなかで何を優先すべき価値と考えていたかが、今なお明快に伝わってくるからでしょう。
現在のワイヤレスイヤホンやスマートウォッチも、結局のところ「軽さ」「駆動時間」「操作性」という同じ3つの軸で評価されています。
元設計者自身がSNSで一次情報を発信し続けていることは、メーカー公式のプレスリリースだけでは伝わらない開発現場の意図を知る貴重な機会であり、ガジェット好きが当時の技術トレンドを追体験できる場としても、この種のアーカイブ投稿には今後も注目していきたいところです。
まとめ
元ソニー設計者が公開したスティック型ウォークマン4台の写真は、単なる思い出話ではなく、20GBを135gに収め40時間駆動を実現した2005年当時の技術的な到達点を再確認させてくれるものでした。
